短編01

人から、音から、過去から、記憶から、
寄せる波から逃れるために振り返らずに走る。

森閑とした暗闇から伸びた腕に引き寄せられる
今まで私がいた場所をサーチライトが照らしていた。
助けてくれた白髪の彼は私を見てなぜか少し泣いる。

壁に囲まれたこの場所で死にたくない。
出口を探す、またどこかで人が死ぬ、
きっと次は私だ。

硬く冷たい彼の腕の中で、なぜ私でなくライオンが
死んだのか考えてもわからなかった。
そんな私を見て    は静かに微笑んだ。
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