拍手御礼集

☆鹿猫☆

「はあ…」

セブルスはため息をついた。

ー…面倒臭い…。なんなんだこのイベントは…。自分の煩わしい誕生日が終わったと思ったらこれだ…面倒臭い…この、たかがバレンタインにジェームズのことで悩む…そうやって自分の気持ちが揺れ、それを必死に鎮める…なんて面倒臭いんだ!

「セ~ブ~ル~スッ!」

馬鹿明るい声にセブルスの眉間に皺が寄った。

ジェームズが満面の笑みを浮かべて歩いてくる。

セブルスは条件反射で後退りした。

ジェームズが五メートル先で止まった。

「…?」

首を傾げるセブルスに、ジェームズは両腕を広げた。

「バレンタイン!セブ!僕は君が欲しい!」

セブルスの眉間にまた皺が増えた。
杖を抜き、呪いを放つときびすを返して寮へ戻った。

ー…やはり渡せない!

寮へ戻るのはこれで4回目のセブルスだった。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ホワイトデー編



セブルスは恐る恐る寮の扉から滑るように出てきた。

ー…図書館まで道程は長い。その間、あいつに見つからずに辿り着けるだろうか?…


セブルスは眉間に皺を寄せながら、早足で歩いた。

しかし、通路のど真ん中にジェームズが立っていた。

セブルスが後ずさりする。
ジェームズはゆっくり歩み寄ったが、また5メートル先で止まった。


「……?」

訝しむセブルスに、ジェームズは両手を広げた。

「ホワイトデー!セブ!君へのお返しは僕だ!僕をあげるよ!」


セブルスの眉間に皺が増えた。

杖を抜き、ジェームズに呪いを放つと、きびすを返して寮へ戻った。

ー…図書館は諦めよう…

その日、セブルスは寮から出なかった。

自分からは。

ジェームズに連れ出された。
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