ステージ1 ザエイン市
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「あっそうだ、大変なんです!この人さっき撃たれてしまって…」
「平気だ、このくらい」
亀男は傷口からにじみ出す血を隠そうともしない。
「放っときゃ治るじゃろ」
「…はい?」
「ご心配なく。彼は人一倍丈夫なんです」
「それより博士、じいさん。そっちは何か変わったことはあったか?」
妙なことに、彼と彼の仲間は何食わぬ顔で別の話を始めてしまった。自分を庇って撃たれた亀人間は重傷な筈。だがその額に汗は一滴たりとも浮かんでおらず、痩せ我慢しているようにも見えない。
「##NAME1##、無事かー!?」
「応答して##NAME1##ちゃん!」
そこへ、##NAME1##の身を案じて持ち場を放棄したジョナサンとジャックが大慌てで走ってきた。
「居たぞ!あそこだ…あ?」
「銃声が聞こえたけど大丈…え?」
第一声こそ##NAME1##に向けられていたが、二人は腐れ縁の男が視界に入った途端足を止め目を丸くした。
「ア、アンドレ!?」
「やはり来ていたか。久しぶりだな、ジョナサン!それにジャック!」
対峙した珍獣同士は互いをよく知っている口振りで話し始める。
「そっちの三人目はお前だったのか!お前達も宝を狙っているのか?」
「その通り。超人三人でタッグを組んだってとこさ、貴様等には内緒でな」
「なるほど。ちっとも連絡がつかない訳だ」
ジャックは顎に手を持っていき、一人納得したように呟いた。
「ジョナサン、貴様に宝は渡さんぞ。呪いを解くのはこの俺だ」
「相変わらずのイリーガルディガーだな。いや、その二人と協力してるってことは、もう悪党を止めたのか?」
「さあな。まあ少なくとも、今回は泥棒することになりそうだ」
「##NAME1##ちゃん、とりあえずこっちに…」
すっかり話に置いていかれている##NAME1##にジャックが小声で手招きする。
友に呼ばれて立ち上がろうとしたが、##NAME1##は再度地べたに腰を下ろしてしまった。
「…おじ様?」
肩を爬虫類の手で上から押さえ付けられたからだ。そしてあろう事か、亀はもう片方の手で銃を懐から取り出し兎とその相棒へ向けた。
「!?」
「ジョナサン、それにジャック。一応確認するが…」
アンドレは黄色く鋭い双眼を二人から一切逸らさずに続ける。
「この嬢ちゃんに何か弱みでも握られたか?それとも、単に邪魔になったのか?」
「はあ?」
「指定の場所に立たせておいてあんなことをするとは、回りくどい処分方法だな」
「処分?アンドレ、さっきから君は何を言っているんだい?」
ジョナサンもジャックも銃口を向けられる理由が全く分からない。
「狙撃されたんだよ。俺とこの子がな」
「何!?」
「狙撃!?じゃあさっきの銃声は…」
「そう、コレだ」
アンドレは赤黒く染まった自分の腹を指さした。
「うわ、痛そう」
「なんだ。##NAME1##ちゃんに当たってなくて良かった」
老人や青年と同じく、ジョナサンとジャックもアンドレの怪我に対する反応が異様に薄い。が、##NAME1##はそんなことを気にするどころではなかった。
「私を処分って、ち、違うよね…?」
「まさか!##NAME1##にそんな事する訳無いだろ!」
ジョナサンはふさふさな白い毛で包まれた両手をぎゅっと握り締め断言した。
「アンドレ、そこの##NAME1##ちゃんは僕達の協力者だ。彼女以外の人間にこの場所のことは知らせていないし、ましてやスナイパーなんて雇っていない。ジョナサンも僕も、さっきまで紋章の上でただ立っていただけだ。デントさんとマホーン博士が証人さ」
「確かにうさ公は紋章の上に居たぞい。銃声が聞こえた時にのう」
「デイビス氏も、特に誰かと連絡を取ったり合図を出している素振りは見られなかった。二人にはアリバイがある」
亀は仲間からの証言にも一切態度を変えず、新たな疑念をジョナサン達にぶつける。
「前もって計画していたという可能性は?それに、何故四人揃ってではなくバラバラになってここへ来た?」
「単に儂等の足が速かっただけじゃ。かめ公、この儀式には信頼関係が重要だという情報くらい、うさ公達も掴んでおるじゃろう」
「そもそも、バンフィールド博士とデイビス氏がそんな非情な人間とは思えない。貴方もよく知っている筈だ」
「……」
その一言でアンドレは急に押し黙った。
「なら一体誰があのスナイパーを…とにかく、さっきの罠はお前等じゃないってことで良いんだな?」
「勿論だ。彼女は大切な……ジャックの友達だ」
ジョナサンは丁度良い言い回しが思いつかず、無難に彼女の肩書きを紹介するだけに終わった。
「悪かったよ。そもそもお前はこんな、知恵が働くような奴じゃないしな」
「この亀っ素直に謝れよ!」
「まあまあジョナサン」
アンドレはようやく納得し、構えていた銃を降ろした。
「もう行って良いぞ」
彼はこちらに目線を落とさずに告げた。
「……」
ひょっとして、この亀はただ相手を疑っていただけではなく、会ったばかりの人間の安全まで確認してくれていたのだろうか。
「…どうした?」
解放してもなかなか立ち上がろうとしない##NAME1##を不思議に思い、アンドレは斜め下に顔を向けた。
「ありがとうございます」
「別に礼を言われるようなことはしていない」
即座にそっぽを向かれ、冷たく言い捨てられてしまう。
「……」
そんな様子を、黒髪の青年は静かに見張っていた。
「平気だ、このくらい」
亀男は傷口からにじみ出す血を隠そうともしない。
「放っときゃ治るじゃろ」
「…はい?」
「ご心配なく。彼は人一倍丈夫なんです」
「それより博士、じいさん。そっちは何か変わったことはあったか?」
妙なことに、彼と彼の仲間は何食わぬ顔で別の話を始めてしまった。自分を庇って撃たれた亀人間は重傷な筈。だがその額に汗は一滴たりとも浮かんでおらず、痩せ我慢しているようにも見えない。
「##NAME1##、無事かー!?」
「応答して##NAME1##ちゃん!」
そこへ、##NAME1##の身を案じて持ち場を放棄したジョナサンとジャックが大慌てで走ってきた。
「居たぞ!あそこだ…あ?」
「銃声が聞こえたけど大丈…え?」
第一声こそ##NAME1##に向けられていたが、二人は腐れ縁の男が視界に入った途端足を止め目を丸くした。
「ア、アンドレ!?」
「やはり来ていたか。久しぶりだな、ジョナサン!それにジャック!」
対峙した珍獣同士は互いをよく知っている口振りで話し始める。
「そっちの三人目はお前だったのか!お前達も宝を狙っているのか?」
「その通り。超人三人でタッグを組んだってとこさ、貴様等には内緒でな」
「なるほど。ちっとも連絡がつかない訳だ」
ジャックは顎に手を持っていき、一人納得したように呟いた。
「ジョナサン、貴様に宝は渡さんぞ。呪いを解くのはこの俺だ」
「相変わらずのイリーガルディガーだな。いや、その二人と協力してるってことは、もう悪党を止めたのか?」
「さあな。まあ少なくとも、今回は泥棒することになりそうだ」
「##NAME1##ちゃん、とりあえずこっちに…」
すっかり話に置いていかれている##NAME1##にジャックが小声で手招きする。
友に呼ばれて立ち上がろうとしたが、##NAME1##は再度地べたに腰を下ろしてしまった。
「…おじ様?」
肩を爬虫類の手で上から押さえ付けられたからだ。そしてあろう事か、亀はもう片方の手で銃を懐から取り出し兎とその相棒へ向けた。
「!?」
「ジョナサン、それにジャック。一応確認するが…」
アンドレは黄色く鋭い双眼を二人から一切逸らさずに続ける。
「この嬢ちゃんに何か弱みでも握られたか?それとも、単に邪魔になったのか?」
「はあ?」
「指定の場所に立たせておいてあんなことをするとは、回りくどい処分方法だな」
「処分?アンドレ、さっきから君は何を言っているんだい?」
ジョナサンもジャックも銃口を向けられる理由が全く分からない。
「狙撃されたんだよ。俺とこの子がな」
「何!?」
「狙撃!?じゃあさっきの銃声は…」
「そう、コレだ」
アンドレは赤黒く染まった自分の腹を指さした。
「うわ、痛そう」
「なんだ。##NAME1##ちゃんに当たってなくて良かった」
老人や青年と同じく、ジョナサンとジャックもアンドレの怪我に対する反応が異様に薄い。が、##NAME1##はそんなことを気にするどころではなかった。
「私を処分って、ち、違うよね…?」
「まさか!##NAME1##にそんな事する訳無いだろ!」
ジョナサンはふさふさな白い毛で包まれた両手をぎゅっと握り締め断言した。
「アンドレ、そこの##NAME1##ちゃんは僕達の協力者だ。彼女以外の人間にこの場所のことは知らせていないし、ましてやスナイパーなんて雇っていない。ジョナサンも僕も、さっきまで紋章の上でただ立っていただけだ。デントさんとマホーン博士が証人さ」
「確かにうさ公は紋章の上に居たぞい。銃声が聞こえた時にのう」
「デイビス氏も、特に誰かと連絡を取ったり合図を出している素振りは見られなかった。二人にはアリバイがある」
亀は仲間からの証言にも一切態度を変えず、新たな疑念をジョナサン達にぶつける。
「前もって計画していたという可能性は?それに、何故四人揃ってではなくバラバラになってここへ来た?」
「単に儂等の足が速かっただけじゃ。かめ公、この儀式には信頼関係が重要だという情報くらい、うさ公達も掴んでおるじゃろう」
「そもそも、バンフィールド博士とデイビス氏がそんな非情な人間とは思えない。貴方もよく知っている筈だ」
「……」
その一言でアンドレは急に押し黙った。
「なら一体誰があのスナイパーを…とにかく、さっきの罠はお前等じゃないってことで良いんだな?」
「勿論だ。彼女は大切な……ジャックの友達だ」
ジョナサンは丁度良い言い回しが思いつかず、無難に彼女の肩書きを紹介するだけに終わった。
「悪かったよ。そもそもお前はこんな、知恵が働くような奴じゃないしな」
「この亀っ素直に謝れよ!」
「まあまあジョナサン」
アンドレはようやく納得し、構えていた銃を降ろした。
「もう行って良いぞ」
彼はこちらに目線を落とさずに告げた。
「……」
ひょっとして、この亀はただ相手を疑っていただけではなく、会ったばかりの人間の安全まで確認してくれていたのだろうか。
「…どうした?」
解放してもなかなか立ち上がろうとしない##NAME1##を不思議に思い、アンドレは斜め下に顔を向けた。
「ありがとうございます」
「別に礼を言われるようなことはしていない」
即座にそっぽを向かれ、冷たく言い捨てられてしまう。
「……」
そんな様子を、黒髪の青年は静かに見張っていた。