「ちなみにこいつも不老不死じゃぞ」
「！？」

真横で勢い良く振り向かれたアンドレは決まりが悪そうに顔を背け、ソファの端に肘を突いた。

「ああ、そう言えばそうだったね。アンドレは一年前死にかけ…実際ちょっと死んでたけど、聖杯の力で永遠の命を得て生き返ったんだよ」
「チッ、余計な説明どうも、天然メガネ」
「だから天然もメガネもやめてよ！」

銃で撃たれた怪我が信じられないスピードで完治したのも、これで合点がいく。

「不老不死と言ってもあれから一年しか経っていないから、まだ実感は無いがな」
「何を言う、かめ公。##NAME1##の代わりに受けた銃弾、本来ならばあれは致命傷じゃぞ。お主だからこそ、今でもピンピンしておるのじゃ」
「ああ…たしかに、痛みもすぐ消えたな」
「……」

万年以上生きる運命を背負った亀は斜め上からの視線に気付き、腰を掛けたまま##NAME1##を見上げる。

「そんな顔をするな。別に悪いことばかりじゃない。死の危険を伴う遺跡探索なんか、俺やマホーンだとかなり楽にこなせる。便利なものだ。この最上級の部屋だって、俺が無茶して稼いだ金で泊まっているんだぞ」
「でも……そうだとしても、ご自分の体を大事になさってくださいよ」
「憂いてくれるのは有り難いが、相手が間違ってるんじゃないのか？どうせなら、世界から切り離されていない奴を構え」
「！」

自分の発言を引用されてしまえば何も言い返せない。亀本人は割り切った態度を一貫しているが、どうしても無理に強がっているように見えてしまう。寂しさを一生懸命隠していると思えてしまう。

「…そんなの……」

それとも、私がただ勝手に同情したいだけなのだろうか。

「…悪かったよ。言い過ぎた」

当人達に自覚は無いが、また二人の世界に入ってしまっている。

「フフ。##NAME1##ちゃん、すっかりアンドレに懐いてるね」
「く、くそ…イリーガルディガーの癖に良いカッコしやがって…」
「あれ？ジョナサン、ヤキモチかい？」
「そんなんじゃないけど、俺が先に会ったんだぞ！何だよこの差は！？」

ジョナサンは同じ部屋に居る##NAME1##に一切構わず、大声で不平を訴える。

「やめろ。嬢ちゃんが困っているだろ」
「しつこい男は嫌われるぞい」
「うるさいっ、俺はこいつと何が違うってんだよ！？」
「差は明白だよ、ジョナサン…」