僕らの王様ゲーム戦争 鹿猫、犬狼 


「セブ~」

ジェームズが突っ立ったままのセブルスに呼びかけた。
決心がつかないまま、セブルスは後ずさりし、背を向けて言った。

「明かりを消す!」

しかし、ドアの横をみても何もなかった。しばらく壁伝いに歩くと、小さな額縁で飾られた絵があった。そこにはランプが描かれている。

「さすがセブルス、それだよ…」

すぐ背後で声がして、セブルスは体をこわばらせた。
ふわりと抱きすくめられ、思わず小さく声を上げた。
ジェームズの体温が夜着から体に伝わる。

「このランプの炎のところをね…」

ジェームズがセブルスを抱き締めたまま、手を取り、耳元で囁いた。重ねた手を炎にかざすと、部屋の明かりが消えた。
セブルスは早くなる鼓動を聞かれるのがこわくなり、腕を振りほどこうとした。

「そんなに嫌…?」

ジェームズが悲しげにセブルスの耳元に囁いた。それはふざけてわざとすねたような調子ではなく、真剣な口調だった。
セブルスは、自分の強情さに嫌気が差し、なかなか思うように言葉にできないもどかしさで胸が詰まった。

「違う…」

セブルスは呟いた。そして、背後から回されたジェームズの腕を手で触った。

「嫌では、ない」

小さな声で言うと、うつむいた。

ジェームズは、そっとセブルスの体を反転させ向き合わせた。
セブルスは一瞬目を逸らしたが、視線を落としたあとジェームズを見上げた。

ジェームズが微笑んだ。

「キスしていい?」

セブルスは答える代わりに顔を少し上げた。

ジェームズがそっと口付けた。
触れるだけのやわらかなキス。そして抱き締めた。

セブルスはジェームズの肩口に額を付けた。

「…ベッドへ」

ジェームズが囁いた。
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