ステージ2 スチュワートホテル
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「お帰りなさい…マホーン博士」
「ただいま戻りました」
まだどこか神妙な様子で挨拶する##NAME1##に対し、黒いスーツに身を包んだ彼は彼女の緊張を解くべく目を細め優しく答えた。
「まだあるって、まさか新しい情報が手に入ったのか!?」
「ああ。遺跡の外観と、最初の関門について少々」
帰ってきたばかりのマホーン博士はジャケットの裏から数枚の写真を取り出し、地図の上に広げた。皆はそれらを手に取り、まじまじと見つめる。
「見た感じ、何の変哲もないピラミッドだな」
「そうだね」
「え?」
ジョナサンの何気ない呟きに、この部屋に居る者の中で一人だけが違和感を抱いた。
「どうしたの?##NAME1##ちゃん」
「このピラミッド、上から見ても三角形なのが気になって…」
##NAME1##が手にしている写真は、遺跡の地上部分をほぼ真上から撮影した一枚だった。
「ああ、たしかに。オーソドックスなものは角が四つあるよね。テレビでよく見るピラミッドはだいたいそのタイプだと思う。実際には、三角錐の他にも色んな形をしたピラミッドが存在しているんだよ」
「へぇー」
ジャックの軽い解説が済んだところで、マホーン博士は全員に説明し始めた。
「我々が目指している遺跡はカイエワン遺跡と言います。入口は三辺それぞれの中心に一カ所ずつありますが、宝に辿り着ける正解はその内の一つだけ。そして入口が正解でも不正解でも、中に入る際は扉を開放しておく必要がある」
「扉を…?」
「トラップか?」
アンドレの質問に彼は無言で頷く。
「以前調査した者の話によると、仕掛けから手を離した途端扉が閉ざされ、中から悲鳴が聞こえたそうだ。慌てて扉を開けたが、中に入っていた仲間は一人残らず姿を消してしまっていた。よって、誰がが必ず外に残り、扉を開いておく必要がある…と」
「危険じゃないか!」
「その事件以来、関係者はこの遺跡に寄りつかなくなったらしい。だが入ったらすぐ、ほんの数メートル先に宝があるとも聞いた」
ジョナサンは持っていた写真を地図の上に放り、人間時よりもやや短くなってしまった腕をキュッと組んだ。
「おかしな遺跡だな、大事な宝を玄関先に置いておくなんて。わざわざトラップを仕掛ける必要があるなら、最初から奥に仕舞っておけば良いじゃないか」
彼に続き、話を大人しく聞いていた##NAME1##とジャックも新情報に疑問を呈する。
「そこまで詳しくご存知なら、その教えてくれた方がとっくのとうに宝を手に入れているんじゃないですか?」
「まだ話を聞いただけだけど、僕もいろいろと引っかかる。マホーン博士、その情報は確かなんですか?」
「ああ。例の武装集団に聞いてきたから間違いないだろう」
「えっ!?」
「直接!?」
目を見開く三人のことはさして気にかけず、輪の中心の男は話を進める。
「彼らは仲間意識が低く統率が執れていないのか、簡単に情報を渡してくれた。ちなみに根城はこの地図だと、この辺りです」
「それは、その…ご苦労だったな…」
「よ、よくご無事で…」
彼には傷ひとつ無く、スーツや靴もまるで下ろし立てのような状態だ。平穏とは程遠い者達のアジトへ単身乗り込んできた身なりとは思えない。
「デタラメ吹き込まれたんじゃないんだろうな?」
一同が驚愕する中、アンドレは単刀直入に彼へ意見をぶつけた。
「この写真だって本物かどうか怪しい。それに、ここに来るまでにつけられた可能性は?」
「それは有り得ない。今も動きを封じているし、嘘をつく余裕も無いくらい……この話は今は止めておきましょう」
「?」
一般人の##NAME1##の顔色をうかがいながら、マホーンは取って付けたような笑顔を浮かべ口をつぐんだ。
「ん?待てよ……そうだ、そもそもあんたはずっと生きてきたじゃないか。宝や遺跡について元々知っていることは何か無いのか?」
「残念ながら。エジプトを離れている時期があったから、恐らくその間にこの遺跡は建設されたのだろう」
「だから俺達もお前達みたいに回りくどい儀式を試したり、あれこれ調べ回ってたって訳だ。ようやく場所を掴んだし、こうして少しだけ予習も出来た。問題はその攻略が簡単そうで難しい遺跡に、誰が入るかだな…」
この話題を待ってましたと言わんばかりに、ジョナサン・バンフィールドは己の瞳を輝かせる。
「面白くなってきた。この感じ、久々だ!」
「君は相変わらず血の気が盛んだね」
中腹で折れて垂れている耳も、心なしか先程より起き上がっているように見える。
「お前が行くとはまだ決まってないだろう、ジョナサン」
「ノロマな亀こそ、外で待ってて良いんだぜ?」
「あの」
またもや言い争いが始まりそうなところで、今度は##NAME1##が口を挟んだ。
「私は入口で待っています。確か、扉を開けたままにしておく必要があるんですよね?私はお力添えできればそれで十分なので、肝心の遺跡調査は皆さんにお任せします。それに私、運動神経にあまり自信無いし…」
「いや、##NAME1##ちゃんは遺跡に入った方が良い」
彼女自身の意見が妥当だろうと頷いていた二匹は同時に振り向き声を上げた。
「ジャック!?」
「嬢ちゃんを危険にさらす気か!?」
「二人とも忘れたの?アンドレを撃った奴が逃げたこと」
「忘れてないけど、そいつが何だよ?」
「そいつがもし仲間と合流して僕達のことを知らせたら、例の集団は本腰を入れて動き出すに違いない。歴史的建造物保全を名目に、僕達相手に暴れるチャンスだからね。遺跡の外で待つ係は第一に襲撃を受けるかもしれないんだよ」
「無数の銃弾に狙われるよりは、奴らが寄りつかない遺跡の中に身を隠す方がマシじゃな」
「そ、そうなんですか…」
青ざめていく##NAME1##の肩に手を軽く置き、ジャックは至極穏やかに話しかける。
「これが君にとって、一番安全な方法なんだ。遺跡の中だって危険かもしれないけれど、いざとなったらジョナサンを身代わりにしたら良い」
「ジャック、俺に辛辣すぎやしないか…?」
「身代わりどうこう以前に、嬢ちゃんだけさっさと帰国させたら良いだろ」
「それも難しい。アンドレはどうでも良いけど、##NAME1##ちゃんの顔があの集団に割れている可能性は高い」
「俺はどうでも良いって…」
「君は命の心配をしなくても構わないってことだよ。でも##NAME1##ちゃんは違う。安全が確保できるまではなるべく一人で行動しない方が良いね」
「そ、そうなの…?」
「考えすぎじゃないか?」
「君らが思っているよりも、事態は深刻なんだよ」
その後の話し合いで、遺跡内の調査はジョナサンとアンドレ、遺跡の中で待機する組は##NAME1##とマホーン博士、遺跡の外で扉を開いておく係はジャックとデントに決まった。
「ただいま戻りました」
まだどこか神妙な様子で挨拶する##NAME1##に対し、黒いスーツに身を包んだ彼は彼女の緊張を解くべく目を細め優しく答えた。
「まだあるって、まさか新しい情報が手に入ったのか!?」
「ああ。遺跡の外観と、最初の関門について少々」
帰ってきたばかりのマホーン博士はジャケットの裏から数枚の写真を取り出し、地図の上に広げた。皆はそれらを手に取り、まじまじと見つめる。
「見た感じ、何の変哲もないピラミッドだな」
「そうだね」
「え?」
ジョナサンの何気ない呟きに、この部屋に居る者の中で一人だけが違和感を抱いた。
「どうしたの?##NAME1##ちゃん」
「このピラミッド、上から見ても三角形なのが気になって…」
##NAME1##が手にしている写真は、遺跡の地上部分をほぼ真上から撮影した一枚だった。
「ああ、たしかに。オーソドックスなものは角が四つあるよね。テレビでよく見るピラミッドはだいたいそのタイプだと思う。実際には、三角錐の他にも色んな形をしたピラミッドが存在しているんだよ」
「へぇー」
ジャックの軽い解説が済んだところで、マホーン博士は全員に説明し始めた。
「我々が目指している遺跡はカイエワン遺跡と言います。入口は三辺それぞれの中心に一カ所ずつありますが、宝に辿り着ける正解はその内の一つだけ。そして入口が正解でも不正解でも、中に入る際は扉を開放しておく必要がある」
「扉を…?」
「トラップか?」
アンドレの質問に彼は無言で頷く。
「以前調査した者の話によると、仕掛けから手を離した途端扉が閉ざされ、中から悲鳴が聞こえたそうだ。慌てて扉を開けたが、中に入っていた仲間は一人残らず姿を消してしまっていた。よって、誰がが必ず外に残り、扉を開いておく必要がある…と」
「危険じゃないか!」
「その事件以来、関係者はこの遺跡に寄りつかなくなったらしい。だが入ったらすぐ、ほんの数メートル先に宝があるとも聞いた」
ジョナサンは持っていた写真を地図の上に放り、人間時よりもやや短くなってしまった腕をキュッと組んだ。
「おかしな遺跡だな、大事な宝を玄関先に置いておくなんて。わざわざトラップを仕掛ける必要があるなら、最初から奥に仕舞っておけば良いじゃないか」
彼に続き、話を大人しく聞いていた##NAME1##とジャックも新情報に疑問を呈する。
「そこまで詳しくご存知なら、その教えてくれた方がとっくのとうに宝を手に入れているんじゃないですか?」
「まだ話を聞いただけだけど、僕もいろいろと引っかかる。マホーン博士、その情報は確かなんですか?」
「ああ。例の武装集団に聞いてきたから間違いないだろう」
「えっ!?」
「直接!?」
目を見開く三人のことはさして気にかけず、輪の中心の男は話を進める。
「彼らは仲間意識が低く統率が執れていないのか、簡単に情報を渡してくれた。ちなみに根城はこの地図だと、この辺りです」
「それは、その…ご苦労だったな…」
「よ、よくご無事で…」
彼には傷ひとつ無く、スーツや靴もまるで下ろし立てのような状態だ。平穏とは程遠い者達のアジトへ単身乗り込んできた身なりとは思えない。
「デタラメ吹き込まれたんじゃないんだろうな?」
一同が驚愕する中、アンドレは単刀直入に彼へ意見をぶつけた。
「この写真だって本物かどうか怪しい。それに、ここに来るまでにつけられた可能性は?」
「それは有り得ない。今も動きを封じているし、嘘をつく余裕も無いくらい……この話は今は止めておきましょう」
「?」
一般人の##NAME1##の顔色をうかがいながら、マホーンは取って付けたような笑顔を浮かべ口をつぐんだ。
「ん?待てよ……そうだ、そもそもあんたはずっと生きてきたじゃないか。宝や遺跡について元々知っていることは何か無いのか?」
「残念ながら。エジプトを離れている時期があったから、恐らくその間にこの遺跡は建設されたのだろう」
「だから俺達もお前達みたいに回りくどい儀式を試したり、あれこれ調べ回ってたって訳だ。ようやく場所を掴んだし、こうして少しだけ予習も出来た。問題はその攻略が簡単そうで難しい遺跡に、誰が入るかだな…」
この話題を待ってましたと言わんばかりに、ジョナサン・バンフィールドは己の瞳を輝かせる。
「面白くなってきた。この感じ、久々だ!」
「君は相変わらず血の気が盛んだね」
中腹で折れて垂れている耳も、心なしか先程より起き上がっているように見える。
「お前が行くとはまだ決まってないだろう、ジョナサン」
「ノロマな亀こそ、外で待ってて良いんだぜ?」
「あの」
またもや言い争いが始まりそうなところで、今度は##NAME1##が口を挟んだ。
「私は入口で待っています。確か、扉を開けたままにしておく必要があるんですよね?私はお力添えできればそれで十分なので、肝心の遺跡調査は皆さんにお任せします。それに私、運動神経にあまり自信無いし…」
「いや、##NAME1##ちゃんは遺跡に入った方が良い」
彼女自身の意見が妥当だろうと頷いていた二匹は同時に振り向き声を上げた。
「ジャック!?」
「嬢ちゃんを危険にさらす気か!?」
「二人とも忘れたの?アンドレを撃った奴が逃げたこと」
「忘れてないけど、そいつが何だよ?」
「そいつがもし仲間と合流して僕達のことを知らせたら、例の集団は本腰を入れて動き出すに違いない。歴史的建造物保全を名目に、僕達相手に暴れるチャンスだからね。遺跡の外で待つ係は第一に襲撃を受けるかもしれないんだよ」
「無数の銃弾に狙われるよりは、奴らが寄りつかない遺跡の中に身を隠す方がマシじゃな」
「そ、そうなんですか…」
青ざめていく##NAME1##の肩に手を軽く置き、ジャックは至極穏やかに話しかける。
「これが君にとって、一番安全な方法なんだ。遺跡の中だって危険かもしれないけれど、いざとなったらジョナサンを身代わりにしたら良い」
「ジャック、俺に辛辣すぎやしないか…?」
「身代わりどうこう以前に、嬢ちゃんだけさっさと帰国させたら良いだろ」
「それも難しい。アンドレはどうでも良いけど、##NAME1##ちゃんの顔があの集団に割れている可能性は高い」
「俺はどうでも良いって…」
「君は命の心配をしなくても構わないってことだよ。でも##NAME1##ちゃんは違う。安全が確保できるまではなるべく一人で行動しない方が良いね」
「そ、そうなの…?」
「考えすぎじゃないか?」
「君らが思っているよりも、事態は深刻なんだよ」
その後の話し合いで、遺跡内の調査はジョナサンとアンドレ、遺跡の中で待機する組は##NAME1##とマホーン博士、遺跡の外で扉を開いておく係はジャックとデントに決まった。