ステージ1 ザエイン市
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
太陽が昇り詰めようとしている正午直前。三人の乗った車はエジプト南端の街ザエイン市に到着し、##NAME1##は住宅街に面した広い通りで降ろされた。
ジャックから渡されたコピーの地図を頼りに、決められた担当地点へ向かう。
「あった!ジャックくん、すぐ見つかったよ」
『オーケー。今ジョナサンも降ろしてきたところだよ。僕ももうすぐ配置につくから、あとは説明した通りに頼むね。何かあったら連絡して』
「ラジャー!」
渡されていた通信機をベルトに引っかけ、改めてイヤホンを耳に装着し直した。儀式中何が起こるか全くわからないが、##NAME1##にできる準備はこれで万端だ。
いよいよ地面に描かれた紋章の中心に立つ。12時になったら、一体何が始まるのだろうか?
「……」
暇だ。
肌色のレンガを基調とした住宅街は閑散としていて、人どころか空き缶一つ見当たらない。市民から好奇の目を向けられることがないのでその点は好都合だが、殺風景な景色を相手に待ち続けるのもある意味苦痛だ。
##NAME1##は足元の紋章を眺めたり通信機をポケットに仕舞ったりしながら暇を持て余していた。
「…!」
しかし、背後から段々と近付いてくる物音で丸腰の##NAME1##に緊張が走った。足音とは別に、何かを引きずっている音も聞こえる。
ジョナサンでもジャックでもない。彼等は今、離れた位置でじっと突っ立っている筈だから。
「だっ、誰ですか!?」
ただの市民であることを祈って振り向くと、##NAME1##は兎博士に初対面した時と同じく言葉に詰まってしまった。
「何だお嬢ちゃん?」
こちらに向かって歩いてきた者は、まず人ではなかった。
第一印象は恐竜。トカゲにしては大きすぎるし、亀だとしても相当なサイズだ。しかも二足歩行でスーツ姿ときた。どういう仕組みかその上から丸い甲羅を背負っていて、垂れ下がった尻尾は舗装されていない道をずりずりと引きずられている。
「おじさんはその紋章に用があるんだ。ちょいと退いてくれないか」
すっかり面食らってしまったが、喋る人間大の兎が存在するのだ、喋る巨大亀が居てもおかしくない。
「そうなんですか。でも、私も用があるんです」
幸いにも人間の言葉が通じるので、なんとか平静を保ちこの亀との対話に応じる。
「この時間、ここに立っているように頼まれたんです」
「頼まれただと?チッ、他にも狙ってる奴が居るのか?……まさか、いや…」
「?」
巨大な亀男は少し考え込んだ後、胸ポケットから高級そうな財布を取り出した。
「いくらで頼まれた?倍の額を出してやるから、ここはおじさんに譲ってさっさと帰んな」
「いえ、私が先に来たんです。退きません」
この儀式には参加者の信頼度が重要と聞いていた。ここで二人を裏切る訳にはいかない。
「…そうだ!」
何かあれば連絡をと、つい先程ジャックに言われていたことを思い出す。
通信機を取り出し操作しようとしたが、爪の長い緑色の手に容易く奪われてしまう。コードで繋がれたイヤホンも##NAME1##の耳から呆気なく外れていった。
「あっ、ちょっ…」
「悪いことは言わねえ、このまま帰るんだ」
「返してください!それが無いと…」
「お小遣い稼ぎなら余所でやるんだな」
どうやら彼は聞く耳を持ってはくれないようだ。
「貴方、いきなり出てきて何なんですか?それに私お金なんか」
「!…伏せろ!!」
組み伏せてくるのとほぼ同時に亀男はそう叫んだ。そして、一発の銃声が人気のない街中に響き渡った。
ジャックから渡されたコピーの地図を頼りに、決められた担当地点へ向かう。
「あった!ジャックくん、すぐ見つかったよ」
『オーケー。今ジョナサンも降ろしてきたところだよ。僕ももうすぐ配置につくから、あとは説明した通りに頼むね。何かあったら連絡して』
「ラジャー!」
渡されていた通信機をベルトに引っかけ、改めてイヤホンを耳に装着し直した。儀式中何が起こるか全くわからないが、##NAME1##にできる準備はこれで万端だ。
いよいよ地面に描かれた紋章の中心に立つ。12時になったら、一体何が始まるのだろうか?
「……」
暇だ。
肌色のレンガを基調とした住宅街は閑散としていて、人どころか空き缶一つ見当たらない。市民から好奇の目を向けられることがないのでその点は好都合だが、殺風景な景色を相手に待ち続けるのもある意味苦痛だ。
##NAME1##は足元の紋章を眺めたり通信機をポケットに仕舞ったりしながら暇を持て余していた。
「…!」
しかし、背後から段々と近付いてくる物音で丸腰の##NAME1##に緊張が走った。足音とは別に、何かを引きずっている音も聞こえる。
ジョナサンでもジャックでもない。彼等は今、離れた位置でじっと突っ立っている筈だから。
「だっ、誰ですか!?」
ただの市民であることを祈って振り向くと、##NAME1##は兎博士に初対面した時と同じく言葉に詰まってしまった。
「何だお嬢ちゃん?」
こちらに向かって歩いてきた者は、まず人ではなかった。
第一印象は恐竜。トカゲにしては大きすぎるし、亀だとしても相当なサイズだ。しかも二足歩行でスーツ姿ときた。どういう仕組みかその上から丸い甲羅を背負っていて、垂れ下がった尻尾は舗装されていない道をずりずりと引きずられている。
「おじさんはその紋章に用があるんだ。ちょいと退いてくれないか」
すっかり面食らってしまったが、喋る人間大の兎が存在するのだ、喋る巨大亀が居てもおかしくない。
「そうなんですか。でも、私も用があるんです」
幸いにも人間の言葉が通じるので、なんとか平静を保ちこの亀との対話に応じる。
「この時間、ここに立っているように頼まれたんです」
「頼まれただと?チッ、他にも狙ってる奴が居るのか?……まさか、いや…」
「?」
巨大な亀男は少し考え込んだ後、胸ポケットから高級そうな財布を取り出した。
「いくらで頼まれた?倍の額を出してやるから、ここはおじさんに譲ってさっさと帰んな」
「いえ、私が先に来たんです。退きません」
この儀式には参加者の信頼度が重要と聞いていた。ここで二人を裏切る訳にはいかない。
「…そうだ!」
何かあれば連絡をと、つい先程ジャックに言われていたことを思い出す。
通信機を取り出し操作しようとしたが、爪の長い緑色の手に容易く奪われてしまう。コードで繋がれたイヤホンも##NAME1##の耳から呆気なく外れていった。
「あっ、ちょっ…」
「悪いことは言わねえ、このまま帰るんだ」
「返してください!それが無いと…」
「お小遣い稼ぎなら余所でやるんだな」
どうやら彼は聞く耳を持ってはくれないようだ。
「貴方、いきなり出てきて何なんですか?それに私お金なんか」
「!…伏せろ!!」
組み伏せてくるのとほぼ同時に亀男はそう叫んだ。そして、一発の銃声が人気のない街中に響き渡った。