西の天才
校内が昼休みの騒めきで溢れている。
女子生徒の甲高い笑い声が時々聞こえてくるし、
校庭にはボールを追いかける男子生徒が白いシャツに太陽を反射させてギラギラ光っていた。
ガサガサの白いカーテンの隙間から世界を眺めていると全てがドラマや映画の景色みたいで眩しすぎて真っ直ぐ見られなかった。
(まあ、とくべつ見たいとも混ざりたいとも思わないけど。)
保健室はいつも同じ、とても静かで清潔だった。
いつもと同じように午後にやるべきプリントも揃っているし、返ってきた小テストも満点で私の日々は正確で完璧だった。
養護教諭がちょっと職員室に行ってくるねと小さく手を振ってから15分は経っていたが、基本的に保健室に人が来るなんて昼休みに限らず珍しい事だった。
そして、私を1人残して行く時は鍵をかけてくれているのに今日は忘れたか、ほんとに短時間で戻るつもりだったんだろう。
かぎのかかっていない扉がゆっくり開いて、黒髪の男子が気だるげに中を覗く
「…先生おらんの?」
顔を顰めつつ、視線が保健室を見回して私に止まる。
「…いないです。でも、この紙書いて置いとけばわかると思います。怪我ですか?」
と保健室利用用紙を差し出す。
後ろ手に扉を閉めつつこちらに歩いてくる彼は
「や、頭痛。薬なくて。」と紙を受け取り
養護教諭の机に置いてあった先の丸い鉛筆を拾い上げて走らせる。
2年7組 財前光
彼は頭痛に丸を付け、利用時間を確認するために顔を上げる。
(2年生、先輩か)と彼の挙動を眺めていた。
「ベット全部空いてるので、好きなとこ寝てええです多分。薬は流石に勝手に出すわけにいかへんから、ごめんなさい。」
利用用紙を書き終えた先輩にベットを指差しながら説明する。
「いや、助かったおおきに。」
と一番奥のベットに消えていく先輩の背中を見ながら、ピアス五つもあいてる不良や。とぼんやり思った。
女子生徒の甲高い笑い声が時々聞こえてくるし、
校庭にはボールを追いかける男子生徒が白いシャツに太陽を反射させてギラギラ光っていた。
ガサガサの白いカーテンの隙間から世界を眺めていると全てがドラマや映画の景色みたいで眩しすぎて真っ直ぐ見られなかった。
(まあ、とくべつ見たいとも混ざりたいとも思わないけど。)
保健室はいつも同じ、とても静かで清潔だった。
いつもと同じように午後にやるべきプリントも揃っているし、返ってきた小テストも満点で私の日々は正確で完璧だった。
養護教諭がちょっと職員室に行ってくるねと小さく手を振ってから15分は経っていたが、基本的に保健室に人が来るなんて昼休みに限らず珍しい事だった。
そして、私を1人残して行く時は鍵をかけてくれているのに今日は忘れたか、ほんとに短時間で戻るつもりだったんだろう。
かぎのかかっていない扉がゆっくり開いて、黒髪の男子が気だるげに中を覗く
「…先生おらんの?」
顔を顰めつつ、視線が保健室を見回して私に止まる。
「…いないです。でも、この紙書いて置いとけばわかると思います。怪我ですか?」
と保健室利用用紙を差し出す。
後ろ手に扉を閉めつつこちらに歩いてくる彼は
「や、頭痛。薬なくて。」と紙を受け取り
養護教諭の机に置いてあった先の丸い鉛筆を拾い上げて走らせる。
2年7組 財前光
彼は頭痛に丸を付け、利用時間を確認するために顔を上げる。
(2年生、先輩か)と彼の挙動を眺めていた。
「ベット全部空いてるので、好きなとこ寝てええです多分。薬は流石に勝手に出すわけにいかへんから、ごめんなさい。」
利用用紙を書き終えた先輩にベットを指差しながら説明する。
「いや、助かったおおきに。」
と一番奥のベットに消えていく先輩の背中を見ながら、ピアス五つもあいてる不良や。とぼんやり思った。
1/2ページ