プロローグ エジプトに
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ジョナサンは耳を波打たせながらやっとのことで人参の処理を終えた。
「そこまでお嫌いなんですか?」
「仕方ないだろう、苦手なものは苦手なんだ」
一瞬だったが、##NAME1##にはジョナサンの体毛が点滅しているようにも見えた。あれも呪いの一種だろうか。
聞けば、彼はその大嫌いな野菜を摂取すると短時間だが不思議と力が湧いてくるらしい。よって常に数本は持ち歩き、緊急時に備えている。というより、備えさせられている。
「栄養豊富な食材だから仕方なくさ。今回も持たされるだろうな…要らないって言ってるのに」
「そうなんですか。ジャックくんしっかりしてるなあ」
「##NAME1##からも言ってくれないか?もっと効率的な食材があるから、人参はもう必要無いってな」
「代わりになるものがあるんですね、携帯用食品か何かですか?」
「うどんだ。美味いぞ」
「……まだ人参の方が便利じゃないですか?」
食べ物について話しながら二人が部屋に入ると、先に戻っていたジャックは窓の方を向いてどこかに電話をかけていた。相手が出てくれないのか、こちらに気が付くと彼はすぐに受話器を降ろした。
「やっぱりみんな応答無しか?」
「うん。普通の電話でも出てくれない」
「そうか……まさか危険な目に遭ってるのかも」
「彼等ならその点は大丈夫だよ。きっと連絡が取れない程忙しいんだろうね。今回は諦めよう」
自分に関係なさそうな話題に##NAME1##が一歩引いて立ち尽くしていると、ジャックは彼女を輪に入れるべく話しかけた。
「頼りにしてる人物が居るんだけどね、なかなか忙しいみたいで。まあ今のもダメ元でかけてたし。それより、始めようか。ジョナサン電気点けて」
カーテンが閉められると同時に、天井中央にはめ込まれたライトが西日とは違う色で部屋を照らす。
三人で囲んだローテーブルにエジプトの地図が広げられ、いよいよ本題に入る。
「##NAME1##ちゃんにわざわざエジプトまで来てもらったのは他でもない、ある儀式を手伝ってほしいんだ」
「儀式っ…なんだかエジプトっぽい!」
素人によるふわっとした感想に、長いこと遺跡調査に携わってきたジョナサンとジャックは思わず苦笑した。
「僕達が今居るのはカイロのここ。で、行き先はザエイン市の南端」
ジャックはポケットから赤ペンを取り出した。地図上の首都から南に向かって太い線を真っ直ぐ引いていき、一つ大きな丸を描く。
「決行は明日の正午。その時間に間に合うよう、今夜僕等の車で発つからね」
「え?今夜って、今すぐ!?」
「##NAME1##ちゃんには来てもらって早々で悪いんだけれど、あと数時間で出発しないと間に合わないんだ」
彼によると、目的地に到着したらそのまま儀式を始められる時間になる段取りらしい。
「それなら私、もっと早い日の飛行機で来た方が良かったんじゃ…」
友から送られてきた飛行機のチケットは、あらかじめこのギリギリの日時が指定されていたのだ。詳細を知らされていなかった##NAME1##は何の疑いもなく今日の飛行機を使って来ていた。
「別の便の料金くらい私出せるから」
「そんな。こっちがお願いしているのに、##NAME1##ちゃんに交通費を負担させる訳にはいかないよ」
「その分スケジュールがハードで申し訳ない。エジプト観光はこれが終わった後、存分に楽しんでくれ」
「じゃあ、話を戻そう」
ジャックは先程描いた赤い丸の内側に一点の印を付けた。
「明日ザエイン市に着いたら、##NAME1##ちゃん。まず君を指定の場所で降ろすから、一人で立っていてもらいたいんだ」
「立っている?」
「うん。こんな紋章が町中にある筈だから、その上にね」
そう言ってジャックは折り畳まれた白い紙を地図の上に広げた。円の中で正三角形が混じり合った魔法陣のようなものが鉛筆で描かれている。
「ええと、そこに立っているだけ?」
「そうだよ」
「それだけで良いの?」
「うん。簡単だし、安全でしょ?」
「…そうだね」
##NAME1##はほんの少しだけ肩を落とした。
もっとこう、スリルある冒険やロマン溢れる壁画の解読、はたまた泥臭い、遺跡の掘削作業なんてものを期待していたからだ。
「あ!このマークのスイッチに乗って押すってこと!?」
「いや、地面に描かれているらしいよ」
「そう…」
再度肩を落とした。
エジプトならではの立派な儀式と思いたいが、これでは儀式というより誰にでもできるおまじないの類に近い。
「離れた位置にある三つの紋章の上に、それぞれ三人が同時に乗ればオーケーさ。どうやらその儀式では、三人の信頼度が要になるらしい」
「頼んだぞ##NAME1##」
またもや事前に聞かされていない話が飛び出してきた。
「信頼度って…それ、私で平気なの?」
「金で雇う現地の人間よりは、素性の知れた協力者の方が信頼に長ける。だからわざわざ君に来てもらったんだ」
心配する##NAME1##にジョナサンが理由を説明した。隣に座っているジャックも彼の言葉に頷く。
「確かに私はジャックくんの友達ですけれど、しばらく会えてなかったから素性も何も…」
「それを踏まえても、##NAME1##ちゃんは十分信用できる人間ってことだよ」
「…わかった。期待に沿えるよう、頑張るね!」
「そこまでお嫌いなんですか?」
「仕方ないだろう、苦手なものは苦手なんだ」
一瞬だったが、##NAME1##にはジョナサンの体毛が点滅しているようにも見えた。あれも呪いの一種だろうか。
聞けば、彼はその大嫌いな野菜を摂取すると短時間だが不思議と力が湧いてくるらしい。よって常に数本は持ち歩き、緊急時に備えている。というより、備えさせられている。
「栄養豊富な食材だから仕方なくさ。今回も持たされるだろうな…要らないって言ってるのに」
「そうなんですか。ジャックくんしっかりしてるなあ」
「##NAME1##からも言ってくれないか?もっと効率的な食材があるから、人参はもう必要無いってな」
「代わりになるものがあるんですね、携帯用食品か何かですか?」
「うどんだ。美味いぞ」
「……まだ人参の方が便利じゃないですか?」
食べ物について話しながら二人が部屋に入ると、先に戻っていたジャックは窓の方を向いてどこかに電話をかけていた。相手が出てくれないのか、こちらに気が付くと彼はすぐに受話器を降ろした。
「やっぱりみんな応答無しか?」
「うん。普通の電話でも出てくれない」
「そうか……まさか危険な目に遭ってるのかも」
「彼等ならその点は大丈夫だよ。きっと連絡が取れない程忙しいんだろうね。今回は諦めよう」
自分に関係なさそうな話題に##NAME1##が一歩引いて立ち尽くしていると、ジャックは彼女を輪に入れるべく話しかけた。
「頼りにしてる人物が居るんだけどね、なかなか忙しいみたいで。まあ今のもダメ元でかけてたし。それより、始めようか。ジョナサン電気点けて」
カーテンが閉められると同時に、天井中央にはめ込まれたライトが西日とは違う色で部屋を照らす。
三人で囲んだローテーブルにエジプトの地図が広げられ、いよいよ本題に入る。
「##NAME1##ちゃんにわざわざエジプトまで来てもらったのは他でもない、ある儀式を手伝ってほしいんだ」
「儀式っ…なんだかエジプトっぽい!」
素人によるふわっとした感想に、長いこと遺跡調査に携わってきたジョナサンとジャックは思わず苦笑した。
「僕達が今居るのはカイロのここ。で、行き先はザエイン市の南端」
ジャックはポケットから赤ペンを取り出した。地図上の首都から南に向かって太い線を真っ直ぐ引いていき、一つ大きな丸を描く。
「決行は明日の正午。その時間に間に合うよう、今夜僕等の車で発つからね」
「え?今夜って、今すぐ!?」
「##NAME1##ちゃんには来てもらって早々で悪いんだけれど、あと数時間で出発しないと間に合わないんだ」
彼によると、目的地に到着したらそのまま儀式を始められる時間になる段取りらしい。
「それなら私、もっと早い日の飛行機で来た方が良かったんじゃ…」
友から送られてきた飛行機のチケットは、あらかじめこのギリギリの日時が指定されていたのだ。詳細を知らされていなかった##NAME1##は何の疑いもなく今日の飛行機を使って来ていた。
「別の便の料金くらい私出せるから」
「そんな。こっちがお願いしているのに、##NAME1##ちゃんに交通費を負担させる訳にはいかないよ」
「その分スケジュールがハードで申し訳ない。エジプト観光はこれが終わった後、存分に楽しんでくれ」
「じゃあ、話を戻そう」
ジャックは先程描いた赤い丸の内側に一点の印を付けた。
「明日ザエイン市に着いたら、##NAME1##ちゃん。まず君を指定の場所で降ろすから、一人で立っていてもらいたいんだ」
「立っている?」
「うん。こんな紋章が町中にある筈だから、その上にね」
そう言ってジャックは折り畳まれた白い紙を地図の上に広げた。円の中で正三角形が混じり合った魔法陣のようなものが鉛筆で描かれている。
「ええと、そこに立っているだけ?」
「そうだよ」
「それだけで良いの?」
「うん。簡単だし、安全でしょ?」
「…そうだね」
##NAME1##はほんの少しだけ肩を落とした。
もっとこう、スリルある冒険やロマン溢れる壁画の解読、はたまた泥臭い、遺跡の掘削作業なんてものを期待していたからだ。
「あ!このマークのスイッチに乗って押すってこと!?」
「いや、地面に描かれているらしいよ」
「そう…」
再度肩を落とした。
エジプトならではの立派な儀式と思いたいが、これでは儀式というより誰にでもできるおまじないの類に近い。
「離れた位置にある三つの紋章の上に、それぞれ三人が同時に乗ればオーケーさ。どうやらその儀式では、三人の信頼度が要になるらしい」
「頼んだぞ##NAME1##」
またもや事前に聞かされていない話が飛び出してきた。
「信頼度って…それ、私で平気なの?」
「金で雇う現地の人間よりは、素性の知れた協力者の方が信頼に長ける。だからわざわざ君に来てもらったんだ」
心配する##NAME1##にジョナサンが理由を説明した。隣に座っているジャックも彼の言葉に頷く。
「確かに私はジャックくんの友達ですけれど、しばらく会えてなかったから素性も何も…」
「それを踏まえても、##NAME1##ちゃんは十分信用できる人間ってことだよ」
「…わかった。期待に沿えるよう、頑張るね!」