ステージ3 助手席
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ジョナサンのやかましい寝息が背後から届く。滅入るためラジオは切っており、タイヤのジャリジャリと鳴る音が、車が走る振動と共に地味に伝わってくる。
「本当、危険なことに巻き込んじゃってごめんね」
「ジャックくんのせいじゃないよ」
「いや、僕のせいだ。そもそも僕の調べが甘かったから、こんなことになってしまった」
「……ねえ、ジャックくん」
俯いている彼女の手には、とうに空になったコーヒーのプラカップ。それを見つめながら、##NAME1##はおもむろに口を開いた。
「何?」
「なんで今まで連絡取れなかったの?」
「……そこ?」
今直面している出来事に対してではなく、それ以前の疑問をぶつけられたことが意外だった。ハンドルを握る手は乱さないにしても、彼の声はほんの少し上ずった。
「私じゃなくてもさ、他の友達とか…」
今の重い空気を変えたいという目的もあるが、##NAME1##は始めからずっと、あることが気になっていた。
「連絡はこの間したし、実際皆で会ったじゃないか」
「一年前の一度きりじゃない!私が言ってるのは、その前のこと!ずっと音沙汰無かったから、皆も私も心配してたんだよ」
「それは悪かった。ごめんね」
「……仕事って、何なの?」
返事は無い。
「さっきも、よくわからない話してたし…」
エジプトに来てから、彼の何かがおかしいと感じていた。何かが自分とずれていると感じていた。
ジャック・デイビスの発言からはちょくちょく、普通の人間ならば出来ないようなことをやってのけていたり頼まれたりしていた節がある。先程も、国防総省に貸しがあるだとか人の身元情報を捜すだとか、常人からしてみればとんでもない話題ばかりだった。
そもそも、彼は長い間故郷のアメリカを離れて一体何をしていたのか。否、何をしているのか。
「別に、ジャックくんのこと疑ってる訳じゃないの。でも、うまく言えないけど、こんな…引っかかった気持ちのままでいたくない」
もう失敗してしまったが、アメリカから飛んできて早々に説明された儀式では“信頼度が要”と聞かされていた。それは儀式のルール云々以前に、一緒に遺跡調査するメンバー間で必要なことには変わりない。そして、相手から信頼してもらうだけではなく、自分が彼を信じることだって重要である。
「ジャックくんのこと、教えてほしい」
「……」
観念したジャック・デイビスは無表情のまま緩やかにブレーキをかけた。静寂の中、エンジン音だけが嫌に際立つ。
「わかった、話すよ。でも……僕がどうして##NAME1##ちゃんに黙っていたか、聞いたらすぐにわかると思う。それでも聞く?」
こちらを試すような言い方に嫌な予感が拭えないが、今になって意思を覆す気は更々無い。助手席の彼女はしっかりと頷いた。
「本当、危険なことに巻き込んじゃってごめんね」
「ジャックくんのせいじゃないよ」
「いや、僕のせいだ。そもそも僕の調べが甘かったから、こんなことになってしまった」
「……ねえ、ジャックくん」
俯いている彼女の手には、とうに空になったコーヒーのプラカップ。それを見つめながら、##NAME1##はおもむろに口を開いた。
「何?」
「なんで今まで連絡取れなかったの?」
「……そこ?」
今直面している出来事に対してではなく、それ以前の疑問をぶつけられたことが意外だった。ハンドルを握る手は乱さないにしても、彼の声はほんの少し上ずった。
「私じゃなくてもさ、他の友達とか…」
今の重い空気を変えたいという目的もあるが、##NAME1##は始めからずっと、あることが気になっていた。
「連絡はこの間したし、実際皆で会ったじゃないか」
「一年前の一度きりじゃない!私が言ってるのは、その前のこと!ずっと音沙汰無かったから、皆も私も心配してたんだよ」
「それは悪かった。ごめんね」
「……仕事って、何なの?」
返事は無い。
「さっきも、よくわからない話してたし…」
エジプトに来てから、彼の何かがおかしいと感じていた。何かが自分とずれていると感じていた。
ジャック・デイビスの発言からはちょくちょく、普通の人間ならば出来ないようなことをやってのけていたり頼まれたりしていた節がある。先程も、国防総省に貸しがあるだとか人の身元情報を捜すだとか、常人からしてみればとんでもない話題ばかりだった。
そもそも、彼は長い間故郷のアメリカを離れて一体何をしていたのか。否、何をしているのか。
「別に、ジャックくんのこと疑ってる訳じゃないの。でも、うまく言えないけど、こんな…引っかかった気持ちのままでいたくない」
もう失敗してしまったが、アメリカから飛んできて早々に説明された儀式では“信頼度が要”と聞かされていた。それは儀式のルール云々以前に、一緒に遺跡調査するメンバー間で必要なことには変わりない。そして、相手から信頼してもらうだけではなく、自分が彼を信じることだって重要である。
「ジャックくんのこと、教えてほしい」
「……」
観念したジャック・デイビスは無表情のまま緩やかにブレーキをかけた。静寂の中、エンジン音だけが嫌に際立つ。
「わかった、話すよ。でも……僕がどうして##NAME1##ちゃんに黙っていたか、聞いたらすぐにわかると思う。それでも聞く?」
こちらを試すような言い方に嫌な予感が拭えないが、今になって意思を覆す気は更々無い。助手席の彼女はしっかりと頷いた。