19.迷宮
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長野県警の2人から小五郎さんの所に依頼された赤い壁の事件⋯
何故か私もついて行く事になって
その事件現場の死亡の館で諸伏高明警部と出会った
諸伏警部を見ていたら何故か胸が締め付けられるように痛くなり⋯
その理由を考えていたら諸伏警部の言葉で
それは諸伏警部の弟さんの事だと分かった
その弟さんの居場所は分からないけど⋯
きっと、重要な⋯大切な人なんだと思う
だからいつか⋯会ってみたいなぁ⋯
⋯まぁ、それはいいとして⋯
もう1つ、事件の真相を追っている途中で
由衣刑事に魔法の事がバレてしまった
幸い由衣刑事は他の人には言わないと言ってくれたけど⋯
これからはもっと気をつけて魔法を使わないと⋯
コナン君の言う通り⋯この力が『悪い人』にバレたら⋯
私自身も、周りの人も危ない目に合うかもしれない
状況は違うけれど、コナン君と同じ⋯なんだな⋯
それにコナン君と昴さんのあの説教はもう受けたくない
絶・対・に
だから恐らく諸伏警部にもバレてしまっている事は
コナン君達には言ってない⋯言えない⋯
とにかく!!
これからは絶対に他の人にはバレないようにしよう!!
「⋯って思ってたのに⋯」
私の膝には頭を預けて眠っている安室さん
目の前に広がるのは不思議な空間にある果てしなく続く迷路⋯
「なんで⋯
なんでこんな事に⋯」
それは少し前の事⋯
「これでよしっ⋯と」
「こちらも終わりましたよ」
「じゃあ後は戸締りだけですね」
ポアロの掃除を終えて、安室さんと一緒にお店を出てから扉の鍵を閉めた
「それじゃあ安室さん、お疲れさ⋯」
「もう遅い時間ですし送って行きますよ、桜さん」
「⋯⋯」
⋯やっぱり、そうくると思った
こうやって安室さんと一緒に就業時間を終える時
安室さんは必ず家まで送って行くと言ってくれる
でもいくらもうすぐ⋯明日引っ越すと言ってもあんまり工藤邸には来てほしくない⋯
いつもは用事があるとかで誤魔化していたけれど
「えっと⋯そのわざわざ悪いですし⋯」
「そんな事気にしなくていいですよ
それに長野県で解決した事件の事⋯詳しく教えてくれませんか?」
「ぅ⋯」
そうきたか⋯
安室さんに相談してしまっている以上、断りにくい⋯
「そ⋯その⋯私なんかより小五郎さんから話を聞いた方がいいんじゃないんですか?」
「実は毛利先生多忙のようで最近会えてなくて⋯
それに桜さんから話を聞いたので
桜さんの方がいいかと思ったんです
ね?教えてくれませんか?」
「⋯あは⋯は⋯」
爽やかスマイルをこちらに向けた安室さんに苦笑いして
どう言い訳して逃れようか考える
「⋯あ」
「?」
いっそ話題を逸らしてみれば、と思い
鞄に手を突っ込んだ
「あの⋯安室さんに渡したい⋯
っ!!」
「桜さん?」
カードの気配がして顔を上げる
その私の様子に驚いた顔をした安室さんと目が合った
その瞬間
「「⋯ぇ⋯」」
周りが⋯迷路に変わっていた
不思議な空間に浮かぶ逆さまになった階段や坂道
「!?これはっ⋯」
急激に変わった周りの様子に安室さんが辺りを見渡す
その隙を見て胸元から夢の鍵を取り出した
「っ⋯『封印解除(レリーズ)!』」
「桜さ⋯」
「『転寝(スヌーズ)!』」
倒れそうになった安室さんを支え
そのまま地面に座り込んで安室さんの頭を膝の上に乗せた
「⋯⋯」
同じパターンじゃん!!
「うわあああぁぁぁ⋯
どうしようどうしようどうしよう⋯」
まさかの⋯
由衣刑事と同じパターン!!
つい最近魔法がバレないように気をつけようって決めたばっかりなのに!!
由衣刑事を誤魔化せなかったのに安室さんを誤魔化せる訳ない⋯
それに私が封印解除して魔法を発動するあの僅かな間
振り返った安室さんと、
目が合った
「⋯⋯」
⋯あ、詰んだな、これ
遠い目をして放心する事数秒
ハッとして我に返り、辺りをキョロキョロと見渡した
「って、放心してる場合じゃない⋯
ここ⋯何処だろう⋯」
見た感じこの迷路は⋯クロウカードで言う
迷(メイズ)と似てる⋯かな?
もしこれがメイズと似てるカードなら
不正はできない⋯
まぁしようと思ってもこんな変な空間で不正の仕様がないけど⋯
でもクロウカードでは夏帆さんの月の鈴で迷路を突破してたから⋯
イマイチ不正の基準が分からんな⋯
「⋯今持ってるカードで⋯ここから出れるかな⋯?」
サコッシュからカードを取り出して広げてみる
「うーん⋯」
フライトで移動⋯はできないな⋯
そもそも出口が分からないし、意識のない成人男性を1人抱えて飛ぶのはおそらく不可能⋯
ってか私の腕が死ぬ
あと⋯可能性があるとすれば⋯グラビテーションかな⋯
出口まで引力で引っ張って行けば⋯
でもそうしたら意識のない安室さんが危ないんだよね⋯
「あ⋯そうだ!」
1つの手段を思いつき、夢の鍵を取り出す
「『夢の力を秘めし鍵よ
真の力を我の前に示せ!
契約の元桜が命じる
封印解除(レリーズ)!
飛翔(フライト)!』」
フライトさんがふわりと目の前に現れると
そのリボンの端を柔らかく握った
「お願い、フライトさん
この人を傷つけないで安全に運んで欲しいの
私はグラビテーションで出口まで行くから⋯
後をついてきてくれる?」
フライトさんは私に頬ずりすると
背中に付きやすいように安室さんの身体を横に向ければ、その背中にピトリとくっついてふわりと浮いた
「⋯⋯」
な⋯なんだ、この光景⋯
イケメンの背中に可愛らしいリボンの羽が生えとります⋯
カシャッ
「⋯ハッ!!」
気づいたら手が勝手にスマホのカメラを起動して写真を撮っていた
「だっ⋯だめだめっ!!何やってんの私!!」
慌ててその画像を消そうとするも
「⋯⋯」
削除しますか?
の所で手が止まる
⋯いや、これ盗撮だし
いつ安室さんに携帯見られるかも分からないし
残しておくのは危険⋯なん、だけど⋯
「⋯さ、削除できないぃ⋯」
この先絶対見ることはないであろう光景に
削除ボタンを押すことができないでいた
いやだってこんなレアなショットもう見れないよ!?
馬鹿言え!!何かの拍子に安室さんに見られたらどうするつもりだ!!
心の中で悪魔と天使が私に囁いて葛藤する
でも⋯でもっ⋯
でも!!
「⋯⋯」
ピッと機械音がして、
スマホからその画像は削除された
安室さんにバレたら危ないし⋯いや、もうバレてる可能性大だけど
他の人にも見られる可能性も無きにしも非ずだから⋯
ここは⋯我慢しよう!!
「『記録(レコード)』!!」