37.黒兎
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それは修学旅行の翌日ー⋯
ポアロの仕事はお昼からで
いつもより遅く起きた私は蘭ちゃんと新一君の事を思い出し、ニヤニヤとしながら優雅に珈琲を入れ
出勤までひと息つこうとテレビの前に座り電源をつけたら
女性のニュースキャスターの声が聞こえてきた
『ー⋯今回の地震による津波の警戒はないとの事です
では次のニュースです
2日前に京都府の先斗町で殺害された
俳優の井隼森也さんですが
逮捕された容疑者は作曲家の阿賀田力さんだったという事が昨日警察より発表がありました
阿賀田さんは脚本家である西木さんの殺害にも関与していると容疑を認めている様子で
3人は紅の修羅天狗という作品に関わっておりー⋯』
「あー⋯あの事件ニュースになってる⋯」
関係者全員有名人だから結構な騒ぎになってるんだよね⋯
ネットでもその話題でもちきりみたいだったし
なんて考えながら珈琲をひと口飲んだ時だった
『では2日前の井隼さんが殺害された時の報道を確認してみましょう』
『こちらリポーターの佐藤です
たった今俳優の井隼さん何者かに殺害されたとー⋯』
「ブハッ!!?」
珈琲を思いっきり吹き出した
「ななななななっ!?」
テーブルにぶち撒けた珈琲を拭く事もせずにガシリとテレビを掴む
そこにはやっぱり
「ばっちり映ってますやん!!」
新一君の姿がテレビに映っていた
「こ⋯これってヤバいのでは⋯」
慌ててSNSを開いてあの京都の事件について検索してみる
するとSNSでは工藤新一の事で埋め尽くされていて目を疑った
昨日見た時は新一君の話題なんて上がってなかったのに⋯
そう思ってSNSの呟きを遡ると
事件を解決したのは高校生達だ、という話から
1人は服部君で、あとの2人は誰だという呟きに
そのうちの1人は東の高校生探偵、工藤新一だと
その場に居合わせたという人が返信していた
「それで今は死んだと噂されている新一君が生きてたって話題になってるのね⋯
でも、これ⋯早くどうにかしないとヤバいのでは⋯」
もしこれが黒ずくめの組織の目に入ったら⋯
ぞわりと鳥肌が立ち、嫌な考えを振り切るように頭を振ってスマホに視線を戻した
とにかく⋯少しでも情報を集めてどうにかできないか考えなくちゃっ⋯
そう考え現場に居合わせたという人のアイコンをタップする
するとプロフィール欄に『ブログもやってます!!』
というメッセージの後にリンクが貼ってあり、それを開くと
「え⋯
自称⋯世界一の⋯
工藤ファミリーフリーク!?」
デカデカと書かれたその文字の下には
『私の大好きな工藤ファミリーの事なら何でも語り合いましょう』
そう続いており
思わず頭を抱えた
いや分かる⋯
分かるけどさぁ!!
「と⋯とにかくコナン君に電話しないとっ⋯」
ブログをそっと閉じてコナン君へ電話をかける
すると数コールもしない内にコナン君が電話にでた
『もしもし、桜さ⋯』
「コナン君!!新一君が!!SNS!!」
『ぐっ⋯その様子じゃ桜さんも騒動に気づいたみたいだな⋯』
「えっ⋯ってことはコナン君も?」
『あぁ⋯さっき灰原から連絡があってよー⋯
今俺の家の前にマスコミが集まってきてんだ⋯』
「えっ!?工藤邸に⋯」
だとしたら昴さんがマスコミの対応をしてるはず⋯
でも昴さんをあんまり表に出す事はしない方がいいから
これは本当に早くなんとかしないと⋯
でもどうやって⋯
と考えた所でふとテレビに映る服部君が目に入り
ある事を思いついた
「⋯コナン君、もしかしたらなんとかできるかもしれない」
『え?桜さん?』
「コナン君もしかして今阿笠博士の家に居る?」
『そうだけど⋯』
「じゃあ今から行くから待ってて!!」
『え?桜さ⋯』
コナン君の返事も聞かずにブチッと通話を切り
慌てて出かける準備をする
忘れないようにサコッシュを手に取り玄関の扉を開けたら
「おはようございます、桜さん
って、もうお昼だからおはようじゃないですね⋯」
安室さんがそこに居た
「⋯⋯」
「今日は僕もお昼からなので一緒に行きませんか?」
「⋯⋯」
「⋯桜さん?」
「⋯⋯」
ーーパタン、
扉を閉めた
『えっ!?桜さん!?』
焦ったような安室さんの声を扉越しに聴きながら頭を抱える
私ー⋯
これから仕事じゃん⋯
「ああああっ⋯どどどどど⋯どうしようっ⋯」
一刻も早く新一君の騒動を落ち着かせたいのに
今から仕事なんてっ⋯!!
でも修学旅行で仕事を休んで梓ちゃんと安室さんに迷惑かけたからこれ以上迷惑かけたくないしっ⋯
「ぐぅぅっ⋯私がもう1人いたらいいのにぃっ⋯」
必死に何か良い手段はないかと考えた所で
ふと手に持っていたサコッシュが目に入る
「ん⋯?まてよ⋯
私がもう1人⋯
あぁっ!!」
慌てて玄関から少し離れ夢の鍵とカードを取り出した
「『封印解除(レリーズ)!
我の姿を写し取れ!鏡像(ミラー)!!』」
すると私の目の前に『私』が現れ
『私』がゆっくりと目を開いた瞬間
その肩をガシリと掴んだ
「ミラーさん⋯
働ける!?」
『⋯へ?』