詐欺師

雨の午後、授業が始まり前から順にプリントが回ってくる。
ガサガサの藁半紙でできた小テスト、15問が規則正しく並んでいた。前を向いたまま、一枚取って後ろへ回す。

反応がない、仕方なしに振り向くとぼんやりと窓の外を眺めるクラスメイト。

「…におー。小テスト」
「…ん、おおすまん」

白髪の彼は何を考えてるのかわからない不思議な人だなと思う。

前を向き直し、小テストを解く。
カリカリと少し引っかかる紙とシャーペン。
遠くで雷が鳴っている、湿度が上がってきたのか藁半紙が心なしかしっとりしている。

隣の席とマル付けをするために交換する。
教師の声を聞きながら、赤色のボールペンを走らせる。

提出するために後ろからプリントが回ってくるのを待つ。戻ってきた答案を眺めながら雨の音を聴いていた。

「…ん」後ろの席から小さく声がする。
手だけ出して回収する。

仁王雅治 14/15

いつも一問間違えてるなと思う。いつも14点の男子。
自分の答案を重ね前に回す。

彼は不思議だ。
やる気はなく気だるげに見えるのに、強いと噂のテニス部らしい。
話し方も謎の方言を使っているし、あまり喋るタイプではない。

あと、テニス部なのに色が白いので日焼け止め何を使ってるのかずっと気になっている。
そして、14点の小テストも多分全部解けるのに一問わざと間違えていると思う。

雨のせいで薄暗い教室で、教師の声は遠く、眠気と戦うクラスメイト達。
眠気覚ましにと、昼休みに図書室で借りた本に触れ、机の中でしおりの挟んであるページを探す。

2、3行読んだところで後ろから背中をつつかれる。
振り向くと眉を下げ
「…すまん。消しゴム拾ってくれんか?」
と、私の足元を指差すクラスメイト。

読んでた本に栞を挟み直し、少し椅子を引き、足元を探す。
ケースもついていない小さな消しゴムが椅子の下に転がっていた。

「はい」彼の差し出されていた手のひらにのせる。
「…すまん、助かった」

彼の口からは「すまん」が良く出るなと思いながらまた栞を探した。
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