短編01

ブザーの音が鳴った
私はステージの真ん中でピンスポットを浴びていた

そこからは客席も舞台袖も見えずひとりぼっち。
オーケストラは私を急かし、見えない何かは劇を進める。せめてシェークスピアだったならと座り込む。

訳がわからないまま舞台は幕を閉じた
私はただそこにいただけ、客席からは破れんばかりの拍手、スタンディングオベーションらしい。

カーテンコールで客席に彼の姿を見つけた
彼は目が合うと、私になってウィンクをした
そしてそのまま闇に溶け、拍手は鳴り止まなかった。
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