拍手御礼集
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セブルスは静かにジェームズのことを話した。
学生時代のドタバタから、結婚に至るまで。
けれども、その最期だけは語らなかった。
ハリーは初めて語られる自分の父の様子に笑い、そして呆れ、驚いた。
「あいつは…」
セブルスがふいに立ち上がり、棚へ歩いた。
棚の奥から写真立を出した。
埃一つ付いていないそれは、普段大切に扱われていたことを示していた。
「たぶんあいつは、自分の死期が近いことを知っていたような気がする。全力で生きて、そして愛し、死んでいった」
セブルスの頬を涙が伝った。
「リリーまで…」
言葉は途切れた。
ハリーが幼い手つきでセブルスの口を塞いだ。
「お祝いでしょ?ママ…?」
涙をいっぱいに溜めた緑の瞳が細められた。
セブルスは微笑んだ。
ハリーが恥ずかしそうに下を向いた。
「ママ…ダンブルドアが言っていました。人は死んでも、大切な人の記憶に残ることで生き続けるのだと。きっと、ママ、あなたの中にも僕の中にも、父さんは、ジェームズは生きています」
ージェームズは光だった
「ハリー、魔法で霧雨を降らせることはできるか?」
セブルスはハリーの背後に立ち、肩に手を置いた。
「え?…はい」
ハリーは杖を振った。
セブルスがそれに続いて杖を振った。
二人の前に柔らかな色彩を放つ虹ができた。
「すっごい綺麗だ…」
ハリーが呟いた。
「ジェームズは虹が好きだった」
セブルスは虹を見つめながら答えた。
ー生きている。この胸に、光が。ジェームズ…お前が…。
「本当に君はよく泣くんだから」
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