45.ゼロの執行人
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とある日
モーニングの時間が過ぎてお客様がいなくなり、ようやくひと息つけると肩の力を抜いたら
梓ちゃんがフライパンを握りながら私へ声をかけてきた
「桜ちゃん今日朝ごはん食べれなかったって言ってたけど⋯
お昼どうする?先に食べる?」
「そだね、このままじゃお昼まで持ちそうにないから⋯先に食べようかな」
「じゃあ私まかない作るから洗い物お願いしてもいい?」
「はーい」
梓ちゃんがパスタを茹で始め
私はシンクに溜まった山の様な洗い物に手をつけるためスポンジを握り小さくため息をついた
「桜ちゃんが寝坊するなんて珍しいけど⋯何かあったの?」
「あー⋯いや、ちょっと深夜アニメ見てて寝るの遅くなっちゃって⋯」
「もー、また夜更かししたのね?」
「あはは⋯それにしても今日も朝から人多かったね〜」
「ね、外国の人も結構いたけど⋯
やっぱり今度ある東京サミットの影響なのかな?」
「あ⋯そっか、もうすぐだっけ?」
「サミットが開催されるのは来週だよ」
「もう来週なんだ⋯時間が経つのは早いな⋯
そういえば東京サミットって来月開業予定の統合型リゾートのエッジ・オブ・オーシャンであるんだよね?」
「そうそう、昨日ニュースで施設の紹介してるの見たけど建物凄く綺麗だったし色んな施設が入ってるみたいだよ」
「へぇ〜あ、そういえばあの貝殻をモチーフに作られた⋯
カジノタワーだっけ?あれ凄いよね」
「ね〜、見た目が可愛いし中では色んなゲームで遊べるみたいだし⋯
オープンしたらいっぱい人が来そうだよね〜
あ、そうだ、オープンしたら休み合わせて一緒に行く?」
「あ、いいねそれ
じゃあ日付決めてー⋯」
スポンジでお皿を洗い終え
泡を水で流す為、キュッと蛇口を開いた
その瞬間
ピキッ
「⋯え、」
まるで
ヒビが入る様な音が聞こえたと思ったら
パリンッ!!
と何かが割れた音が
頭に響いた
「⋯われ⋯た⋯?」
ドクン、ドクンと心臓が大きく波打ち
冷や汗がぶわりと吹き出す
分かる、
初めての事だけど
感覚で⋯分かる
これは
私が作ったアクセサリーが
割れた音だ
「っ⋯は⋯はっ⋯」
「⋯桜ちゃん?どうしたの?」
バクバクと鳴る心臓を抑えながら
乱れた呼吸を必死に整える
あの時、ファイさんは、確か
『そういえば私アクセサリーの販売もしてるんですけど⋯
それにも加護の力って込められてるんですか?』
『うーん⋯そうだねぇ〜⋯
これにも力は込められてるけど『加護』って言うより『厄除け』みたいな感じかな〜』
『厄除け?』
『うん、まぁちょっとした悪い事から守ってくれる程度で⋯
数回で効力は消えるタイプだね』
『そうなんですか⋯』
『でも桜ちゃんが赤井さんに作ったアクセサリーの様に⋯
明確に『誰かを想って作った物』はまた違ってくるかな』
『え?』
『想いを込めれば込める程その力は強くなる⋯
例えば販売しているアクセサリーの方は効力が無くなっても壊れる事は無いし
桜ちゃんもその事に気付かない
けれど⋯明確に『誰かを想って作った物』は違う
桜ちゃんの物に加護を込める力は凄いけど⋯
逆に加護の量⋯想いの量に対して器が小さいから
これはきっと1回かぎりだね』
『え⋯じゃあ⋯』
『うん、1度その力が発動してしまえば⋯
これは壊れて使い物にならなくなる
キミはその時⋯
『ソレ』を感じ取るはずだよ』
ゾクリと鳥肌がたった
だれっ⋯、誰のアクセサリーが割れたっ⋯!?
1番に考えられるのは⋯
よく危険な目に合うコナン君だ
「っ⋯梓ちゃんごめん!!急用でっ!!行かなくちゃ!!」
流れる水を止める事もせずそのままの格好でポアロを飛び出る
「え!?桜ちゃん!?」
背後で梓ちゃんが驚いた様に私の名前を呼んだけれど
振り返らずに路地裏に入って夢の鍵を胸元から取り出し
「『封印解除(レリーズ)!!!』」
鍵を杖に変えてすぐさまポーチから転移(トランスファー)のカードを取り出した
コナン君が今どこにいるか分からないから
どれだけ転移で魔力が削られるか分からないけど⋯
これが1番、早く会いに行ける!!
目を閉じて強くイメージする
トランスファーは入れ替わる対象の明確なイメージがないといけない
だとしたらコナン君がいつも身につけている眼鏡がいいだろうと
頭の中でソレを鮮明に思い出し⋯
「『転移(トランスファー)!!』」
カッと私の身体が光って
一瞬、視界が歪んだと思ったら
「えっ⋯桜さん!?」
目の前には眼鏡をかけていないコナン君が
驚いた顔で私を見ていた
「な、何でここに⋯」
「コナン君!!怪我は!?」
バッ!!とその小さな身体に飛びついて怪我がないか確認する
するとコナン君は傷1つない綺麗な顔をキョトンさせ私を見ていた
「け⋯怪我?別に俺は何ともねぇけど⋯
それより桜さん、いきなりどうしたんだよ?」
「コナン君は⋯無事⋯」
ホッと胸を撫で下ろし我に帰って辺りを見渡せば今居る場所は阿笠博士の家で⋯
反対側のソファーには哀ちゃんが座っており
驚いた顔で私を見ていた
「哀ちゃんも⋯大丈夫⋯」
「?一体どうしたのよ?」
空いた窓の外からは楽しそうな少年探偵団3人の声と阿笠博士の声が聞こえて⋯
それに安心したけれど
それと同時に胸に嫌なゾワゾワとした感覚が広がった
「じゃあ、いったい⋯誰の⋯」
「「?」」
他に加護が込められたアクセサリーを渡しているのは蘭ちゃんに園子ちゃんに真純ちゃん
そして間接的にだけどメアリーさんで⋯
蘭ちゃんは今日園子ちゃんとお出かけだって言ってたし
おそらく真純ちゃんはメアリーさんと一緒に居るはず
だからその中の1人に何かあればもう1人の加護の力も発動しそうだけど⋯
発動したのは1回⋯だから違う可能性が高い
他は⋯梓ちゃんにもやってるけどもちろん違う
秀一さん⋯だとしたらコナン君が動いてそうだし⋯
後は⋯諸伏警部に由衣刑事⋯
そして⋯
「⋯⋯安室⋯さん⋯?」
その時
『番組の途中ですが、たった今入ったニュースです』
テレビから男の人の緊迫した声が聞こえてふと顔をそちらに向けると
『お伝えします、来週東京サミットが行われる国際会議場で、先程大規模な爆発がありました』
「え⋯」
『その時の防犯カメラの映像です』
インカムを耳につけた男性記者が手にした原稿から顔を上げてそう言うと
パッと画面が切り替わり、来週開催される国際会議場が映し出された
そしてその数秒後
ズドオォォォォン⋯
と凄まじい音と共に国際会議場で爆発が起こり
瞬く間に粉塵で覆われて画面が真っ白になった
「こ⋯れ⋯」
「これはっ⋯博士!」
コナン君がリビングから出ていった事に目もくれず
まるで金縛りにあったかのようにテレビをジッと見つめる
『現場となった統合型リゾート『エッジ・オブ・オーシャン』はまだ開業前だった為、利用客はいませんでしたが
サミット警備の下見をしていた警察官数人が死傷したとの情報が入っています
繰り返します、先程統合型リゾート『エッジ・オブ・オーシャン』で大規模な爆発がー⋯』
後は耳に入らなかった
割れたアクセサリー
爆発がおこった国際会議場
死傷した警察官
そして⋯
『あ⋯梓さん、店長には言ってあるんですが
その日ポアロ休みますからお願いします』
嫌な点が線で繋がった
「は⋯はっ⋯」
バクバクと鳴る心臓を落ち着かせる為に手を添えてみたけれど効果はなくて
ムカムカと胃の中のものが込み上げてきそうになり必死に耐える
するとその手に小さくて暖かい手が重ねられ⋯
ゆっくり顔を上げるとそこには心配そうな顔をした哀ちゃんが居た
「落ち着いて、桜さん
顔色が凄く悪いし⋯呼吸が上手くできてないわ」
「あ⋯い、ちゃ⋯」
「もしかしたらテロかもしれない」
「じゃがサミットは来週じゃろ?事故かもしれんぞ⋯
って、桜くん!?いつの間にここに⋯」
「あがさ、はかせ⋯」
「顔色が凄い悪いようじゃが⋯どうかしたのか?」
そう言って博士が私の側に来ようとしたらテレビから記者の声が聞こえて
皆の視線がテレビの方に集まった
『警視庁の発表では、現時点で死傷した警察官の数、及び事件か事故かについては調査中という事で明らかになっていません』
「警察官が死傷⋯心配じゃな」
そうだ、私⋯こんな所で座っている場合じゃない
「私っ⋯行かなくちゃ、」
「え、桜さん?」
戸惑った様に私の名前を呼んだ哀ちゃんを気にする余裕も無く
震える手でフライトとルシッドのカードを取り出した
本当はトランスファーのカードで直ぐに降谷さんの所に行きたいけれど
降谷さんがどこにいるのかも、何を身に付けているのかも分からない
「どうか⋯無事でいてっ⋯!!」
そんな祈りを込めながら
2つのカードを発動させた
