拍手御礼集


☆甘い香り☆(1/2)


「何してるの?セブルス…?」

ジェームズは椅子に座ったまま、セブルスを見上げた。

「いや…気になって仕方がないんだ」

セブルスはジェームズの頭を押さえ、髪に口付けするように鼻を埋めた。
そして、耳に鼻をすり寄せる。

「セブ…?」

ジェームズはセブルスの腰に手を回した。

「…違う。邪魔しないでくれ」

短く言われ、ジェームズは押し黙った。

顔を離したセブルスにジェームズはその頬を両手で包み、唇を重ねた。

「我慢できないんだけど…」

不服そうに囁き、体を離そうとするセブルスに深く口付ける。

セブルスは睫毛を伏せながらも、表情が変わっていない。その目つきは研究者そのもので、ジェームズは嫌な予感がした。

セブルスが研究者に徹したとき、決まってよくないことが起こる。それはジェームズの野生の勘ともいうべき感性だった。
そしてそれはこのときも例外ではないように思われた。

セブルスはジェームズの首に鼻を近づけた。
白い指を這わせ、次に胸元に鼻をつける。
ボタンを外し、両手で肩を撫でながらシャツを脱がせた。

ジェームズは溜息をついた。

ー…セブルスが恐い顔をしていなければ、最高に甘いひとときなのに…

「ジェームズ、普段香水の類は使っているか?」

「…使ってないよ」

「そうか…」

セブルスは息を吐いた。

「麝香の匂いがするんだ」

「…ジャコウ?」

「ムスクだ」

「はあ…」

ジェームズは全く関心のない返答をした。

「セブ…始めようよ」

どうやらそっちの方に関心があるらしい。
セブルスの眉間に皺が寄った。

「ジャコウとは鹿から採取される香料だ。腹部の香嚢というところから分泌される。けれども、お前は今人間の姿をしている。アニメーガスで鹿になれば匂いはするだろうが、それでもジャコウ鹿ではないだろうし、何より人間になっても匂うのは不思議だ…アニメーガスになると影響が出るのだろうか…」

「はあ…」

ブツブツと考え込むセブルスにジェームズはまた溜息をついた。

「麝香は高級な香料だ。しかも催淫剤としても使用される」

「そうですか………って催淫剤?それが僕から出てるってこと??」

ジェームズがようやく生気を取り戻した。

「…そういうことになる」

催淫剤という言葉に反応する様に目を吊り上げる。
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