僕らの王様ゲーム戦争 鹿猫、犬狼
「おい、ジェームズ、それって…」
シリウスがちらりとセブルスを見た。ジェームズはにっこり笑った。
「そ、当たったら絶対だ」
シリウスが真っ青になって席を立った。ジェームズが面白そうにローブを掴んで座らせた。リーマスとピーターは固まっている。
「悪いことばかりじゃない」
ジェームズはどこから持ってきたのか、ソファの脇に置いた赤い袋を持ち上げ、中からセーラー服とパスタ瓶を取り出した。パスタ瓶にはピンク色の細い棒が入っている。
「何だよそれ!!」
シリウスとリーマスが同時に叫んだ。
ジェームズは瓶をテーブルに置いた。
「これは厨房で屋敷しもべ妖精たちにオーダーしたチョコレートの棒だよ」
「そっちじゃなくて!セーラー服!!」
リーマスが叫んだ。
ジェームズはきょとんとしてセーラー服を持ち上げた。
「ベニスの商人だ」
「ベニスに死すだ!」
セブルスが隣から見逃せずに訂正した。
「そう、ベニスに死すだ。言わずと知れた美少年アイテムさ」
シリウスとリーマスは顔を見合わせ、セブルスを見た。セブルスは驚いて首を振った。
「ぼッ僕は着ていないぞ!一度たりとも!!」
ジェームズは誇らしげにセーラー服を持ち上げた。
「今宵、これをお召しになるのは王様に命令された者…。そしてこのチョコレートの罰ゲームも兼ねる」
シリウスはすでにリーマスがセーラー服を着て微笑んでいる世界へ行ってしまっていた。
リーマスはシリウスの顔を見て、横からハエを撃ち落すようにシリウスの頬をビンタした。
「痛ってー!!リーマス!?」
シリウスが我に返った。
リーマスはにっこりしながら「説明の途中だよシリウス」と言ったが、その目は笑っていなかった。
「罰ゲームって?」
ピーターが恐る恐る聞いた。
ジェームズは瓶をもう一度メンバーにかざした。
「これはチョコレート棒、これもゲームだ。こう、棒の端をかじって…」
ジェームズはチョコレートを咥え、セブルスに顔を向けた。