35.5.野球
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「野球回⋯じゃぁぁぁーっ!」
ぐっと背伸びしながら大きな声を出せば
右隣を歩いていた風見さんがびくっと肩を揺らした
「八月一日さん⋯?」
「あ⋯す、すみません⋯ちょっとテンション上がっちゃって⋯」
と苦笑いすれば左隣を歩いていた安室さんが
「まぁ今日は⋯絶好の野球日和ですからね」
青い空を見上げて穏やかに笑った
とある日
米花町の野球チーム⋯米花ライスフラワーズに参加している小五郎さんとポアロのマスターが2人とも風邪でダウンした為
同じく野球チームに参加している梓ちゃんから助っ人を探していると相談を受けて
安室さんと風見さんが急遽参加する事になったのだ
「それにしても⋯八月一日さんは野球をしないんですか?」
風見さんにそう言われてキョトンとしてその顔を見上げた
「え?私?
やだなぁ〜風見さん、
引きこもりヲタの私に野球なんて出来るわけないじゃないですか〜」
ご冗談をー、と笑えば「そ⋯そうですか⋯」と風見さんから苦笑いされた
じゃあ何で来たのかと言われそうだが
今回私は救護係として来たのだ
決して⋯
ユニホーム姿の梓ちゃんに釣られたわけではない!!
「そうだ、八月一日さん⋯自分の事は皆の前では⋯」
「分かってますよっ
安室さんの昔の助手の⋯飛田男六さん⋯ですよねっ?
あ!グラウンドが見えてきましたよ!」
提無津川の河川敷にある野球グラウンドが見えてきて
消毒液やガーゼ等の救急セットの入ったカバンを持ってそっちへと走り出せば
グラウンドに居た梓ちゃんがこっちに気づいて大きく手を振った
「桜ちゃん!安室さん!こっちこっちー!」
階段を降りてグラウンドへ行くと
梓ちゃんとラーメン小倉の大将⋯小倉さんの方へと駆け寄った
「小倉さんこんにちはっ!」
「おう!桜ちゃんは今日も元気だな〜」
「元気が取り柄ですからっ
それにしても⋯梓ちゃんユニホーム姿可愛い〜っ」
「えへへ⋯ありがとう」
照れたように笑う梓ちゃんに癒されていると
安室さんと風見さんもグラウンドへと降りてきて
小倉さんに挨拶をしていた
「グローブとバットを触ったことがあるくらいで、お役に立てるかは分かりませんが⋯」
「今日は練習試合!打席と守備位置に立ってくれるだけでありがたいからよ!」
「彼には期待して下さい!!野球小僧だったらしいので⋯」
安室さんがそう言うと風見さんは1歩前に出て小倉さんへ手を差し出した
「昔安室さんの助手をつとめていた飛田です!
どうぞよろしく!」
「安室さんの助手!?ホームズのワトソンさんみたいな?」
「ワトソン?⋯まぁそんなものです⋯」
すると風見さんの顔をじっと見ていた梓ちゃんが不思議そうに風見さんへ声をかけた
「失礼ですけど、どこかでお会いしました?」
「え!?気のせいでは?よくある顔なので⋯」
「そうかなぁ⋯どこかで⋯」
⋯もしかして『風見さん』の時に会った事があるのかな⋯?
『風見さん』を知られるのは良くないだろうから
話をそらした方がいいかも⋯
「そういえば梓ちゃん、今日緑さんも来てるって聞いたんだけど⋯」
「あ!うん!栗山さんももう来てあそこのベンチに居るよ!」
梓ちゃんが指さした先には鶴山のおばあちゃまにお茶を差し出している緑さんがいた
「鶴山のおばあちゃまも来てたんだねっ」
「うん、今日は習い事が休みだからって」
「じゃあとりあえずあそこのベンチに荷物置こうかな
アイスノン用の氷も確認したいからちょっと着いてきてくれる?」
「うんっ」
そう言って梓ちゃんとベンチに行こうとしたら
「これはこれは⋯ライスフラワーズに寝返った裏切り者、小倉の大将じゃねぇか!」
サングラスをかけた体格のいい男の人を筆頭に
黒いユニホームを着た人達がゾロゾロとやってきた
「嫌味はいいからとっととアップしろ!
お互いいい歳なんだから怪我するぞ!」
「必要ないね!
眠りの小五郎とポアロのマスターがいないんじゃ、お前らなんて飛車角落ちもいいとこだ!
助っ人はどこの馬の骨ともつかない、若いの2人⋯
相手にならんね!
ワハハハハハ!!」
その態度に、思わずムッとしてしまった
「梓ちゃん⋯あの人達って⋯」
「今日の相手の杯戸ジャガーズの人達よ⋯
前はあんな感じじゃなかったんだけど⋯
ラーメン小倉の店長がジャガーズからライスフラワーズに移籍してから
ジャガーズの勝率が下がったっていつも文句言ってて⋯」
「だからってあの態度はいけないよね⋯
まぁ今日は安室さんがいるから⋯」
スカッと勝ってくれるだろうな⋯
そう思っていたけれど⋯
「うわぁっ」
「ストライクバッターアウト!!」
「⋯へ?」
安室さんが振りかぶったバットにはボールが当たることはなく
安室さんはスリーアウトになってしまった
「へっへっ見た目だけかい兄ちゃん?」
「速すぎて見えませんでした〜」
得意げに笑うピッチャーに
安室さんは爽やかに笑いながら打席から離れた
安室さん⋯本気じゃない?
安室さんならかっ飛ばしてホームランでも打ちそうなのに⋯と思い
ベンチに戻ってきた安室さんにこっそり話しかけた
「安室さん本気ださないんですか?」
「⋯風見にも言われたけど⋯僕は本気だよ?」
キョトンとした顔でそう言われて
そんな馬鹿な⋯とジロジロ見れば苦笑いされた
「ほら、次は彼の番だから応援してやってください」
「は、はい⋯」
納得いかない⋯と思いながら風見さんを応援するため前を向いた
それから試合は進んでいき⋯
5回表のツーアウト、一・二塁
ジャガーズは9点
対してフラワーズは0点
あんまり野球のルールには詳しくないけど
確か5回終了時に10点差以上あればコールド勝ちってのになるんだったよね⋯?
じゃああと1点でもとられたら負けてしまう⋯
頑張って⋯とピッチャーの大橋さんを見れば
明らかに息切れをしていた
大橋さん⋯大丈夫かな⋯
「ピッチャーへばってるよー!」
「間抜けたら終わりだぜ」
相手のその掛け声に大橋さんは悔しそうに歯を食いしばった後ボールを投げたけど
コンッと
バッターがバンドを行い、ボールは前へとコロリと落ちた
「セーフティ!?まかせろ!!」
大橋さんがそう言って走り出したけど
「!!」
グリっ!と足を捻ってしまいその場に倒れた
「!!大橋さん!」
「三塁間に合わない!!一塁!!」
焦った小倉さんが投げたボールは狙いから大きく外れ
一塁の人が取るができずに外野へと向かう
「暴投だ!!まわれまわれ!!」
「これでジャガーズのコールド勝ちだ!!」
そんなっ⋯
このまま負けるなんてっ⋯
そう思ってたら
「あっ⋯」
外野に居た安室さんがボールを掴み
大きく振りかぶったと思ったら
ゴゥッ!!
「⋯へ、」
バシュッ!!
と気持ちのいい音を立てて
ボールはキャッチャーの小倉さんの手の中へと吸い込まれていった
それに皆が呆然としながら
小倉さんがすぐ近くに居たランナーへとポンッ⋯と当てる
「スリーアウト!チェンジ!!」
その言葉にフラワーズの皆がわあっ!と声をあげた
「ナイスプレー安室さん!!」
「たまたまですよ!」
梓ちゃんとコツンと拳を合わせそう言った安室さんに
たまたま⋯?
と内心白目を向けながら私は大橋さんの所へ駆け寄った
「大橋さん大丈夫ですかっ!?」
「桜ちゃん⋯だいじょ⋯いたっ⋯」
「無理しないで下さいっ
とにかくベンチまで行きましょう」
「ほら、捕まれ」
「うん⋯」
小倉さんに支えられながら大橋さんがゆっくりとベンチへ向かって行っていると
「とっとと歩いてチェンジしろよー」
「俺らが勝ったら閻魔ラーメンサービスだからな!」
「これ以上やっても無駄無駄!」
「早く飲みに行こーぜー、ビールの泡が抜けちまう!」
「なっ⋯」
怪我人がいるのに⋯なんて態度なのっ⋯!?
ムカッとしてひと言文句を言ってやろうと
「ちょっと!!」
と1歩踏み出したら
ぐいっと肩を引かれて二三歩たたらを踏んだ
「わっ⋯安室さん!?」
肩を引いたのは安室さんで、ぐわっ!とその顔を見上げた
「止めないで下さい!ちょぉっと文句言いに言ってくるだけですからっ!」
「落ち着いて下さい、桜さん」
「八月一日さんの言う通りです!試合中になんて態度だ⋯自分が一言!」
そう言って風見さんが1歩踏み出そうとしたけれど
安室さんはそれも止めてしまった
「君も落ち着いて⋯それに野球でやられたら、野球でとり返さないと⋯
桜さんは大橋さんを診てもらえますか?」
「はっ!!そうだった!!」
怒りで本来の仕事を忘れてたっ⋯
慌てて大橋さんの所へ近寄れば
「でも大橋ちゃんが投げられないんじゃ⋯」
「このまま⋯」
と皆が暗い顔をしていた
「皆さん⋯」
その時
暗い雰囲気になった空気を壊すかのように
「⋯いや、僕達が勝つ可能性はまだ
ゼロじゃありませんから⋯」
安室さんが、自信ありげにそう言った
大橋さんの足は青くはなっていないものの少し腫れていた
「ごめんなさい、ちょっと痛いですけど⋯テーピングで固定しますね」
大橋さんに断りを入れて足首にテーピングをして固定していく
固定した後アイスノンの袋に氷をつめてタオルで巻いた後足にそっと当てて患部を冷やした
「桜ちゃん手際がいいのね」
「え?あっ⋯えへへ⋯前に看護師をしてた事があって⋯」
「へぇ⋯そうなんだ」
「あ!安室さんが打つよ!」
緑さんのその言葉に顔を上げれば
攻守が交代し、安室さんがバッターボックスに立っていた
「安室さん⋯」
今までの感じからして
もしかしたら安室さん⋯
打つのが苦手なのかもしれない⋯
でも前にヘイルを封印する時はフライパンで的確に雹を跳ね返してたよね⋯
あれはまぐれだったのかな⋯?
なんて思ってハラハラしながら見ていたら
カキイィィイン!!
「う⋯わ⋯」
安室さんの打ったボールは勢い良く飛んでいき
ボチャン!と川へと落ちた
「ホ⋯ホームラン⋯」
軽い足取りでホームを回って戻ってきた安室さんにフラワーズの皆がわあっ!と歓声を上げた
「すっげー飛んだなー!」
「いやぁ思いっきり振ったら当たってくれました!」
安室さんは偶然だなんて言い方してたけど⋯
絶対偶然じゃないと思う⋯
すると風見さんがブンッ!ブンッ!と素振りしながら声を張り上げた
「さぁさぁ!これからこれから!!
9対1の8点差!!
追い上げていきましょう!!」
「かざ⋯飛田さん頑張って下さいっ!」
「っ!はい!任せて下さい!」
風見さんの次は大橋さんの代わりに緑さんが打席に立つ事になり
ヘルメットを被った緑さんは少し不安そうにバットを握った
「栗山さんごめんなさい!私が足をひねらなければ⋯」
「だ⋯大丈夫です⋯
でも私⋯ストレス解消にバッティングセンターで遊んだことしかないから⋯」
そう自信なさげに言う緑さんに安室さんが近寄り何かを耳打ちしていた
何て言ってるんだろ⋯?
不思議に思っていると
「ストライクバッターアウト!!」
風見さんはアウトになってベンチに戻ってきた
そして緑さんの番になったかと思ったら
「ボール!」
「ボールツー!」
と2回連続で相手はボールを出していた
「急にストライクが入らなくなった!
どんなアドバイスしたんです?安室さん⋯」
「あのピッチャー女性が打席に入ると、ボールを当てる事を恐れてか外角ばかり放ってくるんですよ!」
「へぇ⋯なるほど⋯」
「流石、目のつけどろこが違ぇや!」
「梓さんや、彩代さんの打席で、そうなんじゃないかなと⋯」
ほんと、よく見てるなぁ⋯安室さん
結局フォアボールになり
緑さんは軽い足取りで一塁へと向かった
「ラッキー!」
その後
安室さんが皆に相手投手のクセを教えて
明らかに皆の打撃率が上がり
「スリーアウトチェンジ!」
攻守が交代する時には2点入っていて
フラワーズは3点になっていた
「やっと相手の攻撃が終わったぜ!」
「でもまだ6点差あるし⋯」
「敵さんのエースも投げれねぇんだろ?」
「楽勝楽勝!!」
と大笑いするジャガーズの人達
その笑い声を遮るように
ズドンッ!
と大きな音がグラウンドに響き渡った
「ストライクワン!」
「「え?」」
大橋さんの代わりに投げる事になったのは⋯
「あ、安室さん!すごーい!!」
安室さんだった
「ほんと⋯すご⋯」
やっぱり安室さんにできないこと⋯
なかったわ⋯
それから安室さんはストライクを繰り出していって
気づけば七回表も終わり
点数はジャガーズは9点のまま
フラワーズは7点と点差を縮めていた
梓ちゃんが打席に立ち
打ったボールは間を抜けて梓ちゃんは一塁へと進んだ
「ナイスバッティン!!梓ちゃん!!」
「梓ちゃんかっこいい〜っ!!」
声をかければ梓ちゃんは照れたようにグッと拳を作ってくれた
けど⋯
「最終回、あと1人あと1人!」
「声出していけ!!」
相手もいつの間にか馬鹿にするような事は止めて
真剣に野球をプレーをしていて
そのせいか⋯
「7回裏、2点差⋯ツーアウト、一・二塁···」
次にアウトを取れば試合が終わってしまう
でも⋯
打席に立つのは⋯
「あとは頼んだ⋯安室さんっ!!」
安室さんだ
「安室さんっ⋯」
どうかお願いっ⋯と手を組んで祈ってみたけれど
「ボール!」
相手は安室さんを警戒してわざとボールを出していた
「あちゃあ、やっぱり勝負してもらえないか⋯」
「そんなっ⋯」
「となると次のバッターは今日ノーヒットの⋯」
皆の視線がフンッ!フンッ!と素振りする風見さんへと集まる
「「「⋯⋯」」」
う⋯うん⋯何となく皆の言いたい事は分かる⋯
風見さんには申し訳ないけど⋯
すると
「スリーボール!!」
審判の声が響いてそっちを見れば
相手はまたボールをだしていた
「あぁっ⋯」
次にボールをだされたら安室さんの出番は終わってしまう
もしそうなったら⋯もう勝利は⋯
その時
「ぇ⋯」
安室さんはバットの向きをクルンッと回転させると
持ち手を逆さに変えて構えた
「あ、あれは!!敬遠に抗議した伝説の名選手の構え!!」
すると相手の投手は悔しそうにぐっと食いしばった後大きく腕を振りかぶった
「ナメんな!!」
ボールは明らかに真ん中を進んでいて
ギイィン!!と安室さんはそのままボールを打った
「抜けたー!!」
ボールは間を抜けて、三塁に居た人と梓ちゃんがホームに帰ってきて
点数が2点入る
「同点!!」
皆が興奮して梓ちゃん達に目を向けている中
私は、安室さんに目を奪われていた
「は⋯早いっ⋯」
ボールを打った安室さんはぐんぐんと一塁、二塁と回って
あっという間に三塁を回ってしまった
「三塁まわったぞ!!」
「え!?もう!?」
「バックホーム!!」
ボールがキャッチャーへと投げられる
安室さんはぐっと手を伸ばすと
ズサアァッ!と砂ぼこりを上げながら
ホームベースへと飛び込んだ
皆が息を飲み、砂ぼこりが晴れるのを待つ
「⋯っ!!セーフ!!」
審判の声が響き渡ると同時に歓声が上がり
安室さんがゆっくりと起き上がった
「ホラ⋯」
すると⋯安室さんの背中に貼り付けられていた
10の背番号の⋯1がペラっと剥がれ落ち
そこには0の数字だけが残った
「ゼロじゃなかったでしょ?」
0を背負う安室さんの背中は輝いていて
「かっこ⋯いい⋯」
その背中から、目が離せなかった
「我らが米花ライスフラワーズの勝利を祝しまして
乾ぱーい!!」
あれからラーメン小倉で杯戸ジャガーズの皆さんと打ち上げする事になり
わいわいと盛り上がる中心には⋯安室さんが居た
「やるな兄ちゃん!最高のウイニングホームランだったぜ!
ジャガーズに入らないか?」
「いいや!安室さんはライスフラワーズだ!!」
「人気者だなぁ⋯」
まぁあんなプレーを見せられちゃね⋯
と苦笑いしながら少し離れた所でお酒をチビチビ飲んでいると
「桜ちゃん飲んでるっ?」
「大橋さんっ」
大橋さんが隣に座った
「足は大丈夫ですか?」
「桜ちゃんの処置のおかげかもうすっかり痛みは引いたよ
軽い捻挫だったんだろうね」
グラスをこちらへ傾けた大橋さんにカチンと自分のグラスを当てるとニッと笑って大橋さんはぐいっとビールを飲んだ
「それなら良かった⋯でも念の為病院には行って下さいね?」
「そだね、明日行ってみるよ
それにしても⋯
桜ちゃんって安室さんの事好きなんだ?」
「ブホッ!!」
不意打ちをくらい飲んでいたお酒を吹き出してしまった
「ゲホッ!ゴホッ!ゲホッ!
ななななっ!?!何言ってるんですか大橋さん!?」
慌てて大橋さんを見れば
大橋さんはニヤッと笑いながら私を見ていた
「だって桜ちゃん、安室さんが最後の得点決めた時
かっこいい⋯って言ってたし」
「⋯へ?わ⋯私、そんな事言ってました⋯?」
確かに思ってはいたけど⋯
口にだしてたなんて⋯
「言ってたよ〜?
しかもその時の表情⋯恋する乙女〜って感じだったしさっ」
「こっ!?いやいや!違う違う違う!違いますからっ!」
「え〜?ほんとに〜?」
「ほんとですって!安室さんはただの友達で⋯」
「へぇ〜⋯ただの友達にあんな顔、するんだ〜?」
「ぐっ⋯だ、だから⋯」
ニヤニヤしながらそう言う大橋さんに
慌てて弁明しようとすると
「何の話をしているんですか?」
「!!安室さんっ!」
後ろから安室さんが私たちの間にひょいっと顔を出した
「それが桜ちゃ⋯んぐっ!」
「なななな!!何でもないです!!
あぁ!か⋯飛田さんそんなに飲んで!!飲みすぎですよっ!!」
慌てて大橋さんの口を塞いだ後
逃げるように後ろの席で酔って机に伏せている風見さんの方へと移動した
「?どうしたんですか?」
「んふふ〜秘密ですよっ
いやぁ安室さんも隅に置けないですねっ」
「?」
『野球』
「たまには自分にも花を持たせてくれたって⋯」
「か⋯飛田さんだってかっこよかったですよ?」
「八月一日さんっ⋯うぅっ⋯そう言ってくれるのは八月一日さんだけですっ⋯」
「よしよし⋯」
まぁ⋯かっこいい2割
可愛い8割だけど⋯
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