第二章 高専入学
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定今のところは呪術廻戦の小説しかありませんが、いっぱい更新していきたいと思ってますので、
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ー伏黒sideー
俺には最近かなり困っている事がある。
そしてその原因を作り出すこいつは、今日も俺の隣に座ってひたすら話しかけてくる。
対して俺は、最近うんざりし始め、無視を貫き通し、窓の外に視線を送っている。
どこからどう見ても話を聞いていないのに、こいつはめげずにずっと話しかけてくる。
そいつの名前が
蝶凜アリア。
一応、俺の同期だ
だからといってこれといった話は全くしたことがない
一方的に蝶凜に話しかけられているだけだ。
たしかこの前は
「伏黒君、伏黒君!
伏黒君って本は好き?私は昔よく読んでてね。
そのせいか知らない人でも知っている本を読んでいるとついつい声をかけたくなっちゃうんだ~
同じ本を読んでいるだけで何だか特別な気がしちゃって
そのお陰で色んな人と仲良くなったんだ~」
そう言ってアハハ~と屈託なく笑うこいつの精神を疑った覚えがある
いくら同じ本を読んでいたとしても話しかけるか?普通。相手は初対面の奴だぞ?
話しかけられた奴もさぞ驚いた事だろう
いや、でも仲良くなったのか……
こいつの話を聞いていたら自然と分かることがある
単刀直入に言う。こいつは馬鹿だ。しかも重症
ただ、もう1つ加えて分かること…それが
とんでもなく善人だということ
現に今、こうして俺に話しかけてくることだってそうだ。
あからさま態度が悪い俺に対し、何も言わず、ずっと話しかけ、ずっと笑顔でいる。
今まで、ずっと聞きたかった
視線を窓から蝶凜に移してポツリと声を出す
「お前は…何の為に呪術師をやっている」
何故こんな善人が、一般人として過ごさず、わざわざ危険の多い呪術師になる道を選んだのか…
急に話しかけた俺に驚いたのか、質問の内容に驚いたのか、
どちらかは分からないが、蝶凜は元々大きかった瞳をさらに大きく開き俺を凝視して固まった
少しの沈黙の後、口を開いて
「…たくさんの人の命を救いたいから」
小さな声で、しかしハッキリとした瞳で俺を見返す
その様子から嘘偽りのない言葉だと分かる
……やっぱりこいつは善人なんだ
「伏黒君は?何の為に呪術師をやっているの?」
無意識なんだろう。ただ純粋に聞きたかっただけの質問。
だが答えたくなかった。代わりに違う言葉を放つ
「俺は呪術師としてお前みたいに全ての人を助けるつもりはない」
俺のその言葉に目の前にいる蝶凜は目を瞬かせる
「俺は、自分が助けたいと思った人間を助ける。
……不平等に人を助ける。そんな術師だ」
そう言ってまた視線を窓の外に向ける
この言葉を聞いて蝶凜は俺を突き放したり拒絶したりするかもしれない。
そんなの呪術師として正しくないと言って怒るかもしれない。
もしかしたらもう2度と話したくないとさえ思うかもしれない
だか、それでもいい。善人であるこいつが俺に関わってしまうのは良くないことだ。
そんなことを考えていた。だから次に蝶凜が発した言葉には心底驚いた。
「うん。いいと思うよ」
思わずバッと蝶凜の方を振り返る
当の本人は呆気からんとした顔でこちらを見ていた。
「は………………」
思わず間抜けな声が俺の口から漏れる
「だって、伏黒君が進む道だから、選ぶ権利は伏黒君にあるし……
私が口出ししていいことじゃないと思うから」
そう言って微笑む蝶凜の姿が眩しくて、思わず目を細めた
「それに、少し気持ちは分かるよ。
人を沢山殺しておいて自分は平気で笑ってる。
そして、自分が死にそうになればどんなことをしてでも生き延びようとする。
自分が悪くないと勝手に思い込み、分が悪くなれば、他人に押し付ける…………
そんなどうしようもない人間が世の中にはいっぱいいるからね。
そういう人を助けるとなると、これが正しいことなのかどうか分からなくなる……」
そう言って目を伏せる蝶凜の瞳に悲しそうな光が瞬いてなんと声をかけたらいいのか分からなかった。
すると、蝶凜がゆっくり顔を上げて俺を見つめる
「どんな選択をしても、伏黒君は伏黒君だよ」
そう言って、形のいい眉を寄せて困ったように笑う蝶凜を見て、何故だか分からないがすごく胸が締め付けられた
「私は、強くないから……
この世の人を全員救うなんて、すごいことを簡単に言うことが出来ないけど……
でも、せめて、少しでも私の力で救える命があるのなら……できるだけ救いたい。」
そう言う蝶凜に少し…少しだけ興味が湧いた。
その生き様に、
呪術師としての目標に、
一生懸命前を進んでいく姿に、
感動と尊敬の念を抱いた。
ただ、言葉にするときっとこいつは「私は尊敬されるほどすごい人じゃないよ」と困ったように笑うだろう。
だからこの気持ちは胸にとどめておく。
そして、その思いと同時に、こいつのことを守りたいと
そう、強く思った
春風が窓から吹きこんで俺達の髪を揺らす。
太陽に照らされ暖かな木漏れ日が教室に入り込む
とても心地よかった
その雰囲気を思いっきりぶち壊したのが
「ヤッホー!可愛い生徒達!
今日の授業はっじめっるよ~
…あれ?なんかいい感じ?」
バァァン!!という音をたてて入って来た教師にこれまで以上に殺意が湧いたのは言うまでもない。