詐欺師

じゃれ合う男子をこんな距離で見るのはいつぶりだろう。小学生の頃は何も考えず遊んでいる異性に混ざれたのに。制服のせいなのか15歳という年齢のせいなのか、自身の性格のせいなのか。
そんな事を考えているといつもより駅の照明が眩しかった。

駅前で後輩くんはバスに乗ると消えてゆき、人数が減る事で私の場を構成する責任が大きくなるのを不安に思う。そんな事誰も気にしていないのに。

そんな私にも事もなげに話しかける丸井の事をずっと同じクラスだったのに、よく知らないなと思った。
仁王と丸井が喋っている間2、3歩後ろを歩きながら。
(セルフで染めてるのかな…)とどうでもいい事を考えていた。

改札を抜けると丸井は方向が逆だった。
いよいよ逃げ出したくなる。今更電車を遅らせる事もできずホームに向かう階段が私の足元だけ永遠に続けばいいのにと思った。

ついに仁王と二人になり、
仕方なく、諦めて、どうしようもないから、
並んで電車を待つ。しかし、横ではなく縦に。
(ドラクエか?)と思う事で平穏を保つ。
なぜ彼は後ろに立つのか、今からでも別の所に並び直そうか悩む。でも良いアイデアは浮かばないまま時間が過ぎる。

「今日も雨宿りか?」
頭上から声がする。

「え…?」
彼の声は小さくは無かったが、雑踏に紛れて取りこぼさないように意識を集中する。

「前は雨宿りだったじゃろ」
前、とはもう忘れたあの雨上がりの帰り道の事だと気づくまで時間がかかった。私はちゃんと記憶に鍵をかけられていて安心した。

「あ…、うん。いや、今日は違うけど、漢検とか、委員会とか…そんな感じ。」

「そうか。」
「…そう、です。」
なぜか敬語になってしまう。

はっきり喋れない自分が嫌になる。
意識しすぎていると気づきたくない。
顔が熱を持つのと同時に、白線の内側に下がれというアナウンスが聞こえた。
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