43.恋情
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チリンーッ⋯
チリンーッ⋯
鈴の⋯音が、聞こえる⋯
『⋯⋯⋯⋯て⋯』
だれ⋯?
『⋯⋯は⋯⋯⋯て⋯⋯⋯よ⋯』
貴方は⋯
だれ⋯?
「⋯ん
桜さんっ!」
「んっ⋯」
名前を呼ばれた気がして意識が急浮上し
ゆっくりと目を開けると⋯
そこには心配そうに私の顔をみる少年探偵団の皆が居た
「良かったーっ!やっと桜お姉さん目を覚ましてくれたっ」
「歩美⋯ちゃん⋯
⋯あれ⋯?何で、皆が⋯?」
「皆でこのバスに乗ったら姉ちゃんが先にバスに乗っててよー」
「寝ていましたから起こさないでいたんですけど⋯
桜お姉さん凄くうなされていましたから⋯」
「大丈夫⋯?怖い夢見たの?」
私の隣に座っている歩美ちゃんが
凄く心配そうに私の手をぎゅっと握った
「⋯バス⋯?」
ふと辺りを見渡せば確かに自分はバスの後部座席の一番端に座っていて⋯
首を傾げた
今日は仕事が休みだからアクセサリーの材料を買いに出かけようと思って⋯
何となくフライトさんを使う気分じゃなかったから
歩いて行こうと思って⋯それで歩いてたら⋯
確か、バス停が見えて⋯
「⋯それからの⋯記憶がない⋯」
「⋯?桜お姉さん?」
「あ、ううん⋯何でもないよ⋯
えと、皆はどうしてこのバスに?どこかに買い物に行くの?」
「買い物じゃなくて牧場だぜ!」
「牧場?」
「学校のニワトリさんが死んじゃって⋯」
「それで新しいニワトリをくれる牧場に皆で行く事になったんです!」
「そうなんだ⋯⋯ん?牧場?
このバス牧場に行くの?」
不思議に思って皆にそう聞くと
元太君の隣に座っているコナン君がひょっこりと私へ顔を覗かせながら答えてくれた
「そうだよ!このバスは都内じゃなくて牧場方面行きのバスで⋯
だから桜さんがこのバスに乗ってたの不思議だったんだけど⋯」
「え⋯」
私、寝ぼけてこのバスに乗っちゃたのかな⋯
⋯そういえばこの間も⋯
道路を歩いていたら急に意識が遠くなって⋯
『あの⋯大丈夫ですか⋯?』
気づいたら、神社にいた⋯
あの時はあの人との出会いに感謝しかしてなかったからそこまで深く考えてなかったけど
「⋯⋯そういえば⋯」
その時もー⋯
鈴の音が、聞こえた気が⋯
「何か牧場方面に用でもあったんですか?」
あの時の事を思い出していると
光彦君から声をかけられて我に返った
「あ⋯えと⋯ちょっと寝ぼけてて⋯
多分都内方面のバスと乗り間違えちゃったんだと思う⋯」
「「「えぇ!?」」」
自分でも詳細が分からないけれど
下手に子供達を心配させたくないからそう言えば
「それは大変ね⋯
もう結構な距離来ちゃってるし⋯
ここら辺で降りても都内行きのバスが次いつ来るか⋯」
私の反対側の後部座席の1つ前の席に座っていたショートカットの女の人がそう呟いた
「えっと⋯貴方は⋯」
「あ、ごめんなさいっ自己紹介が遅れました
私この子達のクラスの担任の小林と言います!」
「!!小林、先生⋯」
思わぬ所での生小林先生に感動していると
その小林先生の隣に座っている⋯
髪の長い女の人が
こちらを振り向いた
「私は⋯副担任の若狭です⋯初めまして」
「わか⋯さ⋯?⋯っ!!」
ズキンッ!!
「?桜お姉さん?どうしたの?」
「えっ⋯あ、何でもないよ⋯
小林先生、若狭先生⋯初めまして⋯
私毛利探偵事務所の下にある喫茶店で働いてる八月一日桜と言います」
ズキズキと痛む頭を無視して笑顔を作りながら2人へ笑いかければ
小林先生は嬉しそうに私へ話しかけてくれた
「八月一日さんの事は子供達から聞いてますよっ
お料理が上手で⋯前に悪い人から子供達を守ってくれた事もあるんですよねっ」
「あ⋯そういえばそんな事もありましたね⋯」
「それより⋯八月一日さんこれからどうされるんですか?」
若狭先生からそう言われてキョトンとして首を傾げた
「これから⋯?」
「あ!そうだ!さっきも言いましたけど⋯
多分ここら辺で降りたら都内行きのバスは結構待たないといけないと思うんですよね⋯」
「あ⋯そっか⋯」
私何故か牧場方面行きのバスに乗っちゃってたんだった⋯
まぁ最悪バスが無くてもフライトさんで帰ればいいし⋯
次の停留所で降りようかな⋯
と考えていたら
隣に座っている歩美ちゃんがぎゅっと私の手を握りながら声をかけてきた
「それなら桜お姉さんも一緒に牧場に行こうよ!」
「え?」
「確かに!せっかくだから僕達と行きませんか?」
「姉ちゃんも一緒だと何かあった時頼りになるしよ!」
そう言ってキラキラとした顔で私を見る子供達に
「⋯そだね、特に用事がある訳じゃないし⋯
お邪魔じゃなければ皆と一緒に行動しようかな」
ふふっと笑って頷いた
「やったぁ!えへへっ桜お姉さんも一緒だし⋯
楽しみだねー!新しいニワトリさん!」
「今度のは元気一杯だといいですね!」
「だよな?この前死んだ二羽はずっと病気で⋯
あんまり世話してねーし⋯」
「まぁ病気っていうか老衰だな⋯
俺が小1から飼ってる二羽だったからよ⋯」
「そうね⋯ニワトリの寿命は約10年⋯長生きした方じゃないかしら?」
⋯コナン君、それ失言なんじゃ⋯
なんて思っていると歩美ちゃん達3人が不思議そうにコナン君を見た
「オレが小1からって⋯」
「今も小1じゃないですか!」
「1年たってねぇじゃんよ!」
「あ、だから⋯」
「お前らバッカじゃねーの?」
「ハハ⋯」
辛辣な元太君に私も苦笑いしていると小林先生が振り返って子供達に声をかけた
「ちょっとあなた達!
ニワトリを譲ってくれる牧場の方に育て方をしっかり教わっておく事を⋯忘れないでよね!!」
「「「ほーい!!」」」
「本当に大丈夫かなぁ?」
「でも何で児童達を連れて来たんですか?
育て方を聞くのなら私達だけでも⋯」
そう言った若狭先生に小林先生は声のトーンを落として返事を返した為
会話の内容が聞こえずに少しだけ首を傾げた
「あ!そういえば桜お姉さんにお礼言おうって思ってたんだ!」
「お礼?」
「そういえばそーだったな!」
なんの事だろう?と首を傾げると3人が探偵バッチを見せてくれた
「このバッチの裏に仮面ヤイバーのマーク入れてくれたんですよね!?
博士から聞きましたよ!」
「めちゃくちゃカッケーよな!」
「あ⋯その事か⋯」
蘭ちゃん達にはストラップを渡してるけど⋯
何かと事件に巻き込まれやすい子供達にも何か加護の付いた物をプレゼントしたいと考えた結果
いつも肌身離さず持っている探偵バッチに装飾をつければいいのでは、と考え
子供達の探偵バッチに仮面ヤイバーのマークの装飾を付けさせてもらったのだ
「ありがとうっ!桜お姉さんっ」
「えへへ⋯皆が喜んでくれたのなら良かった⋯」
「でもコナンと灰原だけちげーのは何でなんだ?」
「あぁ⋯2人は仮面ヤイバーにあんまり興味ないって言ってから⋯違うのにしたの」
「確か2人共クリスタルの花の飾りが付いてましたよね?」
「ふふっクリスタルじゃなくてレジンだよ」
「何のお花なの?」
「えっとね、コナン君のは⋯『蘭』の花でー⋯」
私がそう言うとコナン君はやや頬を赤らめながらジロリと私を睨んだ
「哀ちゃんのはー⋯」
「⋯私のは⋯レンゲソウよ⋯」
そう言って私の方を見た哀ちゃんに微笑みかけると
哀ちゃんは少し照れた様にプイッと視線を逸らした
「2人共すっごく綺麗なお花の飾りだったよねっ」
「ふふっ、皆の事考えて大切に作ったから⋯
大事にしてくれたら嬉しいな」
「もちろんっ」
「大切にします!」
「ありがとう⋯」
いい子、いい子、と3人の頭を撫でていると
「そーいえばこれから会う牧場主の名前も鳩山さんでしたね!」
「鳩のような平和な人ならいいですね!」
そんな小林先生と若狭先生の会話が聞こえて顔を上げたら
2人の前に座っていた細身の男の人が顔だけ振り向かせて2人に声をかけていた
「オタクらも鳩山牧場に行くんスか?
奇遇だなァ⋯
俺っちもこれからその牧場の辺りに行く所なんスよ!」
「何の用で行かれるんですか?」
「ちょっとした取材でね⋯
まあ常連さんがよく集うパワースポット巡りみたいなモンっスよ!
その格好からして⋯アンタもそうだろ?」
男の人はそう言って通路を挟んで隣の⋯
髭を沢山生やした中年の男の人へ声をかけた
「私は研究の為に行くだけだ⋯
金目当ての君達とは違う⋯」
「またまた⋯結局その研究を金にするんでしょ?」
「フン!」
⋯取材?研究⋯?
どういう事だろう⋯と首を傾げていると
「あー!映画観てるー!」
「SFですか?」
歩美ちゃんと光彦君のその声にふと前を見れば
私の前の座席に座っているニット帽を被った強面で体格の良い男の人がスマホを横にして何かの映像を見ていた
その2人の声に気づいたのか男の人はジロリと2人を睨むと
「ガキが勝手にのぞいてんじゃねぇよ⋯
失せろ!!」
威圧的にそう言い放った
「ご⋯ごめんなさい⋯」
「す⋯すみません⋯」
「⋯⋯」
何も子供にそんな言い方しなくても⋯
と心の中で愚痴っていると
「でも大丈夫です!
スマホの画面動画で録りましたからネットで検索してみましょう!」
光彦君のその言葉にハッとしてそちらを見れば
光彦君はスマホで男の人の画面を録画した映像を見ていて⋯
それはちょっと不味いな、と光彦君へ声をかけるより前に
前の男の人がものすごい形相でこちらを振り向き
ガッ!!と光彦君の手を掴んだ
「ーってオイ!?
今すぐ消せその動画!!」
「えぇ!?」
「消せっつってんだよ!!」
男の人のその怒鳴り声に光彦君は完璧萎縮してしまっていて⋯
それを見て光彦君の手を掴む男の人の手をガシッと掴んでいた
「ま、待って下さい!
確かに勝手に撮影したこの子が悪いですが⋯
この子はまだ小学生です
もう少し言い方を考えてくれませんか?」
「うるせぇ!!」
「いたっ」
男の人は光彦君の手を一瞬離した後、手を振り上げて私の手を振り払い
また光彦君のスマホをガシリと掴んだ
「よこせ!このガキ!」
「っ⋯」
このままじゃ光彦君が怪我をするかもしれないっ⋯
そう思い座席から立とうとしたら
ガッ!
と誰かが男の人の左手を掴み、捻り上げた
その手の先を見れば
そこに居たのはー⋯
「「「安室さん!!」」」
黒い帽子にグレーのトラックジャケットを着た
安室さんだった
「何だてめェ!?」
男の人は怒鳴り声を上げて安室さんの手を振り払い
安室さんへ向けて拳を振り上げた
けれど安室さんはそれを全てかわし
反対にグッと左手の拳を下から振り上げ⋯
ピタッと男の人の顎下で止めた
「この辺にしておきませんか?」
「ぅ⋯」
男の人がたじろいでいると
安室さんは光彦君へ優しく声をかけ
「光彦君も人が嫌がるプライベートな映像は消すように!」
「はい!」
「これでいいですよね?」
にっこりと笑いながらそう言った安室さんに
「ああ⋯」
男の人は少し呆然としながら頷いた
良かった⋯安室さんが止めてくれて⋯
ホッと胸を撫で下ろしていると小林先生が明るく安室さんへ声をかけていた
「あなたが安室さんですか!」
「あ、はい⋯」
「私はこの子達のクラスの担任の小林といいます!
貴方の噂は色々聞いてます!
こちら安室さん、八月一日さんと一緒の喫茶店で働いてもいる探偵さんだそうですよ!」
「副担任の若狭です!初めまして⋯」
「どうも⋯」
「でも安室さんこのバスでどこに?」
「僕も君達と同じ鳩山牧場に用があってね⋯」
「そうなんだ⋯」
「詳しい話は着いたら話すよ⋯」
確かに⋯
安室さんがバスを使うなんてどうしたんだろう?
とコナン君と話す安室さんを見ていると
ふと安室さんが顔を上げて私を見た
「それより桜さんは怪我はないですか?」
「あ、はい⋯私は大丈夫です」
「それなら良かっ⋯た⋯」
そう微笑んで安室さんが視線を僅かに下に逸らした瞬間
ピタリと安室さんが動きを止めた
「⋯?安室さん?どうかしました?」
私がそう尋ねると安室さんはハッとした後
「い、いえ⋯じゃあ僕は座席に戻りますね」
そう言って前の席に戻ってしまった
「⋯?」
