004

薄暗く、湿った土に覆われたあの日の記憶。

最愛のメスライオンが死んだあの日、
彼女は俺の腕の中でくったりして、
そして、2度と目が合わなかった。
薄れゆく体温を感じる暇もなく俺も死んだ。

俺はあの時、彼女と死んだ。
新しい人生には、8人の仲間と良心を持った博士、

そして愛娘。彼女と俺のかわいいかわいい娘。

俺の娘、生きている。
俺の娘、彼女に似ている。
明るくて、優しくて、俺に笑いかける。

娘が産まれてもう6年。
俺が2度目の命を受けてからは、
数え切れないほど季節が回った。

6歳の彼女と、黒く湿った土を踏む。
数え切れないほど見送ったあの日を
この子となら、迎えられる気がした。

白い花、黒い服、愛娘。
やっと、あの湿った夜が明ける。

今日も、雲は多いが目の前は
ちゃんと、ちゃんと晴れている。
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