君の好きなもの
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俺の彼女には好きなアイドルがいる。彼らは今人気急上昇中の△△と言うKPOPアイドルで、この間はテレビで特集も組まれていた。彼女は下積み時代から応援していたらしく、最近人気が上がってきた事を自分のことのように喜び、よく楽しそうに俺にも話してくれる。正直、自分の大好きな彼女がいくらアイドルとはいえど他の男に夢中なのは彼氏として面白くはない。はなが俺以外に「かっこいい」と言っているところを聞くと胸の奥から嫉妬という名のどす黒い感情が湧き出てくる。しかし彼女の大切な趣味を邪魔するようなことはしたくないし、自分もテニスばかりで彼女と過ごす時間をあまり取れずに寂しい思いをさせてしまっている身である以上彼女に不満をぶつけるわけにはいかない。それに、好きな人の好きなものを知りたいと思うのは事実なのではなの話はいつもちゃんと聞いているし、自分なりに彼らについて調べたりもしている。(勿論特集も録画して見た。)
そして今日、彼女が朝からやけに上機嫌だったので何かあるのかと不思議に思い尋ねた。
「なんや楽しそうやね、今日何かあるん?」
「実は今日△△のオンラインライブがあるの!久々だからずっと楽しみにしてたんだよね〜」
にこにこと嬉しそうに話すはなは可愛いが、俺は複雑な気分だ。この可愛い笑顔は俺にだけ向けてくれればいいのに。でもそんなことを考えているなんて悟らせてはいけないと、無理矢理笑顔を作る。
「そうなんや、そりゃ楽しみやね〜!明日感想聞くの楽しみにしとるわ」
「うん!じゅさ、いつも話聞いてくれてありがとうね」
そう言う彼女はとても嬉しそうで。今の笑顔は俺だけに向けられたものだ。それで満足してしまう俺はチョロいのだろう。でも、彼女の為ならばチョロい男にでもなんでもなってやろう、と思ってしまう俺はかなりはなに溺れている。
あっという間に1日の授業が終わり、部活の時間になった。いつもは部活が終わるまではなが待ってくれていて一緒に帰るのだが、今日はライブがあるからと先に帰ってしまった。寂しさを隠すように自分のコートに来たボールを打ち返す。テニスに集中している間は他のことを何も考えずにいられるのがありがたい。
部活も終わり、1人帰路に着く。今日の練習は思ったようにいかなかった。もうすぐ大会なのにこのままで大丈夫だろうか、これ以上強くなることはできないのだろうか、暗い夜道を歩いていると良くないことばかり考えてしまう。家に着き、食事と風呂を済ませて自分の部屋に戻っても気分は沈んだままだ。はなに会いたい、せめて声が聞きたい。俺はこんなにも彼女を求めているにに、彼女は今俺のことなんて忘れて他の男に夢中になってるんだろうか、そう思うと胸が潰れそうなくらい痛む。彼女はまだライブを鑑賞しているところだろう。普段ならライブなどイベントがある時は絶対にその間は彼女に連絡などしないのだが、今日は我慢ができそうにない。携帯電話を手に取り彼女の番号へ電話をかける。かけてみたはいいものの、彼女はライブ中はいつも絶対に全てのアプリ、SNSなどの通知をオフにしているのは分かっているため出ることはないだろうなと思っていた。しかし、予想に反して彼女は2コールほど鳴らした後すぐに電話に出た。驚きで固まっていると大好きな彼女の声が聞こえた。
「もしもし、じゅさ?どうしたの?何かあった?」
彼女の焦ったような心配したような声に胸がギュッと詰まる。
いつも俺が気を遣ってライブ中などは連絡しないことを彼女も知っているからこそ、何かよっぽどのことがあったのだろうかと心配してくれているのだろう。彼女の優しさに目頭が熱くなるがなんとか平静を装って返す。
「大事なライブ中に電話してしもてすまん。でも、よく通知気づいたな?」
すると、はなは言いにくそうに言葉を詰まらせる。
「それは、えっと…その、、」
「どないしたん?」
不思議に思い尋ねると、彼女は覚悟を決めたように続けた。
「じゅさの通知だけは、いつもミュートにしてないんだよね…」
「え?」
照れたように笑う彼女に愛しさが込み上げてくる。俺だけ?いつも?聞き間違いだろうか。信じられないくらい衝撃の事実に頭が追いつかない。うれしい。今すぐに叫びながら部屋中を走り回りたくなる気持ちを抑えて喜びを噛み締める。はなは大好きな△△のライブ中でも俺からの連絡なら出てくれる、そう思うだけでなんだか優越感を感じてしまう。
にやにやとだらしなく上がる口角を隠すこともなく喜びに浸っているとはなが恥ずかしさからかまた口を開く。
「それで、何があったの?」
忘れていた。特に用もなく、ただ寂しくて嫉妬して電話しただけなのだが何と言おうか。誤魔化そうと思えばできるが、この際思っていることを打ち明けるのも良いかもしれない。彼女なら、俺のこんな気持ちも笑ったり嫌がったりせずに聞いてくれるに違いない、そう自分に言い聞かせる。
「特に何か用があったわけやないんやけど、俺の話聞いてくれへんやろか?」
「勿論聞くよ!話してほしいな」
そう言ってくれることに安心して、少しずつ話し始める。
「俺な、嫉妬してたんや。はなが△△について話したりかっこいいっていうの聞く度に
胸が痛なって、そんな嫉妬してまう自分にも腹立って、、」
「勿論ファンやめてほしいとか思っとるわけやないよ?ええ趣味やと思うし、はなが好きなもんは俺も好きになりたいと思っとる。でも、ちょっと寂しかったんや」
続けて言うと彼女が口を開いた。
「そっか、、気付かなくてごめんね。じゅさに言わせちゃうまで追いつめちゃって、ほんとにごめん。」
「私ね、本当にじゅさのこと大好きだよ。こんなに人を好きになるのは初めてっていうくらい。いつでも私の最優先はじゅさだし、誰よりも大切なの」
彼女から告げられる率直な気持ちに胸が高鳴る。不安に思うことなんて何もなかったんだ。愛されてるのを感じられて、嬉しさのあまり思わず泣いてしまいそうになるのをなんとか堪えて彼女へ伝える。
「俺も、本当に大好きや。世界の誰よりもはなが大切で、愛してる。」
照れたように、でも心底嬉しそうに「ありがとう」と言う彼女が堪らなく愛しい。
それから他愛もない話をして気付いたらかなり時間が経っていた。
「すまん!話しすぎてもうた、、折角ライブ楽しみにしとったのに…」
「大丈夫だよ、アーカイブも残るし。それに、じゅさと話してる方が楽しいから」
あぁ、本当に彼女には敵わない。どんな時でも俺が1番欲しい言葉をくれる彼女はもしかしたらエスパーなのかもしれない、なんて馬鹿なことを考える。
もし許されるなら、明日からは少しだけ我儘になってみようか。きっと彼女なら全てあの温かい笑顔で受け止めてくれるだろうから。
その日を境に、俺ははなに「俺と△△とどっちが好きなん?」とか「俺と2人の時は俺のことだけ考えとって」とか言って、嫉妬を隠さなくなった。それでも彼女はいつも優しく聞いてくれるし、前よりも△△の話をする頻度が減った気がする。はな曰く、「じゅさとの時間を大切にしたいから。それに、折角2人でいるのにいちゃいちゃしないのは勿体無いしね」と。可愛すぎやしないだろうか。幸せを噛み締め、空を仰ぐ。あの時思い切って電話して、打ち明けてみて良かった。これからも思ったことは正直にぶつけてみよう。そう心に誓って、目の前で楽しそうに話すはなを胸に引き寄せて抱きしめた。
そして今日、彼女が朝からやけに上機嫌だったので何かあるのかと不思議に思い尋ねた。
「なんや楽しそうやね、今日何かあるん?」
「実は今日△△のオンラインライブがあるの!久々だからずっと楽しみにしてたんだよね〜」
にこにこと嬉しそうに話すはなは可愛いが、俺は複雑な気分だ。この可愛い笑顔は俺にだけ向けてくれればいいのに。でもそんなことを考えているなんて悟らせてはいけないと、無理矢理笑顔を作る。
「そうなんや、そりゃ楽しみやね〜!明日感想聞くの楽しみにしとるわ」
「うん!じゅさ、いつも話聞いてくれてありがとうね」
そう言う彼女はとても嬉しそうで。今の笑顔は俺だけに向けられたものだ。それで満足してしまう俺はチョロいのだろう。でも、彼女の為ならばチョロい男にでもなんでもなってやろう、と思ってしまう俺はかなりはなに溺れている。
あっという間に1日の授業が終わり、部活の時間になった。いつもは部活が終わるまではなが待ってくれていて一緒に帰るのだが、今日はライブがあるからと先に帰ってしまった。寂しさを隠すように自分のコートに来たボールを打ち返す。テニスに集中している間は他のことを何も考えずにいられるのがありがたい。
部活も終わり、1人帰路に着く。今日の練習は思ったようにいかなかった。もうすぐ大会なのにこのままで大丈夫だろうか、これ以上強くなることはできないのだろうか、暗い夜道を歩いていると良くないことばかり考えてしまう。家に着き、食事と風呂を済ませて自分の部屋に戻っても気分は沈んだままだ。はなに会いたい、せめて声が聞きたい。俺はこんなにも彼女を求めているにに、彼女は今俺のことなんて忘れて他の男に夢中になってるんだろうか、そう思うと胸が潰れそうなくらい痛む。彼女はまだライブを鑑賞しているところだろう。普段ならライブなどイベントがある時は絶対にその間は彼女に連絡などしないのだが、今日は我慢ができそうにない。携帯電話を手に取り彼女の番号へ電話をかける。かけてみたはいいものの、彼女はライブ中はいつも絶対に全てのアプリ、SNSなどの通知をオフにしているのは分かっているため出ることはないだろうなと思っていた。しかし、予想に反して彼女は2コールほど鳴らした後すぐに電話に出た。驚きで固まっていると大好きな彼女の声が聞こえた。
「もしもし、じゅさ?どうしたの?何かあった?」
彼女の焦ったような心配したような声に胸がギュッと詰まる。
いつも俺が気を遣ってライブ中などは連絡しないことを彼女も知っているからこそ、何かよっぽどのことがあったのだろうかと心配してくれているのだろう。彼女の優しさに目頭が熱くなるがなんとか平静を装って返す。
「大事なライブ中に電話してしもてすまん。でも、よく通知気づいたな?」
すると、はなは言いにくそうに言葉を詰まらせる。
「それは、えっと…その、、」
「どないしたん?」
不思議に思い尋ねると、彼女は覚悟を決めたように続けた。
「じゅさの通知だけは、いつもミュートにしてないんだよね…」
「え?」
照れたように笑う彼女に愛しさが込み上げてくる。俺だけ?いつも?聞き間違いだろうか。信じられないくらい衝撃の事実に頭が追いつかない。うれしい。今すぐに叫びながら部屋中を走り回りたくなる気持ちを抑えて喜びを噛み締める。はなは大好きな△△のライブ中でも俺からの連絡なら出てくれる、そう思うだけでなんだか優越感を感じてしまう。
にやにやとだらしなく上がる口角を隠すこともなく喜びに浸っているとはなが恥ずかしさからかまた口を開く。
「それで、何があったの?」
忘れていた。特に用もなく、ただ寂しくて嫉妬して電話しただけなのだが何と言おうか。誤魔化そうと思えばできるが、この際思っていることを打ち明けるのも良いかもしれない。彼女なら、俺のこんな気持ちも笑ったり嫌がったりせずに聞いてくれるに違いない、そう自分に言い聞かせる。
「特に何か用があったわけやないんやけど、俺の話聞いてくれへんやろか?」
「勿論聞くよ!話してほしいな」
そう言ってくれることに安心して、少しずつ話し始める。
「俺な、嫉妬してたんや。はなが△△について話したりかっこいいっていうの聞く度に
胸が痛なって、そんな嫉妬してまう自分にも腹立って、、」
「勿論ファンやめてほしいとか思っとるわけやないよ?ええ趣味やと思うし、はなが好きなもんは俺も好きになりたいと思っとる。でも、ちょっと寂しかったんや」
続けて言うと彼女が口を開いた。
「そっか、、気付かなくてごめんね。じゅさに言わせちゃうまで追いつめちゃって、ほんとにごめん。」
「私ね、本当にじゅさのこと大好きだよ。こんなに人を好きになるのは初めてっていうくらい。いつでも私の最優先はじゅさだし、誰よりも大切なの」
彼女から告げられる率直な気持ちに胸が高鳴る。不安に思うことなんて何もなかったんだ。愛されてるのを感じられて、嬉しさのあまり思わず泣いてしまいそうになるのをなんとか堪えて彼女へ伝える。
「俺も、本当に大好きや。世界の誰よりもはなが大切で、愛してる。」
照れたように、でも心底嬉しそうに「ありがとう」と言う彼女が堪らなく愛しい。
それから他愛もない話をして気付いたらかなり時間が経っていた。
「すまん!話しすぎてもうた、、折角ライブ楽しみにしとったのに…」
「大丈夫だよ、アーカイブも残るし。それに、じゅさと話してる方が楽しいから」
あぁ、本当に彼女には敵わない。どんな時でも俺が1番欲しい言葉をくれる彼女はもしかしたらエスパーなのかもしれない、なんて馬鹿なことを考える。
もし許されるなら、明日からは少しだけ我儘になってみようか。きっと彼女なら全てあの温かい笑顔で受け止めてくれるだろうから。
その日を境に、俺ははなに「俺と△△とどっちが好きなん?」とか「俺と2人の時は俺のことだけ考えとって」とか言って、嫉妬を隠さなくなった。それでも彼女はいつも優しく聞いてくれるし、前よりも△△の話をする頻度が減った気がする。はな曰く、「じゅさとの時間を大切にしたいから。それに、折角2人でいるのにいちゃいちゃしないのは勿体無いしね」と。可愛すぎやしないだろうか。幸せを噛み締め、空を仰ぐ。あの時思い切って電話して、打ち明けてみて良かった。これからも思ったことは正直にぶつけてみよう。そう心に誓って、目の前で楽しそうに話すはなを胸に引き寄せて抱きしめた。
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