短編01

視界いっぱいの夜は明けることを知らず、
ここが空よりずっと先だと気づくのに時間がかかった。そこは思っていたよりずっと地味で、
いつかの星も月もただの大きな石だった。

かすかに私を救い出す声が聴こえる
けれどここには音を届ける波長はない。
ゆっくりゆっくり地球へ引かれる。

記憶の奥底にある流星は一瞬で、
私も同じように終われるのならそれも良いと思った。

目はしっかり合っていたが
彼が差し出す手を、私は取らなかった。
5/9ページ
スキ