僕らの王様ゲーム戦争 鹿猫、犬狼
セブルスが思い切り身を引いた。
チョコレートはすぐに溶けて、ジェームズの口から落ちた。ジェームズはそれを手でキャッチした。
「セブのいぢわる~」
そう言うとすぐに気を取り直して説明に戻った。
「つまり、二人で端をかじって、それをどんどん食べていく。途中で折っちゃったり、ぐずぐずして溶かして放したら負け。負けたらセーラー服だ」
「え!?じゃあ唇がくっついちゃうよ!」
リーマスがびっくりして言った。
ジェームズが楽しそうに笑った。セブルスは苦虫を噛み潰したような顔でうなだれている。
「それが一興さ」
ジェームズがウインクしながら言い、5枚のカードをテーブルの上でシャッフルした。
「さあ!!ゲームスタート!!」
「王様だあれだ?」
テンションそれぞれの声が響いた。
「あ、僕だ♪」
リーマスが嬉しそうに言った。
「ねえ、ジェームズ、これって番号指定だけ?例えば何番の人が僕に何々をするとかでもいいの?」
「ああ、いいよ」
ジェームズは頷いた。
「ん~、じゃあ、4番の人、僕に普通にチョコレートを食べさせて」
ジェームズが手を挙げた。
リーマスが口を開ける。
ジェームズはつまらなそうにそっぽを向いているシリウスを尻目に、指でチョコレートを摘むと、リーマスの口に入れてやった。
「ん!これおいしい!!」
リーマスが感激の声を上げた。
「王様、お気に召しましたか?」
ジェームズが一礼した。
「うむ、苦しゅうない」
リーマスはくすくす笑った。
「次行くぞ!!!」
シリウスが大声を出した。
「王様だあれだ?」
「うおお!!俺だあ!!」
シリウスが勝どきの声を上げた。
一瞬、ジェームズ以外のメンバーが身構えた。
「よおし…」
シリウスはセーラー服を手に取った。
「3番!!これを着ろ!!」
ピーターが泣く泣く手を挙げた。
「なんでお前なんだよ!!!ピーター!!」
シリウスが絶叫した。
「ジェームズ!!チェンジありか!!?」
「……なし…」
ジェームズも迷いながら答えた。
「ううううう」
シリウスは手を震わせながら杖を一振りした。
セーラー服が飛び、サイズを変えてピーターの服がセーラー服になった。
嫌な沈黙が流れる。
「…俺、こういう妖怪見たことある…」
シリウスが力なくぼやいた。
「うん…僕も…」
ジェームズも呟いた。
ピーターは椅子の上に正座して、絶望的な顔をしている。
「あの…」
ピーターが口を開いた。
「…もう脱いでいい?」
「ああ…」
シリウスが脱力しながら頷き、杖をもう一振りした。