今日という日は、牟田は貴重な体験の連続であった。

遊園地に訪れるというだけでも非日常だが、渋谷時空災害の被災者である面々と鉢合わせ。更には売店前でくつろいでいたらゾロゾロと地元警察官が入園して行き、その数分後容疑者らしき男性が連行されていく現場を目撃する。

その傍らで、顔本は非番の泉海巡査長による質問責めに追われていた。

「もーっ、洗いざらい吐いたよぉ～！牟田ちゃん助けてーっ！」

パラソル付きの円テーブルにて、やかましい女性が牟田のすぐ隣の椅子へ断りも無しに着いた。

「事情を説明していただけてませんので助けるも何もありませんが、自業自得という言葉はご存知ですかな？」
「見抜かれていますね、顔本さん。助太刀しましょうか？」

他人事の堂嶋幹夫も笑顔で相席する。

「堂嶋さん、こいつを甘やかさないでください」
「もうっ、今日は顔本さんのせいで散々だわ！」
「はぁ！？私なんかした！？」

地元警察官への一通りの説明を終えた黒岩と、休日の計画が台無しに終わり八つ当たりへシフトした泉海が加わる。

ゲートの向こう側ではパトカーが集まっており物々しい雰囲気だが、一番うるさいのはあそこの大人達だ。彼等の気が済むまで、子供達は静かに佇んで待ってやっていた。まるで対照的である。

「兄さん、大丈夫？」
「あ、ああ。別に……別に、俺はからかわれてただけだよ」
「怪我してないか聞いたんだけど……火傷はしちゃったみたいだね」