48.記憶
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とある日の昼下がり
「んでその時世良ちゃんがー⋯」
「え〜なにそれっ」
「もー桜さんにも見せたかったわ〜」
ポアロに蘭ちゃん、園子ちゃん、コナン君が来ていて
他にお客さんはおらず
私と降谷さんも混じり皆で談笑していた
「あ、コナン君アイスコーヒーのおかわりいる?」
「うん、お願い」
「はーい」
ふとコナン君のコップが空になっている事に気づき
冷蔵庫を開けて下にあるアイスコーヒーを取ろうとしたら
「っ⋯」
クラリと目眩がして思わず棚に手をついた
「!!桜さんっ⋯大丈夫ですか?」
そんな私の様子に気づいたのか降谷さんが隣に来て
ソッと背中に手を添えてくれた
「だ⋯大丈夫です、ちょっと目眩がしただけで⋯」
心配かけさせてはいけないとなるべく笑顔を作りながらそう言えば
「⋯⋯」
降谷さんは眉間に皺を寄せてしまった
ぁ⋯これは⋯
「⋯⋯蘭さん、園子さん、桜さん少し具合が悪そうなのでバックヤードでお薬を飲ませてきますね」
「えっ⋯ちょっ⋯」
そんな私の嫌な予感通り
降谷さんはそう言って私の手を引いて歩き出し
バックヤードへと繋がる扉を開けた
「は、はいっ」
「桜さん大丈夫?」
「だ、大丈夫だから気にしないで」
心配そうな顔をした3人に笑顔でそう言うと
パタン、と扉が閉じられてしまった
「あ⋯あの⋯安室さん⋯」
「⋯⋯寝れてないんですか?」
「えっ⋯」
ふと降谷さんを見上げれば
降谷さんは私の頬に手を添えてソッと目尻を撫でた
「上手く隠しているようですが⋯隈ができてる」
「っ⋯それは⋯その⋯」
言える訳ない
紅子ちゃんから言われたあの言葉⋯
『八月一日さん、貴方⋯
誰かに命を狙われているわよ』
あの言葉が気になって、それからまともに寝れてない⋯なんて
「え⋯っと⋯し、深夜アニメ見てて!!
ちょっと寝不足になっただけですから気にしないでくださいっ」
あはは⋯と笑いながらそう言うと
降谷さんはその綺麗な顔を歪め、ソッと両手で私の頬を包んだ
「⋯⋯最近、米花町で深夜に窃盗や強盗⋯暴行などの事件があった際
何故か犯人が突然眠ってしまう⋯という報告が上がってます」
「っ⋯」
「⋯⋯コレ、桜さんですよね?」
「えっと⋯⋯その⋯⋯
はい⋯⋯」
紅子ちゃんの言葉が気になって寝れなくなった私は
それを紛らわす様に夜の米花町にでて
事件に遭遇したら陰で犯人を眠らせる⋯
という事を繰り返していた
「桜さんのおかげで犯人は無事に捕まっていますが⋯
身を削ってまでするのはやめてくれ⋯」
そう言って⋯心配そうに私の頬を撫でる降谷さん⋯
「安室⋯さん⋯」
⋯心配、かけさせちゃったな⋯
犯人を捕まえたいって気持ちもあるけれど
正直、魔法を使いすぎたら強制的に寝れるから⋯
だから理由付けとして犯人を捕まえてた⋯って事の方が大きい
心配してくれている降谷さんに
そんな私の邪な心を知られるのが怖くて、申し訳なくて
ソッと視線を逸らして笑顔を貼り付けた
「⋯分かり、ましたっ!!
これからは無理のないようにしますねっ!」
「っ⋯桜さ⋯」
「さっ!そろそろ仕事に戻りましょっ!!」
何か言いたげな降谷さんの手を振りほどき
バックヤードの扉を開けた
「⋯⋯」
「やっぱ皆でもう1回ミラクルランドに行きたいよね〜」
「だね〜桜さん散々だったし⋯」
「でもそれならトロピカルランドの方が良くない?」
「トロピカルランドかぁ⋯
確かにそっちも行った事ないから行ってみたいんだよね」
「私と蘭は前に行った事あるけど⋯
あ、そういえばトロピカルランドと言えば
前に蘭が記憶喪失になって犯人に命を狙われたのよね⋯」
「そういえばそんな事もあったね」
「本当あの時は肝が冷えたわ⋯」
「⋯でも、あの時はコナン君が守ってくれたから」
そう言って優しい瞳でコナン君を見る蘭ちゃんを見て
にまぁっと口角を上げた
「聞いたよぉ〜?
コナン君、その時小五郎さんのプロポーズの真似したんだよねぇ〜?」
私がそう言うとコナン君は赤い顔をしてジロリと私を睨んだ
「⋯へぇ⋯毛利先生から蘭さんが1度記憶喪失になった事があるとは聞いた事がありましたけど
それは初耳ですね⋯
コナン君は何て言ったんですか?」
「そ、それよりさぁ!!ミラクルラッんぐっ!!」
「はいっコナン君!パンケーキのサービスだよ〜っ」
話を遮ろうとしたコナン君の口にパンケーキを突っ込みそれを防ぐと
コナン君は鬼の形相で私を見てきた
そんな赤い顔で睨んでも可愛いだけだよーだ
「えっと⋯
コナン君に⋯
何でそこまでして私を守ってくれるのか聞いたら⋯
『お前の事が好きだからだよ⋯
この地球上の⋯誰よりも』
⋯って」
そう言う蘭ちゃんの頬はちょっと赤くて⋯
キュンとときめいた
「あ〜っ⋯何回聞いてもいいわぁ〜⋯
キュンキュンしちゃう⋯」
「ええ〜?でもちょっとくさくない?」
「⋯園子ちゃん、京極さんが自分に言ってる想像してみ?」
「⋯⋯」
「あ、悪くないって思ったな」
「もうっ!!桜さん〜っ!?」
「あははっ
あ、もうこんな時間⋯私そろそろ外の掃除してきますね」
「あ、はい⋯お願いします、」
ふと日が沈みはじめている事に気づいて
何か言いたげにしている降谷さんから逃げる様にカウンターから出て掃除用具を手に取り外に出た
「⋯はぁ⋯大丈夫⋯
いつもの私でいれてるはず⋯」
これ以上⋯蘭ちゃん達にも心配かけさせる訳にはいかないから⋯
「しっかりしなくちゃ⋯」
本当は降谷さんにも
心配かけさせたくなかったんだけど⋯
「⋯紅子ちゃん⋯」
ソッとポケットに手を伸ばして
紅子ちゃんからもらった親指程の石⋯
ラピスラズリを手のひらに乗せた
あの後⋯紅子ちゃんは
「これ、気休めだけれど持ってなさい
精々1ヶ月ぐらいだけど貴方を守ってくれるわ」
そう言って私にラピスラズリの石をくれた
「⋯ありがとう、紅子ちゃん
⋯あの、何で私にこんなに良くしてくれるの?
悪い占いの結果を教えてくれたり
こうやってこの魔除けの石まで⋯」
「⋯別に、ただ同じ『魔力』を持つ者同士協力した方が私に利になると考えたからよ」
「紅子ちゃん⋯
優しいんだね⋯ありがとう」
私がそう言うと紅子ちゃんは頬を赤くさせた後バッと立ち上がった
「かっ勘違いしないで頂戴!!ただの気まぐれよ!!」
そう言って荷物をまとめて部屋を出て行こうとした紅子ちゃん
それを見て思わず腰を上げると
「それから⋯その石、効果がなくなるまで絶対に肌身離さず持ってなさい
さっきの占いで貴方を狙ってるナニカを刺激してしまったから⋯
近いうちに貴方に何かが起こるはずだから」
そう言って部屋を出て行った
「⋯⋯」
私を狙ってる⋯ナニカ
それは多分、クロウカードも関係あって⋯
それから⋯あの時の占いで出た
ミラーのカード
「あれは⋯いったい⋯」
その時
「あのー⋯」
背後から声をかけられて振り返った
「⋯ねぇ、桜お姉さん遅くない?」
蘭さん達と話している途中
そう言って話を中断させたのはコナン君だった
「確かに⋯掃除にしては長いよね」
「常連の誰かに捕まってるんじゃない?」
「あー⋯確かにそうかも
前にも捕まってる所見た事あるし」
「⋯⋯」
園子さんの言う通りその可能性もあるが⋯
さっきの桜さんの様子からして
また体調が悪くなっている可能性が高いな⋯
「⋯すみません、少し様子を⋯」
蘭さん達に断りを入れてカウンターから出ようとしたら
カランッ!!
と大きな音を立ててポアロの扉が開かれた
そこに居たのは常連の女子高生3人組の内の1人⋯
帝丹高校の制服を着たロングヘアの女の子、綾芽さんで
綾芽さんは切羽詰まった様子でポアロに入ってきた
「おにーさん!!こっち来て!!
八月一日さんが⋯外で倒れてる!!」
「っ!!?」
その言葉に急いで外に出てみれば
桜さんが歩道の真ん中で倒れていて
その傍には常連の女子高生の残りの2人が居た
「桜お姉様!!しっかりして!桜お姉様!!」
「梅子!!頭を打ってるかもしれないから揺らしたらだめよ!!」
「でもっ!!桜お姉様がっ⋯!!」
倒れている桜さんの顔はゾッとする程白くて
一瞬、息をする事を忘れた
「安室さん!!救急車!!早く!!」
そんな自分を現実に戻してくれたのはコナン君で
冷静になれ、と
桜さんに駆け寄りながらスマホを取り出した
「⋯検査の結果、どこにも異常は無いそうです」
あれから桜さんを救急車で病院に運び
付き添いでついてきた俺達は病室で眠る桜さんを見つめながら
医者からの説明を聞きに行った安室さんを待っていて
戻ってきた安室さんは静かにそう言った
「そんな⋯じゃあ何で桜さんは眠ったままなんですか⋯?」
「あれだけの騒ぎで目を覚まさないなんておかしいわよ⋯」
「⋯医者の話では恐らく転倒した際に頭をぶつけて
それで脳震盪を起こしたのだろう、と」
「じゃあ目が覚めるんですよね⋯?」
心配そうに言った蘭と園子を見て安室さんは安心させるように微笑んだ
「⋯大丈夫ですよ
きっと直ぐに目を覚まします」
安室さんはそう言ってベッドの隣に置いてあった椅子に座ると
ソッと桜さんの手を取った
⋯多分、桜さんの魔力になるもの⋯
自分のエネルギーを分け与えてるんだろうな⋯
桜さん、今日会った時からずっと顔色が悪かったし⋯
それに昨日偶然会った高木刑事に聞いた
深夜に発生する事件の犯人が突然眠ってしまう現象⋯
あれは十中八九桜さんによるものだ
だとしたら桜さんの顔色が悪い原因はそれによるもの⋯
魔法の使いすぎだろう
⋯⋯でも、桜さんが倒れた原因は本当に魔法の使いすぎによるものなのか⋯?
桜さんが倒れていたのは通行人が沢山通る歩道で
もし魔法を使ったのだとしたら桜さんは周りに気付かれない様に路地裏に入るはず
だがあんな大勢の人が通る様な所で倒れてたとしたら⋯
「⋯⋯」
嫌な可能性が頭をよぎった瞬間
「⋯ぅ⋯」
微かな呻き声が聞こえて皆が一斉に桜さんの顔を見た
「桜さんっ!!」
「目が覚めたの!?」
蘭と園子がそう言って桜さんに声をかけると
ゆっくりと桜さんの瞳が開いていく
それを見てホッと胸を撫で下ろした
「良かった⋯目が覚めたみたいだね」
「もうっ心配したんだからっ⋯」
「急に倒れるなんて何かあったの?」
そう話しかける2人を桜さんはボーッと見ていて⋯
その姿を見て何故か
嫌な予感に心臓が跳ねた
「⋯?桜さん?大丈夫?」
「目が覚めたばっかで寝ぼけてる?」
蘭と園子がそう言うと
桜さんがゆっくりと口を開いた
「貴方達⋯
だれですか⋯?」
