46.探偵たちの鎮魂歌
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「あ、桜さん、髪に埃が⋯はい、取れましたよ」
「あ、ありがとうございます⋯ふ⋯安室さん」
「桜さん、ピアスに髪が絡まってますよ⋯はい、取れました」
「あ、ありがとうございます⋯昴さん、」
「⋯⋯桜さん、喉は乾いてないですか?」
「あ⋯いえ⋯大丈夫で⋯」
「桜さん、今日も僕の贈ったネックレスをつけてくれているんですね」
「え、えと⋯気に入っているので⋯」
「そうですか、桜さんに気に入って頂けて良かったです」
「⋯⋯」
「⋯⋯」
「⋯⋯」
「⋯何故、貴方がここに居るんでしょうか⋯?」
私の右隣に居る降谷さんがやや引き攣った笑みでそう言うと
「おや、聞いていませんでしたか?
子供達の引率が蘭さんだけでは大変だからと桜さんと『僕』も着いていく事になったと」
私の左隣に居る昴さんがにっこりと笑いながらそう言った
「⋯僕が言いたいのはそうではなく⋯
何故、引率として着いて来た貴方が
毛利さんの車ではなく自分の車で先に来ているんですか!」
「ああ、それは毛利さんの借りた車に乗れそうになかったので先に自分の車で来たんです
桜さんにも早く会いたかったですし⋯ね?」
グイッと昴さんに左手をひっぱられて少しだけよろけると
「あまり近寄らないでくれますかね⋯?」
グイッと降谷さんが反対の手をひっぱり
トンッと降谷さんの胸に私の右肩が触れた
「しかし貴方は今日毛利探偵の助手として着いてきたのでは?
桜さんは私と一緒に行動する予定なのでこちらへ」
グイッと昴さんが私の手を引っ張ろうとして
「今日桜さんと一緒に来たのは僕です
毛利先生達が来るまで桜さんは僕と一緒に居ますので」
降谷さんがまたグイッと私の手を引っ張った
「⋯⋯」
「⋯⋯」
「⋯⋯」
バチバチッと頭上で見えない火花が散っている音が聞こえた気がして
「⋯わぁ〜⋯今日もいい天気だなぁ〜⋯」
ソッと綺麗な青空を見上げて現実逃避した
私達は今、ミラクルランドに来ている
それは数日前の事
小五郎さんの元にとある事件を解決して欲しいと依頼が届き⋯
その依頼を聞く為今日その依頼主がいるミラクルランドに併設しているホテル『レッドキャッスル』に来ていた
何故私達も来ているのかと言えば⋯
依頼主が子供が居るのならば是非連れてきて欲しいと言ったらしく
蘭ちゃんが少年探偵団の皆も誘い⋯
それを聞いていた昴さんが1人では引率が大変だろうと一緒に行く事になり
そこで私にも声をかけてくれて、引率係として私と昴さんもミラクルランドに行く事になった
のはいいんだけれど
小五郎さんの助手として降谷さんも小五郎さんから声をかけられたらしく⋯
降谷さんに私も行く事を話したら一緒に行かないかと言われ
降谷さんの車でミラクルランドに来れば
そこにはもう昴さんが居て⋯
冒頭に至る
「貴方は子供達を引率する為に来たんですよね?
だったら毛利先生達と来るべきだったのでは?」
「出発はもちろん一緒でしたよ
ただ毛利探偵の借りた車の調子があまり良くなかったようで⋯
僕が早くついてしまったんです」
ミラクルランドはトロピカルランドに次ぐ人気の遊園地だ
中でも有名なのはまるで巨大な蛇のような型をしたジェットコースター
『スーパースネーク』
スーパースネークは途中で海に飛び込む様にレールが突き出していてそれが売りでもあった
「それに元々桜さんはこちらの車に乗る予定でしたからね
まさか急遽そちらの車に乗る事になるとは思っていませんでしたよ」
「僕の家の方が桜さんの家から近いのでね
桜さんの手間をかけないようにするにはこれが1番かと思って声をかけさせて貰ったんです
予想通り桜さんは僕を選びましたけどね」
あぁ〜早くスーパースネーク乗りたいなぁ〜⋯
ジェットコースターなんてもうずっと乗ってないし⋯
引率とはいえミラクルランドに来れて良かったな〜
「ホー⋯桜さんは優しいからきっと断る事ができなかったんでしょうね」
「そうでしょうか?
案外そちらの車に乗らなくて良かったと思っているんじゃないんですかね?」
遊園地といえばトロピカルランドも行ったことないんだよね⋯
蘭ちゃんと新一君の思い出の場所でもあるから1度は行ってみたいな〜
「ふむ、ではその辺を詳しく桜さんに聞きたいので
桜さんと2人きりにさせて貰ってもいいでしょうか?」
「いえ、わざわざ2人きりにならなくてもいいでしょう
この場でどちらと一緒にいたいか聞けばいいだけです
ね、桜さん?」
「⋯⋯へ?」
声をかけられてハッとして意識を現実に戻すと
2人が私の顔を覗き込んでいた
「だから⋯」
「私と彼⋯桜さんはどちらと一緒にいたいですか?」
ズイッと2人から見つめられながらそう言われ
ひくり、と顔を引き攣らせた後
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯
コナン君がいいです」
ソッと視線を逸らした
その数分後
『仕出し弁当の松風亭』とボディに大きく書かれたバンが私達の前に停まり
そこから少年探偵団の3人が降りてきた
「わぁ!すごーい!!」
「まるでお城みたいですね!」
「じゃあもしかして王様が住んでるのか!?」
興奮気味にそう言った元太君に
「バーロォ⋯んなわけないだろ、ホテルなんだから」
やや呆れた顔でそう言いながら降りてきたコナン君を見て
その姿を捉えた瞬間2人の手を振りほどきダッシュでその姿に飛びついた
「ゴナンぐんっ!!!!」
「ぐえっ!!」
「やっっっと⋯
やっっと来てくれたぁぁぁっ!!」
「ちょっ桜さん!?ど、どうしたんだよ?」
「うぇぇぇっ⋯怖かったよおぉぉっ⋯」
「怖い?一体どうし⋯⋯」
「⋯⋯」
「⋯⋯」
「⋯⋯」
「あの⋯桜さん、何か昴さんと安室さんがものすごい形相で俺を睨んでんだけど⋯
何があったんだよ」
「し・ら・な・い・よ!!
何か気づいたらあの2人静かに言い合い初めて
めっちゃ怖かったんだからっ!
ことある事に私を話に出してくるしっ!!
あの2人絶対私を理由にして言い合いしたいだけだよきっと!!」
「⋯いやどちらかといえばそれ本当に⋯
まぁいいや⋯」
背後の2人を振り返るのが怖くてそのままコナン君に抱きついていると
「ちょっと、
ふざけてないでいい加減進んでくれないかしら」
車の座席に座ったままの哀ちゃんが呆れた顔で私達を見ながらそう言った
「あ⋯哀ちゃんっ⋯
私のマイエンジェぐへっ!!」
そのままの勢いで哀ちゃんに抱きつこうとしたら哀ちゃんから手で頬を押し返され撃沈した
「はぁ⋯ちょっとは落ち着きなさいよ、まったく⋯」
「ぐぅ⋯哀ちゃんのガード固し⋯
あ、そうだ、哀ちゃん」
「?」
パッと身体を離した私を見て不思議そうな顔をした哀ちゃんに
ポーチに繋いでいたキャップを外しそれをソッと頭に被せた
「え⋯これ⋯桜さん?」
「念の為⋯ね?」
哀ちゃんにウインクしてみせれば
哀ちゃんは少し不思議そうに首を傾げたけれど
私の後ろにいる人物を見てハッとしてキャップを深く被った
降谷さんはまだコナン君と哀ちゃんの『真実』には気づいてない
まぁバレた所で降谷さんだから大丈夫だけど⋯
コナン君や哀ちゃんが望まないかぎり私も2人の秘密は隠すようにしなくちゃ
なんて考えていると
「桜さんおはよっ!」
「蘭ちゃん!おはよ〜っ」
助手席から降りてきた蘭ちゃんに声をかけられ
哀ちゃんから離れて蘭ちゃんの隣に並んだ
「ごめんね?結構待ったでしょ?」
「ううんちょっとだけだったから大丈夫だよっ」
「お父さんったらケチって安い車レンタルするから⋯」
「う、うるせーな」
運転席から降りてきた小五郎さんは
ジトーと蘭ちゃんから睨まれて少し気まずそうに視線を逸らした
「それにしても綺麗だねこのホテル」
「ね、レッドキャッスルって名前も素敵だよね〜」
「あ、そういえばこのホテル、宿泊者数が10万人を突破するって言ってたわね」
蘭ちゃんのその言葉に小五郎さんは腕を組んでホテルを見上げた
「ほぉー、結構繁盛してんだな」
「結構新しいのに10万人って凄いですよね」
なんて話しているとホテルの中から眼鏡をかけた正装姿の男の人がホテルマンの人と一緒に出てきて
その人は小五郎さんを見ると穏やかに微笑んだ
「あの、失礼ですが毛利探偵でいらっしゃいますか?」
「ああ、はい」
小五郎さんが頷くとその男の人は丁寧にお辞儀をした
「お待ちしておりました
私依頼人の秘書をしております、高田と申します
さっそくですが、どうぞこちらへ⋯
君はお車を」
「はい」
ホテルマンの人が小五郎さんから鍵を預かり
私達はそのまま高田さんの後に続いてホテルの中へと入った
