詐欺師
駅のアナウンスにより会話が途切れた。
そのまま、人の波に乗り電車に滑り込む。
この時間の人混みは朝とは違う疲れを孕んで、どこか空気がぬるかった。窓の外に夕暮れの街が流れてゆく。
窓に反射する彼女は、人混みの中で小さくなり、前に抱えたリュックに顎を乗せて、下を向いた瞳は何を見るでもなくうろうろと泳いでいた。
何度か駅に停まり、人の波に揉まれる。
その度に、ツヤツヤの黒髪が遠かったり近づいたりした。
何か言葉を紡ぐべきかと、自分の中で話題を探すが、そのどれもが無駄で意味のないものに思えて。自分の薄っぺらさに心の中で舌打ちをした。
「…私、ここだから。」
何度目かの停車駅で彼女が小さな声で言った。
「ん、お疲れさん…」
彼女からの最低限の礼儀で出た言葉に、できるだけ自然な返事をする。
「…ま、た。明日。」
電車の扉が開く前に、聞こえた言葉に
返事が出来ないままに扉が閉まった。
「また明日。」
自分はもっと器用な人間だと思っていた。
そのまま、人の波に乗り電車に滑り込む。
この時間の人混みは朝とは違う疲れを孕んで、どこか空気がぬるかった。窓の外に夕暮れの街が流れてゆく。
窓に反射する彼女は、人混みの中で小さくなり、前に抱えたリュックに顎を乗せて、下を向いた瞳は何を見るでもなくうろうろと泳いでいた。
何度か駅に停まり、人の波に揉まれる。
その度に、ツヤツヤの黒髪が遠かったり近づいたりした。
何か言葉を紡ぐべきかと、自分の中で話題を探すが、そのどれもが無駄で意味のないものに思えて。自分の薄っぺらさに心の中で舌打ちをした。
「…私、ここだから。」
何度目かの停車駅で彼女が小さな声で言った。
「ん、お疲れさん…」
彼女からの最低限の礼儀で出た言葉に、できるだけ自然な返事をする。
「…ま、た。明日。」
電車の扉が開く前に、聞こえた言葉に
返事が出来ないままに扉が閉まった。
「また明日。」
自分はもっと器用な人間だと思っていた。
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