短編

体育祭の自主練という名の強制昼休み練習。
どう考えてもサボるでしょ。
授業で運動するのだってめんどくさくてたまらない。
グラウンドで砂にまみれて、日差しを浴びる、それだけでも嫌なのに、クラスとかチームとか一致団結?心を一つに?そう言うの1番苦手。

どのクラスもみんなグラウンドに向かって歩いている、ジャージの群れを忘れ物したフリして逆行する。
学年ごとに違うジャージの色はどの学年も全てダサいし、シーブリーズとか、汗拭きシートの強い匂いが混じり合っていて、全部が最悪だった。

砂っぽい教室、タオルとかジャージの上着が乱雑に配置されている、人がいないのにエアコンが効いていて少し寒い。
自席に座り、机の中のハードカバーに手をかける。
誰もいないのに音を立てないように慎重になっている自分が面白い。気にするくらいなら参加すればいいのにと一人で自虐的に笑う。


ガタ、
背後で椅子を引く音がしてバッと振り返る。
びっくりしすぎて本を落としてしまった。

「……おぉ、大丈夫か?」
「だいじょうぶ」

本を拾い上げながら声の主を盗み見る。
いつからいたのかわからない、全然気づかなかった。
仁王雅治。何考えてるかよくわからないやつ。
周りに人は多いけど、一人でいるところもよく見かける。今だって昼休みの教室で1人と1人。
一緒にサボってるわけじゃない。
白い髪を無防備に晒して机に伏せて寝ている。
襟足の一筋だけ長い毛を無意味に束ねているな…と思った。あの毛は何のために伸ばしているんだろう。

遠くで練習の声が聞こえてる、なんかしらけちゃう自分を可哀想だと思う。
仁王もそう言うことを考えるのだろうか。
と、頭のすみで少しだけ思った。
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