35.告白
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「しかしこうして見ると全然似てねぇけどなぁ⋯」
「後ろ姿ならパッと見似てますけどね⋯」
ラーメン小倉さんの大将⋯小倉さんの呟きに苦笑いして
ポアロのカウンター席に座ってる外国のお兄さんを見た
そのお兄さんは褐色の肌にクリーム色の髪をしていて⋯
後ろから見れば安室さんと間違う程そっくりだった
事の発端はお店の常連のJKから
安室さんが女性をナンパしてるー⋯とか
買い食いを注意されたー⋯とか
変な噂が流れていて⋯
安室さんは全く身に覚えがないみたいで
私にカードと関係してないかって確認されたけど
カードの気配は全然してなくて⋯その事を伝えたら
安室さんがこの外国のお兄さんをポアロに連れてきたのだ
お兄さんの名前は『マッテオ』さん
日本でしか食べられないスパゲッティがあると聞いてはるばるイタリアから来たのだった
それにしても『マッテオ』が『待ってよ』で
更にイタリア語で食堂のことを『タベルナ』と言うらしく
食堂を探していたマッテオさんが女の子達に
『タベルナ』と言っていたのを
『食べるな』と勘違いしていたなんて⋯
「まぁ安室さんがナンパなんてするわけないですもんね⋯」
仮にナンパしたとしたら入れ食い状態だろう⋯
想像しただけでこわい
「あはは⋯まぁ人はどうしても見聞きしたものを過去の記憶と結び付けてしまう傾向がありますから⋯
こういう人違いは割とあるんですよ!」
「あ!そっくりさんっていえば⋯
この前私にそっくりな人が安室さんとライブに行ってたって⋯
蘭ちゃんと園子ちゃんが言ってました!」
「そいつは本当かい?」
「はい!声も似てたって!」
⋯それってあのベルモットの変装の時だよね⋯
まぁそっくりさんで片付けられるならそっちの方がいいだろうし黙っておこ⋯
そう思ってたら
「まぁ世界には自分に似た人物が3人は居るって言うからなぁ〜」
小倉さんのその言葉にコップを洗っていた手を止めた
そういえば·⋯あの時⋯『私』がシャロン・ヴィンヤードと話してる夢をみたんだよね⋯
あれは結局、なんだったんだろう
ただの夢とは思えない程
とてもリアルだったけど⋯
それにこの間⋯
真純ちゃんに助けられた時
あの時⋯『私』の夢を⋯みていたような⋯
「⋯さん⋯桜さん!」
「⋯へ?」
ふと我に返ると安室さんが私の顔を覗き込んでいた
「ボーッとして⋯どうかしましたか?」
「あ⋯いえ⋯ちょっと考え事してただけで⋯」
大丈夫ですよ
と言おうとしたらガランッ!!と扉が勢いよく開いた
「桜お姉様!!」
「びっ⋯くりした⋯梅子ちゃん?」
入ってきたのは梅子ちゃん達JK3人組で
梅子ちゃんはドカドカと中に入るとバンッ!!とカウンターテーブルを勢いよく叩いた
「やっぱり⋯やっぱり桜お姉様ですよね!?」
「へ⋯?えと⋯よく分からないけどとりあえず落ち着こうか⋯?」
「そうよ梅子!お店の人に迷惑になるでしょーが」
「あだっ!!」
綾芽ちゃんに頭をチョップされて梅子ちゃんは撃沈してカウンターに伏せてしまった
「お騒がせしてすみません⋯」
「皐月ちゃん⋯えっと⋯どうかしたの?」
「それが⋯さっき横断歩道で信号待ちしてたんですが⋯
後ろから桜さんに腕を引かれてその場から離れたら⋯
その場所にトラックが突っ込んできたんです」
「え⋯」
「だからお礼を言おうとしたら桜お姉さん居なくなって⋯
不思議に思ってたんですけど
そしたら桜お姉さんここで普通に働いてるのが外から見えて⋯
それでびっくりした梅子が飛び込んで行ったんです」
「そりゃあ人違いじゃねぇか?
桜ちゃんならずっとここに居たからよぉ」
「そんな事ないですよ!!あれはぜっったいに桜お姉様でした!!」
「いやぁ⋯安室さんといい桜ちゃんといい⋯
似ている人間がよく居るものですね⋯」
「え、何この外国のお兄さん⋯安室さんにそっくりじゃん」
「そこ!!」
コップを勢いよくドンッ!と置けば皆の視線が私に集まった
「あ⋯えと、梅子ちゃん、その横断歩道ってどこ?」
「それならここから少し先の⋯ちょっと待って下さいね⋯
あ!ここの横断歩道です!」
梅子ちゃんは携帯の地図を開くと私に見せてくれた
「ここからそんなに離れてない⋯ありがとう!
安室さん!梓ちゃん!私気になるからちょっと見てきますね!」
「桜ちゃん!?」
エプロンを脱いでカウンターから飛び出してお店をでたら
「待って下さい!」
安室さんから手を掴まれた
「安室さん⋯?」
「⋯僕も一緒に行きます」
「安室さん⋯気持ちは嬉しいんですけど
2人一緒に抜け出すのは怪しいですし⋯
それに私の勘が正しければ今回は危ないことにはならないと思うので⋯」
「ですが⋯」
「⋯大丈夫」
「!!」
「絶対⋯大丈夫ですよ」
私がそう言うと安室さんはゆっくりと私の手を離してくれた
「⋯じゃあ行ってきますね!」
走って梅子ちゃんが教えてくれた横断歩道にたどり着くと
「⋯やっぱり⋯」
微かにカードの気配を感じた
「⋯移動してる?」
1度目を閉じてカードの気配を探る
そしてカードの気配が強い方へと歩みを進めれば
「⋯東都体育館?」
たどり着いたのは東都体育館だった
その東都体育館の入口の前には
『全国高等学校春季剣道大会』と看板が立てかけられてあった
「剣道大会って⋯もしかして⋯」
服部君がいるんじゃ⋯
そういえばこの間コナン君達が大阪に行ってたの⋯
帰ってきて話を聞いて思い出したけど
あの映画の出来事だったんだよね⋯
危ない目にあったコナン君や服部君、和葉ちゃんの事を聞いて
コナン君に着いていけば良かったと何度後悔したことか⋯
「⋯って、それ所じゃないっ⋯」
慌てて体育館の中に入ろうとしたら
ドンッ!と入口で誰かにぶつかって尻もちをついた
「ったたた⋯」
「失礼⋯大丈夫ですか?」
顔を上げるとまず見えたのは『鬼丸』と書かれた
垂れで
更に上に顔を上げるとスキンヘッドの頭に額の中央に黒子がある男の人が立っていた
「あ⋯はい⋯すみません⋯前を見てなくて⋯」
「いえ⋯私も前を見ていなかったものですから⋯」
そう言って鬼丸さん?は私に手を差し出してくれて
その手をとって立ち上がる
この人いい声してるなぁ⋯なんて思っていると
「⋯ん?」
と鬼丸さんが私の顔をまじまじと見た
「?どうかされましたか?」
「あ⋯いえ⋯先程すれ違った方ととても良く似ていたもので⋯」
「!!その人どこに行きましたか!?」
グッと手を強く握って詰め寄ると
鬼丸さんは奥の方を指さした
「あちらの方ですが⋯」
「ありがとうございます!」
お礼もそこそこにその方へ走り出すと確かにカードの気配は強くなって
気配の強い扉を勢いよく開ければ
「えっ⋯」
外の空気が流れ込んできたと同時に
目の前にいたのは
私だった
「『やっと⋯会えたね』」
私に気づくと『私』は穏やかに目を細めて微笑んだ
「貴方は⋯」
「『貴方に会えるの⋯ずっと、待ってた』」
「待ってた⋯?
もしかして⋯私が夢で見た『私』は⋯貴方なの?」
私がそう言うと『私』は悲しそうに首を横にふった
「『それは⋯違う、
⋯物語は⋯すすんでる
終わりへと⋯すすんでる⋯
だから、気をつけて』」
「え⋯」
「『最後の時⋯
貴方は⋯選ばないといけない
未来は⋯その時に決まるから』」
「どういう⋯こと⋯?」
私がそう尋ねても『私』は目を伏せてもう何も答えてくれなかった
その時曲がり角から話し声が聞こえてきて
これ以上は危険だと、慌てて胸元から夢の鍵を取り出した
「『封印解除(レリーズ)!』」
杖を構えて『私』を見ると『私』は優しく微笑んでいて
「『自分を⋯大切にしてね⋯』」
「え⋯」
その言葉の意味を尋ねたかったけど
声が近づいて来ていた為
『私』に杖を向けた
「『主なき者よ
夢の杖のもと我の力となれ!
固着(セキュア)!』
パキンッ!!と
『私』が消え結晶になる
結晶が砕けて中から出てきたのは
「⋯鏡像⋯ミラー」
そのカードにはさくらちゃんにでてくるミラーのカードとそっくりの女の子が描かれていた
その時
「早く!!急いで!!」
「えっ⋯蘭ちゃん?」
曲がり角から現れたのは蘭ちゃんと⋯
蘭ちゃんに手を引かれている服部君
そして⋯白い道着を着た男の子だった
慌ててこっちへやってきた蘭ちゃんと目が合い
蘭ちゃんが目を見開いた
「え!?桜さん!?なんでここに⋯」
「えっと⋯ら、蘭ちゃんこそ急いでどうし⋯」
「あ!!ごめんね!ちょっと急いでて!!」
「へ?蘭ちゃん?」
蘭ちゃんは私の横を通り過ぎると2人の手を引きながら中へと走って行った
その時白い道着を着た男の子と一瞬目が合い
その子の顔を見て目を見開いた
今の男の子⋯どことなく新一君に似てた⋯
っていうか⋯
「あんなに急いで⋯どうしたんだろ⋯?」
「桜さん、こんな所でどうしたの?」
「!!コナン君⋯」
ふと足元を見るとコナン君が不思議そうに私を見上げていた
「それがカードの気配がして封印の為にここに来たの
それより蘭ちゃん急いでたみたいだけどどうしたの?」
「それがー⋯」
コナン君から話を聞きながら蘭ちゃんが走って行った方へと向かうと
どうやらこの体育館の裏で殺人事件があったらしく
その事件をコナン君と服部君とで解決したらしいんだけど
なにやら服部君がこの大会で優勝したら和葉ちゃんに『言わないといけないこと』があったらしく
それで決勝戦の時間が迫っているから走って会場内へと向かっていたという事だった
「な⋯なるほど⋯何か大変だったんだね⋯
それにしても⋯」
蘭ちゃん達の後ろから試合会場を覗けば
もう試合は終わってしまっていた
「誰かさんがちんたら謎解きしてはったせいちゃうか?」
「お前が座頭市とかしょーもない事言いよるから解決まで時間食うたんじゃ!!」
「解決って⋯また事件に首突っ込んでたん?
ホンマ、探偵っちゅうんは⋯」
「はぁ⋯せっかく告白のチャンスだと思ったのに⋯」
がっくりと肩を落としてため息をついた蘭ちゃんに苦笑いする
「服部君またチャンス逃しちゃったんだね⋯」
「桜さん!そういえばなんでここに⋯」
「えっ⋯と⋯ちょっと色々あって⋯」
どう言い訳しようかと考えていた所で
「な、何やあれ!!」
服部君の声と共にカードの気配がしてそっちをみれば
会場の中央には
「あれって⋯
カード!?」
光る大きなハサミがあった
「なんだあれ⋯」
「何かの演出?」
「でもこんな大会にそんな演出なんて⋯」
突然現れた異質な存在を見て、途端に会場がザワつきはじめた
こっ⋯これはマズイ!!
大騒ぎになる前に早く何とかしないと!と思い
一度通路へ戻ると階段下の目立たない場所に行き
ポーチからカードを取り出した
「『この場に居る者たちを眠らせよ!転寝(スヌーズ)!!』」
転寝で次々と通路を歩いていた人達が眠りにつく
それを確認して慌てて会場内に戻れば
眠らせなかったコナン君と服部君が驚いて私を見た
「やっぱ姉ちゃんの仕業かいな!」
「桜さん!!あれって⋯」
「うん!カードだよ!!
コナン君!服部君!私はアレを封印するから蘭ちゃん達の傍にいて守ってあげて!!」
「お、おい!ちょお待ち⋯」
服部君の制しも聞かずに会場内へと入る
「『この場を包み込め!包囲(シージュ)!!』」
ハサミが外に出ないように
それから外から人が入ってこないようにシージュで会場を包む
するとハサミは私に気づいたのか勢い良く私の方へと向かってきた
「!!『飛翔(フライト)!!』」
それを咄嗟に飛んで避ける
早く封印しないと⋯外から入れないって気づいた人が不思議に思って大騒ぎになるかもしれない⋯
「『螺旋(スパイラル)!!』」
そう思って
スパイラルでハサミを閉じ込めたけど
ジャキンッ!!
「なっ!?」
ハサミはスパイラルを切り裂いて出てきてしまった
そしてまた私の方へと勢い良く飛んできて
「!!『反射(リフレクト)!!』」
咄嗟にそれを跳ね返して体勢を整える
閉じ込めるだけじゃだめだっ
こっちからも反撃しないとっ⋯
「『疾風(ゲール)!!』」
ゲールで攻撃してハサミの体勢を崩そうとしたけれど
「えっ⋯2つに割れたっ!?」
ハサミが2つに割れ、まるで剣のような姿になり
私の方へと襲いかかってきた
「うわっ!!ちょっ!!待って!!」
次々と襲いかかる剣を必死に避けていけれど
「!!『反射(リフレクト)!!』」
避けた先に眠っている人がいるのに気づき
咄嗟にリフレクトで剣を跳ね返す
するとその隙に背後からもう1つの剣が迫ってきていて
「しまっ⋯!!」
間に合わないっ!!
衝撃に備えて杖で身を守るように構えたら
バシィン!!
「ぇっ⋯」
何かが当たる大きな音がすぐ近くで聞こえて
閉じていた目を開けたら
「こいつが前に言っとった『カード』っちゅうやつやな!」
「は⋯服部君!」
服部君が竹刀で剣を弾き飛ばしていた