Case② はじめまして
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「何だ、あれは」
「どうしたー?」
「あそこ、なんかもめてる?」
高校生5人組は車道越しの光景に足を止めた。周りの人々も、渋谷警察署の脇で男性警官を取り囲む集団に目を向ける。
「こーんなところで突っ立って、ぇえ!?それでも我々を守る警察か!?」
「警察かー!?」
「受付の人を見習いなさいよ!あんな大変な怪我してるのに、あなた達と違って一生懸命働いてるのよ!?」
「働いてんだぞー!」
「怪我人コキ使っておいて、あんたらが体張らないでどうする!?」
「どうするー!?」
「……何だあれは」
昨日警察署受付前にて一度は熱が冷めた彼らだったが、それでも不満やストレスを己の中だけで消化しきれなかった。八つ当たりの矛先を向けても良さそうな獲物を、今しがた定めたところだった。
「あれって因縁か?まあ、これもヒーローの役目かな」
「止せ。警察側の俺達が、いや、大介が行っても余計拗れるだけだ」
わざわざ言い直したのはどういう意味だと子供が子供に突っかかる前に、デモ隊へ突如水が注される。
「こらぁー!!なぁ~にしとるかあんたらぁー!」
ひとりの女性が、真っ直ぐ持ち上げた松葉杖を振り回しながら登場した。
「ええっ、なにあの人?」
「包帯ぐるぐる…」
「その割に元気そうだけど」
ひとまず5人は様子を見ることにした。あの婦警はいい歳をした大人達のいざこざを止めに来てくれたのだろう。間違っても、参戦しに来たなんてことはあり得ない。
「あんた、受付の…!」
「そーだよご本人だよ!なぁーにお巡りさんの邪魔してんの!?」
松葉杖はブンと音が鳴る速さで降り下ろされ、歩道のアスファルトで先端が僅かながら削れた。
「だ、だってこいつら、あんたと違って外で突っ立ってるだけなんだ!」
「サボってるから私達が代表して叱ってあげてるのよぉ!」
興が削がれた大介は辺りをつまらなそうに見渡す。
すると彼の視界の端には小走りで駆けつける黒岩と泉海が映った。何かを捜しているようだ。
「叱って、あげてるだぁ~?」
「あ!あそこ!あそこです!あの人が…」
「何だあの不良は」
「……」
泉海は自分の指をそっと引っ込めた。
やっと居場所を見つけた部下は、相手から目を離さずに首をぐるりと回し一般人数人を威嚇している最中。その横顔は、真面目で謙虚な公務員とはお世辞にも言い難い代物で。
「何様のつもりだぁ~?ああ~!?」
彼女はこちらにも道の向こう側に居る学生達にも気付いていないようだが、周囲を意に介する介さない以前に、これは無い。流石にこれは酷い。
青ざめていく泉海。人を見る目が無かったのかと先日の自分自身を呪いたくなる。
「いいかぁ!?警察のテストに合格して!訓練を積んだ!健康体の男性が!ここに立って、存在してるってことにっ、意義があんの!」
喚いている顔本を止めに行こうとするが、手前に立っている黒岩署長が泉海を無言で阻止した。
「居るってだけで、ほら~その、安心感とかあるでしょうが!泥棒が悪さし辛いってか、当たり前に、いつつつつ…!」
顔本は急に膝を突いて縮こまった。粗暴に扱われていた杖は持ち主の手を離れ、軽い音を数回立ててから寝そべった。
「お、おい、あんた……」
「ちょ、救急車ぁ!」
「当たり前に、守られてて…!」
区民らの心配を余所に、うるさい女は自力で立ち上がった。が、目蓋は徐々に降りてくる。それでも尚、支離滅裂などお構いなしに、とにかく喋り続けた。
「あぁあああと私らの知らない業務だって!知らない内に、私らっ守られて…!だか、だからっ…もう…」
「ちょっと、危な…!」
「は、吐きそ……う゛ぇっ」
実際に嘔吐まではしなかったものの、言いたい放題し場を散らかした顔本はそのまま気を失った。
「どうしたー?」
「あそこ、なんかもめてる?」
高校生5人組は車道越しの光景に足を止めた。周りの人々も、渋谷警察署の脇で男性警官を取り囲む集団に目を向ける。
「こーんなところで突っ立って、ぇえ!?それでも我々を守る警察か!?」
「警察かー!?」
「受付の人を見習いなさいよ!あんな大変な怪我してるのに、あなた達と違って一生懸命働いてるのよ!?」
「働いてんだぞー!」
「怪我人コキ使っておいて、あんたらが体張らないでどうする!?」
「どうするー!?」
「……何だあれは」
昨日警察署受付前にて一度は熱が冷めた彼らだったが、それでも不満やストレスを己の中だけで消化しきれなかった。八つ当たりの矛先を向けても良さそうな獲物を、今しがた定めたところだった。
「あれって因縁か?まあ、これもヒーローの役目かな」
「止せ。警察側の俺達が、いや、大介が行っても余計拗れるだけだ」
わざわざ言い直したのはどういう意味だと子供が子供に突っかかる前に、デモ隊へ突如水が注される。
「こらぁー!!なぁ~にしとるかあんたらぁー!」
ひとりの女性が、真っ直ぐ持ち上げた松葉杖を振り回しながら登場した。
「ええっ、なにあの人?」
「包帯ぐるぐる…」
「その割に元気そうだけど」
ひとまず5人は様子を見ることにした。あの婦警はいい歳をした大人達のいざこざを止めに来てくれたのだろう。間違っても、参戦しに来たなんてことはあり得ない。
「あんた、受付の…!」
「そーだよご本人だよ!なぁーにお巡りさんの邪魔してんの!?」
松葉杖はブンと音が鳴る速さで降り下ろされ、歩道のアスファルトで先端が僅かながら削れた。
「だ、だってこいつら、あんたと違って外で突っ立ってるだけなんだ!」
「サボってるから私達が代表して叱ってあげてるのよぉ!」
興が削がれた大介は辺りをつまらなそうに見渡す。
すると彼の視界の端には小走りで駆けつける黒岩と泉海が映った。何かを捜しているようだ。
「叱って、あげてるだぁ~?」
「あ!あそこ!あそこです!あの人が…」
「何だあの不良は」
「……」
泉海は自分の指をそっと引っ込めた。
やっと居場所を見つけた部下は、相手から目を離さずに首をぐるりと回し一般人数人を威嚇している最中。その横顔は、真面目で謙虚な公務員とはお世辞にも言い難い代物で。
「何様のつもりだぁ~?ああ~!?」
彼女はこちらにも道の向こう側に居る学生達にも気付いていないようだが、周囲を意に介する介さない以前に、これは無い。流石にこれは酷い。
青ざめていく泉海。人を見る目が無かったのかと先日の自分自身を呪いたくなる。
「いいかぁ!?警察のテストに合格して!訓練を積んだ!健康体の男性が!ここに立って、存在してるってことにっ、意義があんの!」
喚いている顔本を止めに行こうとするが、手前に立っている黒岩署長が泉海を無言で阻止した。
「居るってだけで、ほら~その、安心感とかあるでしょうが!泥棒が悪さし辛いってか、当たり前に、いつつつつ…!」
顔本は急に膝を突いて縮こまった。粗暴に扱われていた杖は持ち主の手を離れ、軽い音を数回立ててから寝そべった。
「お、おい、あんた……」
「ちょ、救急車ぁ!」
「当たり前に、守られてて…!」
区民らの心配を余所に、うるさい女は自力で立ち上がった。が、目蓋は徐々に降りてくる。それでも尚、支離滅裂などお構いなしに、とにかく喋り続けた。
「あぁあああと私らの知らない業務だって!知らない内に、私らっ守られて…!だか、だからっ…もう…」
「ちょっと、危な…!」
「は、吐きそ……う゛ぇっ」
実際に嘔吐まではしなかったものの、言いたい放題し場を散らかした顔本はそのまま気を失った。