42.5.百日草
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皆様初めまして、私は米原桜子と言います
年齢は23歳です
突然ですが私⋯
「うぁぁぁぁっひぐっ⋯ぐすっ⋯ざ、ざぐらぢゃっ⋯」
「⋯⋯」
⋯何故か、見知らぬ女の子に泣きつかれてしまっています⋯
何故こんな事になったかと言うと⋯
それは数分前の事ー⋯
私のお仕事は炊事洗濯⋯つまり家政婦をしているのですが
お勤め先で毎回⋯
毎回、毎回っ!!
何故か殺人事件に巻き込まれるんです!
こんな状態をどーにかしたくて神社にお参りに行った時
犬を連れたイケメンのお兄さんがリフレーミング⋯
ものの見方を変えてはどうかとアドバイスをくれて
また家政婦として頑張ろう!って思っていたけれど⋯
結局またお勤め先で事件に巻き込まれてしまいました⋯
だから今度こそは!と違う神社にお参りに行って
お参りを済ませて鳥居を潜ろうとしたら⋯
ドンッ
と神社に入ってこようとした女の人にぶつかってしまいました
「あっ、ごめんなさ⋯」
謝って女の人の顔を見た瞬間
女の人はどこか虚ろな目をしていてー⋯
私は、咄嗟にその肩を掴んでいました
「だ、大丈夫ですか!?」
肩を軽く揺すると女の人の目に段々と光が戻ってきて⋯
その人はハッとした顔をした
「⋯⋯⋯ぇ⋯
じん⋯じゃ⋯?
私⋯なんで、ここに⋯」
ボーッと神社を見つめる女の人を不思議に思って
少しだけその顔を覗き込んだ
「あの⋯大丈夫ですか⋯?」
私がそう言うと女の人の視線がこちらを向き
目と目が合った⋯
瞬間
「は!?え!?さくらちゃん!?」
ガシッと今度は私の両肩を逆に掴まれた
「えっ⋯と⋯私の名前は桜子⋯ですけど⋯
何で私の名前を知って⋯」
全てを言う前に女の人の目に涙が溜まったと思ったら
「さっ⋯
ざぐらぢゃんっっっっ!!」
泣きながらその場に崩れ落ちてしまった
「うぁぁぁぁっひぐっ⋯ぐすっ⋯ざ、ざぐらぢゃっ⋯」
それからとりあえず近くのベンチに移動したけれど
女の人は変わらず私の膝で泣き崩れていた
「⋯⋯」
なんでこんな事に⋯
「ひっく⋯ぐすっ⋯さくらちゃんっ⋯」
「⋯⋯えっ⋯⋯と⋯
⋯私、何かしちゃいました⋯かね?」
恐る恐る女の人に声をかけると女の人はピタリと動きを止めた後
「さくらちゃんが⋯私に、何か、した⋯?」
そう呟くとバッと顔を上げ
クワッ!!と目を見開いて私の肩をガシッと掴んだ
「そんな事あるわけないに決まってっ⋯!!
⋯あれ?
さくらちゃん⋯じゃない⋯?」
そう言ってキョトンとした女の人
⋯え、もしかして⋯
この人⋯
私を『さくらちゃん』って人と勘違いしてた⋯?
「えっと⋯私は米原桜子⋯です」
改めて自分の名前を言うと
女の人はポカンと口を開けた後
ボッ!!とその顔を真っ赤に染めた
「ごっ!!ごごごごごごごめんなさいっ!!
そのっ!貴方の声が知り合いの声に凄く似ててっ!
ま、間違えちゃい⋯まし、た⋯」
最後は小さい声になりながらモジモジとそう言った女の人を見て
「⋯⋯ぷっ⋯あははっ」
抑えきれずに声を出して笑ってしまった
「あれだけしっかり顔見たのにっ
間違えたって⋯ふふっ」
おかしくて口を抑えて笑っていると
「ぅぅっ⋯さくらちゃんの声でっ⋯
わ⋯わらっ⋯笑って⋯」
また女の人の目に涙が溜まってきたので
ぎょっとして慌ててハンカチを渡した
「ちょちょちょ!な、泣かないで下さいっ」
「うぅ⋯やっぱり丹下ボイスの人は皆優しいぃっ⋯」
「?」
たんげぼいす⋯?ってなんだろう⋯?
首を傾げているとハンカチで涙を拭った女の人が1度ゆっくりと深呼吸をした後顔を上げた
「さっきから色々取り乱してすみません⋯」
「あ⋯いえ⋯えと⋯恐らくですけど⋯
私の声が貴方の知り合いの『さくらちゃん』って人と似てるんですよね?」
「はい⋯」
「それだけでそんなに号泣するなんて⋯
もしかしてその人と会えてないんですか?」
私がそう言うと、女の人はぎゅっとハンカチを握りしめ
切なそうに微笑んだ
「⋯⋯はい、会えてない⋯
というか、もう⋯会えないん⋯です」
「会えない⋯?」
もしかして⋯
その人、亡くなっちゃったのかな⋯
それなら悪い事を聞いたな⋯
と、しゅんとしていると
それを察したのか女の人が慌てて明るい声を出した
「あっでもでもっさくらちゃんの事は今でも完全再現できるくらいには思い出せるし
なんならスマホに画像データもちゃんと移したので大丈夫ですよ!」
「そう⋯なんですか⋯」
亡くなった人をそれ程大事に想ってるなんて⋯
なんていい人なんだろう⋯
「⋯⋯」
その時さっきの泣いてる女の人の顔を思い出し
気づけば
「⋯あの、何か私に手伝える事があれば言って下さいね」
とそんな言葉が口からでていた
辛い事を人に話せばすっきりするかもしれないし⋯
そんな気持ちで放った言葉が
「手伝える⋯事⋯?⋯」
まさかあんな事になるとは思わなかった
「えっ⋯⋯と⋯⋯
は、は⋯
はにゃーん⋯⋯?」
「違う!違う!もっと自然に!
幸せで嬉しくて照れた気持ちを表現して下さい!!」
「⋯⋯」
帰りたい
あれから『さくらちゃん』と似ている私の声を録音したいと女の人から言われ
指示された言葉をスマホに向かって喋っていたけれど⋯
「はにゃー⋯んっ⋯」
これ⋯
は⋯恥ずかしすぎるっ!!
「駄目です!駄目です!!
もっと声色を甘く!とろける感じで!
はい!もう1回お願いします!」
「うぐっ⋯」
手伝える事がないか言ったのは自分なので
やめたいとは言いにくい⋯
「さぁっ!早く早くっ!」
目をキラキラさせながら私にスマホを向ける女の人を見て
「っ⋯」
こうなればヤケだ!
と恥を捨ててスマホに向かって口を開いた
「は⋯
はにゃ〜んっ」
「っっっ!!
かっ⋯
がわいいいっっっ!!」
女の人は目を覆って天を仰いでいて
思わずその姿をジトーっとした目で見てしまっていた
⋯いや、本当になんなんだこの人⋯
「えっと⋯ご満足頂けたでしょうか⋯」
半ばげっそりしながらそう言えば
女の人は顔をパァァっと明るくさせながら頷いた
「はいっ!!もう大大大大満足ですっ!!」
「それなら良かったです⋯」
もう早くこの場から立ち去ろう⋯
と思っていると
ふと、女の人がワントーンだけ声を落とした
「⋯⋯あの、最後の⋯お願いなんですけど⋯
⋯『絶対⋯大丈夫だよ』って⋯
言ってくれませんか?」
「え?」
ふと女の人を見れば⋯
どこか縋るような目をしていてー⋯
「⋯⋯」
何故だか⋯
放っておけなかった
「⋯⋯大丈夫、」
女の人の手を取り
その手を優しくぎゅっと握る
「⋯⋯ぜったい⋯
だいじょうぶだよ、」
「っっ⋯!!」
女の人は大きく見開いた目に涙を滲ませた後
とても嬉しそうに、笑った
『百日草』
「あの女の人元気にしてるかな⋯
⋯あ、そう言えば名前聞きそびれちゃった⋯」
「米原さーん!お買い物お願ーい!」
「あ、はーい!!
⋯また、どこかで会えたらいいな⋯」
「蘭姉ちゃん、桜さんすっごい落ち込んでるけど⋯
何かあったの?」
「それが⋯
仲良くなった女の子の携帯番号聞き忘れちゃったんだって」
「⋯もぅマヂ無理⋯録音聞こ⋯」
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