8.名前
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「あれ?桜ちゃんそれ可愛いね」
梓ちゃんと2人で仕事中
食器を洗っていたらふと梓ちゃんが私の髪を見ながらそう言った
「ん?あぁ、これ?」
私の髪に付けているのはマカロンやチョコの飾りが付いたヘアピン
「いいな〜どこで買ったの?」
「実はこれ自分で作ったんだ」
「えっ!?自分で!?」
「うん、フェイクスイーツって言って粘土で作ってるの」
実は最近昴さんに夜のバイトの事を聞かれ
クラブでバイトをしてると言ったら今すぐ辞めるようにとおど⋯話をされ
時給がいいから渋っていたんだけど
昴さんがお店に来て私を指名するというとんでも事件がおきた為
クラブのバイトを辞める事にした
そのお陰で夜に時間ができ
その空いた時間で前の世界でもよくやっていたアクセサリー作りに勤しんでいた
食器を洗い終えて手を拭いた後
ヘアピンを外して梓ちゃんに見せる
「凄い⋯売り物かと思っちゃった⋯
桜ちゃんって手先器用だよね〜
私不器用だし、すぐに集中力切れちゃって続かないよ⋯」
「そんな事ないよ〜
それに何かに集中してたら嫌な事も忘れられるし⋯」
「⋯桜ちゃん何か嫌な事あったの?」
「あ⋯」
しまった⋯今のは失言だった⋯
「えと⋯その⋯実は最近体重が増えちゃって〜
ちょっとダイエットしようか悩んでるんだよね〜アハハ⋯」
「え!?桜ちゃんはダイエットなんかしなくていいって!」
「いやいや⋯梓ちゃんはスタイルがいいから⋯」
「すみませーん」
その時テーブル席の方から声をかけられ
オーダー票を手に取った
「はーい!オーダー取ってくるね」
「うん、ありがと」
「あ、それから三杯分のお湯沸かしてコーヒーの準備してくれる?」
「?うん、分かった」
良かった⋯上手く誤魔化せて⋯
ホッと安堵の息をついてテーブル席にオーダーを取りにいけば
そこには女子高生3人組がいた
「注文いいですか?」
「はい」
「えっと⋯アメリカンコーヒーのホット3つと」
「チーズケーキ1つ!」
「あとレモンパイ2つでお願いします」
3人の内2人⋯黒髪の腰まで届く長い髪の美人さんと
ボブカットの茶髪の女の子は帝丹高校の制服を来ていて
もう1人のセミロングのクリーム色の髪をした子は江古田高校の制服を着ていた
この子達は最近よく来てくれる女の子達だ
1度ここの珈琲とケーキが気に入ったって言ってるのを聞いた事があるから⋯
やっぱり常連さんが増えるのは嬉しいな⋯
オーダーを取り終わり梓ちゃんの所に帰って
注文内容を伝えると梓ちゃんに少し不思議そうな顔をされた
「どうしたの?」
「いや⋯桜ちゃんもしかしてあの子達がコーヒー頼むの分かってたのかな〜って
ほら、さっきオーダー取りに行く前に
三杯分のお湯沸かしててって言ったでしょ?」
「あぁ、最近あの子達よく来てくれて、いつもコーヒー頼んでるから覚えてたんだ」
「そういえば最近よく来てるかも⋯
桜ちゃん記憶力もいいんだね」
「いや〜可愛い女の子限定だけどね〜」
そう言えば梓ちゃんから苦笑いされた
梓ちゃんが珈琲を準備している間
私はケーキを用意する為冷蔵庫からケーキを取り出し、それをカットしようと包丁を入れたら
ふと女の子達の会話が耳に入った
「え、あんたここで切るつもり?」
「だって邪魔で仕方ないんだもん〜」
「ここは飲食店ですよ?やめておきなさい」
「う〜⋯」
声がする方を見ればさっきの女の子達で
ボブカットの女の子がハサミを持っていて
それを前に座っている2人に注意されていた
「あーやっぱダメっ!!もう切る!!」
そう言ってハサミを自分の前髪に当てるボブカットの子
「ちょ!やめなって!」
黒髪の子が焦ってその手を掴んでしまい⋯
ジョキッ
その音がいやに店内に響いた気がした
「「ぁ⋯⋯」」
「ぇ⋯⋯」
ボブカットの女の子の目の前にあるのは切られた前髪で⋯
「「⋯⋯」」
「⋯ね⋯ねぇ⋯私の前髪⋯どうなってる⋯?」
サッと前の2人は顔を逸らした
なぜなら⋯
「こ、これ⋯明らかに量が多いと思うんだけど⋯」
前髪はざっくりと切られおでこが丸見えになってしまっていたから⋯
ボブカットの女の子は自分の鞄から鏡を取り出し
恐る恐る自分の姿を確認する
その姿を見た瞬間、鏡を落とした
「うっ⋯うわああああああ!!綾芽のせいだああああ!!」
「ご、ごめんって!!大体梅子がこんな所で切ろうとするから悪いんでしょ!?」
「でもでも!止め方があるじゃんかああああ!!
私っ⋯私これからどうやって外を歩いていけばいいのかっ⋯」
「あら、小学生みたいで可愛いわよ?」
「皐月それフォローになってないからね!?」
「大丈夫かな⋯あの子達⋯」
「うーん⋯届けに行くついでにちょっと様子見てくるね」
カウンターでその様子を見ていた私達
私はトレーに注文のケーキと珈琲を乗せて
梓ちゃんにそう言って3人組の所へと向かった
「ご注文のホットコーヒーとレモンパイ、チーズケーキです」
「ほらっ店員さん来たよ」
「そのテーブルにある無残な髪の毛どうにかしなさい」
「皐月ひどいぃっ⋯」
ボブカットの子⋯梅子ちゃん、っていうのかな?
を見れば確かに前髪は悲惨な事になっていて⋯
涙目のその子を放っておく事ができずに梅子ちゃんに話しかけた