009

校庭の隅から赤毛の彼がこちらを見ていた。

3年間この校舎、同じ人数で生活していたというのに、初めて見る顔だった。
あんなに目を引く赤毛に端正な顔なのに。

目があった気がしたが、向こうが微動だにしないあたり、彼が見ているのは少なくとも私はないのだと思う。

体育の時間、休憩中だろうか。

他の男子は球を追いかけているか、休憩している。が、一人でいるのは彼だけだ。

(友達なら私もいないよ)

彼のいる日陰はより一層濃く深いように思えた。

パクパクと口を動かし
「きみはだれ?」と問いかける。

彼はこちらを見ていたが、返事はなかった。
私も彼も、ここにはいなかった。
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