ステージ2 スチュワートホテル
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「ところでお主ら、宝について実際何処まで知っておる?」
マホーン博士が戻ってくるまでの間は情報共有の時間。ジャックが持っているものとはまた違う地図をローテーブルに広げながら、デントは今後の段取りを決めるべく三人に尋ねた。
「俺にかけられた呪いが解けるんだろ?」
「ジョナサンが元の、人間の姿に戻れるんですよね?」
「半分当たりじゃ」
「半分?」
ジョナサンはその言葉の意味が分からず、片方の垂れ耳が小さくピクッと反応した。
「正確には“一つのものを二つに分離する力”を、その宝は秘めておるのじゃ」
「二つに……なるほど。この体を兎と人間に分けられるのか」
「亀と人間にもな」
皆が囲むテーブルから一人離れていたアンドレは、代表を名乗り出るように腰を上げジョナサンの真向かいに立った。
「アンドレ、まだお前が使えるとは決まってない」
何か言いたげな亀に対し、兎の方もあくまで強気に出る。
「それはこっちのセリフだ。こんな事態だからお前達を邪魔していないだけで、宝を譲るとまで言った覚えは無い」
「何だと?」
「二人とも。宝が手元に無い内から喧嘩するのは勝手だけど、するなら外でしてきて。僕達巻き込まれるのはゴメンだからね」
互いにテーブルを乗り越えようとしていた珍獣二匹はジャックによるお叱りを受け、あっさり閉口してしまった。
「博士、おじ様。ジャックくんの言う通りですよ」
「##NAME1##、お前まで俺達に外で喧嘩して来いって言うのか…?」
「案外冷たいんだな」
「違います、穏便にいきましょうってことですよ!」
ついさっきまで一触即発な兎と亀だったというのに、今や息ぴったりでこちらをからかってきた。違うと言っているのに「へー」やら「どうだか」やら、まだしつこく続けてくる。
何かと火花を散らしがちな二人だが、本当のところ仲が良いのではないだろうか。
「すまんすまん」
「からかいすぎた」
空気がかなり和んだので構わないが、何だか損な役回りをさせられた気分だ。
「話を戻すよ。デントさん、その宝は昨日僕達が実行しようとしていた儀式によって、何らかの形で現れる筈だったんですよね?」
「その通り。じゃが、残念ながら儀式が次に効力を発揮するのは千年後。そもそもあれはオススメの方法ではなかった」
「え?」
「オススメじゃない…?」
「どういうことですか?」
頭上にはてなを浮かべる三人に、老人は一呼吸置いてから質問に答え始める。
「どうも例の集団は宝を守るため、密かにトレジャーハンター狩りを始めたらしい」
「トレジャーハンター狩り…!?」
「あの廃村、他にも何人かスナイパーが待ち伏せしていたようでの。お宝目当ての人間もとい的が現れ、じっとしているところをズドン!…という訳じゃ」
「あ、危なかったんだな、俺達…」
「え、ええ…」
「言ったじゃろ、“儀式自体は”安全だと」
デント達が居なければ、あの時点で三人とも呆気なく命を落としていた可能性もあった。今更ながら身の危険を実感する。
「それでデントさん、これから僕達はどうすれば良いでしょうか?」
「何か手はあるのか?俺は千年なんて待っていられないぞ」
宝を出現させる儀式には失敗し、ジョナサン達三人が持っている情報は尽きてしまった。打つ手が全く無い状態だ。
「心配するな、うさ公。明日遺跡に直接行くぞい」
「遺跡なんてあるんですか!?どの文献にも載ってなかったのに!」
まるで子供をピクニックにでも誘う父親の如く気楽な発言に、ジャックが一番の驚きを見せた。
「言っておらんかったかの?あの儀式は、遺跡内に安置されている宝を安全且つ簡単に持ち出す方法だったんじゃよ。どの資料にも記録は残っていないが、昨日捕まえた奴は遺跡の座標を知っておった」
「逃げられる前に聞き出しておいて良かったな」
「ということは、例の武装集団は遺跡について他にも何か知っているんですか?」
「そう考えて間違いないじゃろう」
「少なくとも、今の俺達よりは詳しいだろうな。そのピラミッド保全団体御一行様は」
アンドレはグラスに入ったトマトジュースを一気にあおった。空になったグラスをテーブルに残し、話は終わりだとでも言うように元居たカウチへ腰を下ろす。
「儂らが掴んでいる手掛かりはここまでじゃ。とにかく明日、現場に行ってみるしかないのぅ」
「そうですね」
「いや、まだある」
至ってシンプルな結論が出たところで、しばし席を外していた男性が輪の中へ戻ってきた。
マホーン博士が戻ってくるまでの間は情報共有の時間。ジャックが持っているものとはまた違う地図をローテーブルに広げながら、デントは今後の段取りを決めるべく三人に尋ねた。
「俺にかけられた呪いが解けるんだろ?」
「ジョナサンが元の、人間の姿に戻れるんですよね?」
「半分当たりじゃ」
「半分?」
ジョナサンはその言葉の意味が分からず、片方の垂れ耳が小さくピクッと反応した。
「正確には“一つのものを二つに分離する力”を、その宝は秘めておるのじゃ」
「二つに……なるほど。この体を兎と人間に分けられるのか」
「亀と人間にもな」
皆が囲むテーブルから一人離れていたアンドレは、代表を名乗り出るように腰を上げジョナサンの真向かいに立った。
「アンドレ、まだお前が使えるとは決まってない」
何か言いたげな亀に対し、兎の方もあくまで強気に出る。
「それはこっちのセリフだ。こんな事態だからお前達を邪魔していないだけで、宝を譲るとまで言った覚えは無い」
「何だと?」
「二人とも。宝が手元に無い内から喧嘩するのは勝手だけど、するなら外でしてきて。僕達巻き込まれるのはゴメンだからね」
互いにテーブルを乗り越えようとしていた珍獣二匹はジャックによるお叱りを受け、あっさり閉口してしまった。
「博士、おじ様。ジャックくんの言う通りですよ」
「##NAME1##、お前まで俺達に外で喧嘩して来いって言うのか…?」
「案外冷たいんだな」
「違います、穏便にいきましょうってことですよ!」
ついさっきまで一触即発な兎と亀だったというのに、今や息ぴったりでこちらをからかってきた。違うと言っているのに「へー」やら「どうだか」やら、まだしつこく続けてくる。
何かと火花を散らしがちな二人だが、本当のところ仲が良いのではないだろうか。
「すまんすまん」
「からかいすぎた」
空気がかなり和んだので構わないが、何だか損な役回りをさせられた気分だ。
「話を戻すよ。デントさん、その宝は昨日僕達が実行しようとしていた儀式によって、何らかの形で現れる筈だったんですよね?」
「その通り。じゃが、残念ながら儀式が次に効力を発揮するのは千年後。そもそもあれはオススメの方法ではなかった」
「え?」
「オススメじゃない…?」
「どういうことですか?」
頭上にはてなを浮かべる三人に、老人は一呼吸置いてから質問に答え始める。
「どうも例の集団は宝を守るため、密かにトレジャーハンター狩りを始めたらしい」
「トレジャーハンター狩り…!?」
「あの廃村、他にも何人かスナイパーが待ち伏せしていたようでの。お宝目当ての人間もとい的が現れ、じっとしているところをズドン!…という訳じゃ」
「あ、危なかったんだな、俺達…」
「え、ええ…」
「言ったじゃろ、“儀式自体は”安全だと」
デント達が居なければ、あの時点で三人とも呆気なく命を落としていた可能性もあった。今更ながら身の危険を実感する。
「それでデントさん、これから僕達はどうすれば良いでしょうか?」
「何か手はあるのか?俺は千年なんて待っていられないぞ」
宝を出現させる儀式には失敗し、ジョナサン達三人が持っている情報は尽きてしまった。打つ手が全く無い状態だ。
「心配するな、うさ公。明日遺跡に直接行くぞい」
「遺跡なんてあるんですか!?どの文献にも載ってなかったのに!」
まるで子供をピクニックにでも誘う父親の如く気楽な発言に、ジャックが一番の驚きを見せた。
「言っておらんかったかの?あの儀式は、遺跡内に安置されている宝を安全且つ簡単に持ち出す方法だったんじゃよ。どの資料にも記録は残っていないが、昨日捕まえた奴は遺跡の座標を知っておった」
「逃げられる前に聞き出しておいて良かったな」
「ということは、例の武装集団は遺跡について他にも何か知っているんですか?」
「そう考えて間違いないじゃろう」
「少なくとも、今の俺達よりは詳しいだろうな。そのピラミッド保全団体御一行様は」
アンドレはグラスに入ったトマトジュースを一気にあおった。空になったグラスをテーブルに残し、話は終わりだとでも言うように元居たカウチへ腰を下ろす。
「儂らが掴んでいる手掛かりはここまでじゃ。とにかく明日、現場に行ってみるしかないのぅ」
「そうですね」
「いや、まだある」
至ってシンプルな結論が出たところで、しばし席を外していた男性が輪の中へ戻ってきた。