第一章 始まり
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定今のところは呪術廻戦の小説しかありませんが、いっぱい更新していきたいと思ってますので、
よろしくおねがいしまっす!!
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廃ビルに入った瞬間物凄い呪力を感じた。
にしても、何か匂うなぁ…気のせい?
呪霊自体はそこまで強くないけど、数が多いなぁ…
気配からして、9?10?そのくらいかな?
容赦ないね、師範。
刹那
「あ」
後ろ。約20・36m。あ、近づいてきてる
そう思った私は、あらかじめ腰に着けておた少し大きめのウエストポーチを開け、
中に入れていた、たくさんの呪符の内、一枚を手に取った
そして、精神を研ぎ澄ませる。
もうすぐ来る…3、2、Ⅰ、
「ギエエエエエエエエ!!」
すると、予想していた通り後ろから呪霊が現れた
4級かな~?呪力からして
そんなことを考えながら私は振り返って、呪霊と対面した。
そして、持っていた呪符に呪力を込めると
『召喚・四神 朱雀』
そう言って呪符を地面に叩きつけた次の瞬間
熱くメラメラと燃える炎が私"達"の周りを囲む。
その炎で呪霊は祓われ、燃えて灰になった。
そして私の隣にゆっくりと降り立ったのが
「ありがとう、朱雀」
さっき、私が呼び出した朱雀。
大きな翼を持った炎の様な赤い鳥
その翼を撫でると嬉しそうに顔を寄せてきた。フワフワの毛並みがくすぐったい。
アリアの術式は主に呪符や霊符を使う。
そして今の様に式神を呼び出したり、札で炎や水を操りアリア自身が直接戦う事もある。
札は事前に自身が作っておいたものを使い、場合によっては敵に効かなかったり呪符が切れてしまう場合も否めないので、なにも書いていない白紙の札も何十枚かは持っている。そして筆も。
ただし、呪符を作るのには呪力が必要なので、戦いで呪力を消耗している時に札を書くのはある程度避けたい。
それに札を相手に飛ばすのにも呪力が必要なので、普段はあらかじめ作っておいた札を使って戦う。
「さぁ、行こう」
そう朱雀に話しかけると、朱雀はフワッと舞い上がり天井ギリギリの所で大きな羽を動かし、
長い廊下の道を飛び進んだ。私はその朱雀の姿を目で追いかけながら走る。
呪符の効力はおよそ30分。それまでにこのビルにいる呪霊を全部祓えるかな?
今回、式神である朱雀に任せたのは相手が複数だったから。
もし、呪霊が一体だけのそこそこ強い感じだったら式神じゃなくて普通に1枚か2枚の札だけで祓える。
だけど、複数の場合だと呪力の消耗が激しいからなぁ
すると急に、上で飛んでいた朱雀が鳴いた。
考え事をしている内に、いつの間にか2、3体の呪霊が一気に現れたのだ。
「朱雀」
それだけで分かったらしい、朱雀は甲高く鳴くと
一気にその呪霊達を燃やして祓った。
そして「褒めて」と言うようにわざわざ降りてきて頬に顔を擦り寄せてきた
私は笑って「よ~しよし」と朱雀の頭を撫でてあげた。見た目に反して中身は可愛いんだよ朱雀は
それで機嫌が良くなったのか、朱雀はもう一度羽ばたき呪霊探しを始めた。
朱雀が探してくれるのなら、私は気を張らなくていいから本当に助かってる。
しかしまぁ、体は正直だから
「ヴッ…」
なにこの臭い!臭すぎる!!
嫌になるくらいのすごい匂いが鼻の中を貫いて
腐った生ゴミみたいな…ん?生ゴミって腐るのかな?
いや、どっちにしろ臭い!
特に私は普通の人より鼻が効くから余計に辛い!
さっきからなんか匂うな~って思ってたらこれか!!
思わず青ざめた顔で鼻を押さえた私の横で朱雀も物凄い顔をしかめている。
そして同時に匂いのする方向へ顔を向けると5m位離れた場所にある一つの扉。ここからでもわかる
ドアプレートにはすこし掠れているが
『処刑場』
そう書いてあった
うん…えっ!?処刑場!?嘘…えっ!?
え~…ここビルだよね…何の…?
絶対まともな営業してない。処刑場なんて普通のビルにはないよね…何やってんだこの会社
そりゃぁ呪霊も集まっちゃうよ…
処刑された人達の恨みとか…
まず、ビルにこんな場所があるってことがおかしい気が…
え?普通あるのかな?え?私がおかしいのかな?
その時、中の部屋の気配が揺れた。
うわぁ…絶対なにかいる。っていうか呪霊だね。
気配からして…7体……?あれっ?多い気が…この部屋入って呪霊祓ったらおしまい?あれっ?早いな~?
というか、呪霊って群れるんだったっけ?
次の瞬間
「ゴメン"ナザァ"ァ"ァ"ァ"イ"!!!」
「っ!」
扉がすごい勢いで開き、呪霊達が溢れだしてきた
でも、私の問題点はそこではない。
"呪霊の言葉"
「ごめんなさい」おそらく処刑場で罰を受けた人達の恐怖などの感情から生まれた呪霊たち
ずっとここに留まっていた。
だから、普段群れることのない呪霊が一つの場所に集まっていたんだ。
「い"やだぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"」
「ゆ"るじでぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"」
……あぁ、どうしてこんなにも人は悲しい生き物なんだろう
恨み、憎しみ、絶望し
沢山の人達に見放され、虚しく泣きながら死んでいく
そんな悲しい生き物を殺せと言うのか、自分のこの手で。
絶望に打ちひがれているこの"人達"を
師範がどうしてこの場を選んだのかなんとなく分かった。
今だに呪霊への同情がある私に対しての試練だった。
式神の方が効率が良いからと言いながらも、本当は自分の手で人間を殺すのが怖いだけ。
だから全て朱雀に任せ、自分はそれを見ているだけ。
ただの最低だった私は。
自分で出来ないから、他に押し付け。
ただただ自分は見ているだけで、なにもしない。
何故なら殺すのが怖いからです。
…なんて
そんなことで呪術師になりたいと思っていた私はただの馬鹿だ。
『呪術師になって、人を救いたい』
そんな、憧れを持っている私は何から人を救うのか?呪霊も祓うことの出来ない私が。
「ごめんね朱雀。戻って」
横で戦闘態勢になっていた朱雀は驚いた様な顔をしていたが私の顔を見ると全てを悟ったのか、炎に包まれながら消えてった。
それを見届けた私は目の前にいる呪霊達を見据えて態勢を低くした。
そしてウエストポーチのなかに手を滑りこませると、深く深呼吸をした
呪術師になったら、人を殺してしまう事なんてたくさんあるかもしれない。でもその度に躊躇しているようじゃ呪術師にはなれないよね。
結局、守るのは『自分か他の人』
きっと、これはどっちを守っても呪術師としては正しいことなんだ。
でも私が守るのは『自分と他の人』
私はやっぱり、おかしいのかもしれない。
だからといって、気持ちを変えたくないし、変える気もない
でも、その為には…………
ちゃんと、ここでケジメをつけなければならない
今にも襲いかかってきそうな呪霊達を見て、呪符を手に持って構える
今、この瞬間。私は変わる!!