短編

私が言い出したことだったけど、灼熱すぎてちょっとしんどかった海デート、暑さから逃げるために波に向かって歩いても、海の温度はぬるかった。
ビーサン履いたむき出しの足で踏んだ砂が熱くて赤也がずっとわーわー言ってた。

帰り道もチャリを2ケツして、きた道を戻る。
「もっかいコンビニ寄る?」
「当たり前」
なんて笑いながらさっきアイスを買ったコンビニへ駆け込む、かいた汗が全部冷やされて人間としての温度を取り戻す。外の暑さでいつか美味しくなってしまうなと最近はよく思う。
「そういや今日夜、カレーだって。あとメンチカツ」
「まじ?やったー赤也ママのメンチカツめっちゃ美味しいもんね〜」
嬉しすぎて鼻歌も歌っちゃう、ほんとに美味しい、てか赤也ママのご飯は全部美味しい。切原さん家の子になろうかな〜。でもそれじゃ赤也と付き合えないか。

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よく知った街に戻ってきた頃には買ったばかりのグミが外の暑さで柔らかくなっていた。
「グミなんて柔らけーもんだろ」と2、3個同時に口に放り込む赤也はグミの事を何にもわかってないと思う。

赤也の家の玄関が言ってた通りカレーの匂いがして急にお腹が減る。座って靴を履いてた彼のお姉ちゃんが「友達と花火すんの」と軽快に笑っていた。まだ暑い外に滑り出る彼女はいつ会っても優しくて良い人だと思う。そんな背中に手を振りながら、
「私、めっちゃお姉ちゃん好きだわ」なんて呟いたら
「は?どこが?」って信じられないって顔してて姉弟だな〜って思った。

キッチンでご飯の準備をしてくれているママに挨拶したら「暑かったでしょ?」と麦茶がでできた。
他人なのにいつのまにか準備されてる私用のコップ。
雑貨屋でよく見る、レトロな白い花柄のやつ。
私のためにわざわざ買ってくれたのかな、なんて嬉しくて両手で掴んじゃう。親指で撫でたりしちゃう。
妙に美味しい赤也んちの麦茶。うちのと何が違うのかわからないままいつもいただく。
「ご飯まだかかるから、先お風呂入っちゃいな」
赤也ママの優しい声が聞こえて、2人で返事をする。
「一緒に入る?」なんて赤也が笑うから「ばーか」と肩をこずく。


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お風呂の後の清潔な体で、赤也の家のソファーに寝転がる。赤也は風呂だし、赤也ママのご飯を作る音が心地いい。
リビングの棚に飾ってある、赤也とお姉ちゃんの小さい頃の写真を見てるとなぜかとっても幸せになる。めっちゃいいんだよな〜愛されてるって感じ。
コロコロ転がってたら、赤也が頭濡らしたままドタバタ登場した。
「何分だった!!」
「あー、3分半」
「な!言ったろ!5分以内だって!」
赤也がどれだけ風呂早く入れるかを力説されて、笑ってたら見せてやると言われたのが5分前。本当に3分半ででてきて面白い。
赤也ママがちゃんと拭きなさい!と怒っている。
いつもこうなのかと楽しくなる、最高すぎる。

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やっぱり美味しい赤也ママのご飯を食べて、赤也パパが帰ってきて、挨拶をしてから赤也の部屋に引っ込む。
ちょっと散らかったこの部屋はめっちゃ赤也って感じがして好きだ。何の匂いかわからないけど赤也の部屋の匂いがした。
雑に放ってある読み込まれたゲームの攻略本。
少し色褪せた机に貼られたポケモンのシール。
枕元の絡まった充電コード、
テニスラケット、立海ジャージ。
何度来てもキョロキョロとしてしまう。
「あんま見んなよ」
「…見る」
「何が楽しいんだよ」
ベッドの上でくしゃくしゃになってるタオルケット。
今朝も蹴飛ばして起きてそのままなんだろうな。
「赤也って感じするから」
「は?」
「褒めてる」
「全然わかんねぇ」
赤也が動かした首振り扇風機の風が、雑につまれたプリントと教科書を揺らしている。
「ゲームやろーぜ」とコントローラを二つ持ってニパニパ笑う赤也が可愛くて、デコピンしたくなった。
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