Case☆ 憂・遠・恥
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……概要だけで勘弁しろ。本来ならば機密事項だ」
観念した黒岩は、皆を帰らせる口実のつもりで軽く打ち明け始める。あくまで、知人達の安全を優先するために。
「特徴的な凶悪犯の尻尾を掴んだ。今日はこの辺りで潜伏していると俺は睨んでいる」
「特徴的?」
「男女のカップルばかりを襲う単独犯だ」
「カップルって……」
肉眼で見える範囲だけでもかなりのペアが園内へ入場し、顔本達の横を次々と通り過ぎて行っている。
「コレ、大分マズイんじゃ…」
「俺の読みが当たっていれば、の話だ」
「当たってそ~。私が犯人なら次の狩り場絶対ここ選ぶね、数打ちゃ当たるじゃん」
「顔本さん、言い方っ」
「ボーナスステージ」
「だから言い方っ!」
泉海は顔本の口を両手でぎゅっと塞いだ。これを聞いている子供達がある程度分別の出来る年齢で安心しながら。
「俺、協力します!」
「大介!?」
ガイは遅れをとった。この件について警察から園へ情報提供済みなのか、他に警察官は来ているのか、自分達に何か協力できることはあるのか、といった確認事項を脳内でまとめていた一方で、大介は至ってシンプルに主張した。
「みんなの休日は俺が守る!」
「ぷはっ、私も!指示ちょーだい署長!」
赤の他人の目には、同じ姿勢同じ表情で男性を囲む2人は似た者姉弟に映っているだろう。
「これはお遊びではない」
「そうよ。みんな今日は念のために帰って、また別の日に来た方が良いわ」
「大介達は特に世間に顔が割れている。ここは大人しくプロに任せた方が…」
「俺はS.D.S.だ!」
「私だって警察官だ!……ゆくゆくは」
子供達は、わめく年上女性のことはともかく、友人の異常な暴走を危惧して大介へ詰め寄る。
「大介、まだその癖直ってなかったの?いい加減にしてよ!」
「ここに残るにしろ移動するにしろ、堂嶋さんの言う通り大人に任せるべきだ。犯人が園内に潜伏していると決まった訳でもないし」
「ねえ大介。私達、せっかく遊びに来れたんだよ?犯人のことは不安だけど…でも、マスコミも大分静かになって、やっとこうして集まれたのに…」
「そーそー、ヒーロー症候群発動は控えなさーいっ」
「でもっ」
慶作が強めに肩を組んでも大介は口を閉じない。
「犯人を放っておいたら、ここに遊びに来たみんなが危険に晒されるんだ」
堂嶋大介が示す"みんな"は、運命を感じている幼馴染み4人に限ったことではなかった。
「ここに来ている人達は、みんな今日を楽しみにしているんだ。最高の一日にしようって。うんと楽しもうって。それをブチ壊されてたまるかよ」
「よく言った!そんでもって右に同じく。サツを目指す身として、こりゃ見過ごせない案件だね」
揃ってドヤ顔の偽姉弟は、何か成果を上げた訳でもないのに拳同士をコツンと合わせた。
「……やっぱり話すべきではなかったか」
黒岩は厳しい表情で頭を片手で軽く抱えた。だが、この強引な2人に他のメンバーは結局感化されてしまっていた。
「まあ、犯人が潜伏していなければ刑事ゴッコに終わるだけだな」
「そ、そういうことなら、私も協力したい…!」
「えー?マリマリも?しょうがないなぁ、んじゃ俺も!」
「はぁ~、言い出したら聞かないもんね大介は」
まだまだお手本とは言い難いが、堂嶋大介は仲間達を引っ張る力がある。未来へ転送された渋谷が元通りになってからは、彼の行動原理も主人公らしいものへ徐々に変化していっている。
「狙われてるのはカップルだろ?なら、男女のペアになって各組園内を捜索だ!」
「いいねそれ。犯人煽り出し作戦!スマホで常時連絡取り合って、怪しいヤツ見つけたら即報告!小さめの遊園地だし、4組もあればなんとかなるっしょ」
S.D.S.と顔本の6人はやる気満々で、最早黒岩を余所に作戦を立て始めていた。
「いち、にい、さん……待って顔本さん、それ私と堂嶋さんも数に含まれてるの?」
「どうやらそうみたいですね。いかが致します?黒岩さん」
「……全員、万一不審者を発見したら、余計なことはせずすぐに連絡しなさい」
「他のお客に迷惑だけは掛けるんじゃないですよ。S.D.S.が問題を起こしたなんて噂が広まれば、渋谷臨時政府総理を務めた私が何て言われるか…」
大人組は子供を危険に晒したくはなかったが、既に諦めモード。
「じゃあ俺顔本さんと行くよ」
指名を受けた女性は、彼の背後で小さく声を漏らした愛鈴を横目で捉えると大介の手を振り払った。
「バッカじゃないの?署長の話聞いてた?カップルに見せかけなきゃ囮になんないでしょーが。バディが兄弟に見えちゃ意味無いの!」
今の発言は双子に向けたものではなかったが、隣同士に立っていたガイとルウは半歩ずつ距離を取った。
「えー?じゃあマリマリ行こうぜ」
「あぅ、う、うんっ」
「そこが組むなら、私は慶作と!」
「ルウが一緒なら滅茶苦茶頼もしいよ」
「どういう意味ー?」
「残りはこの4人か」
顔本の周りには泉海、幹夫、ガイ。黒岩は司令塔として一歩下がっていた。
「つってももうパターンひとつだけだね」
そう言うと顔本は余り者の男子高校生の手を引いて早速歩き出した。
「ちょっ、顔本さんっ?」
「キミにはまだ泉海さんはオトナ過ぎ。私くらいのがちょーど良いんだよ」
ガイはずんずん突き進む顔本の後頭部を見つめながら、何も言わず彼女に連れられて行った。
観念した黒岩は、皆を帰らせる口実のつもりで軽く打ち明け始める。あくまで、知人達の安全を優先するために。
「特徴的な凶悪犯の尻尾を掴んだ。今日はこの辺りで潜伏していると俺は睨んでいる」
「特徴的?」
「男女のカップルばかりを襲う単独犯だ」
「カップルって……」
肉眼で見える範囲だけでもかなりのペアが園内へ入場し、顔本達の横を次々と通り過ぎて行っている。
「コレ、大分マズイんじゃ…」
「俺の読みが当たっていれば、の話だ」
「当たってそ~。私が犯人なら次の狩り場絶対ここ選ぶね、数打ちゃ当たるじゃん」
「顔本さん、言い方っ」
「ボーナスステージ」
「だから言い方っ!」
泉海は顔本の口を両手でぎゅっと塞いだ。これを聞いている子供達がある程度分別の出来る年齢で安心しながら。
「俺、協力します!」
「大介!?」
ガイは遅れをとった。この件について警察から園へ情報提供済みなのか、他に警察官は来ているのか、自分達に何か協力できることはあるのか、といった確認事項を脳内でまとめていた一方で、大介は至ってシンプルに主張した。
「みんなの休日は俺が守る!」
「ぷはっ、私も!指示ちょーだい署長!」
赤の他人の目には、同じ姿勢同じ表情で男性を囲む2人は似た者姉弟に映っているだろう。
「これはお遊びではない」
「そうよ。みんな今日は念のために帰って、また別の日に来た方が良いわ」
「大介達は特に世間に顔が割れている。ここは大人しくプロに任せた方が…」
「俺はS.D.S.だ!」
「私だって警察官だ!……ゆくゆくは」
子供達は、わめく年上女性のことはともかく、友人の異常な暴走を危惧して大介へ詰め寄る。
「大介、まだその癖直ってなかったの?いい加減にしてよ!」
「ここに残るにしろ移動するにしろ、堂嶋さんの言う通り大人に任せるべきだ。犯人が園内に潜伏していると決まった訳でもないし」
「ねえ大介。私達、せっかく遊びに来れたんだよ?犯人のことは不安だけど…でも、マスコミも大分静かになって、やっとこうして集まれたのに…」
「そーそー、ヒーロー症候群発動は控えなさーいっ」
「でもっ」
慶作が強めに肩を組んでも大介は口を閉じない。
「犯人を放っておいたら、ここに遊びに来たみんなが危険に晒されるんだ」
堂嶋大介が示す"みんな"は、運命を感じている幼馴染み4人に限ったことではなかった。
「ここに来ている人達は、みんな今日を楽しみにしているんだ。最高の一日にしようって。うんと楽しもうって。それをブチ壊されてたまるかよ」
「よく言った!そんでもって右に同じく。サツを目指す身として、こりゃ見過ごせない案件だね」
揃ってドヤ顔の偽姉弟は、何か成果を上げた訳でもないのに拳同士をコツンと合わせた。
「……やっぱり話すべきではなかったか」
黒岩は厳しい表情で頭を片手で軽く抱えた。だが、この強引な2人に他のメンバーは結局感化されてしまっていた。
「まあ、犯人が潜伏していなければ刑事ゴッコに終わるだけだな」
「そ、そういうことなら、私も協力したい…!」
「えー?マリマリも?しょうがないなぁ、んじゃ俺も!」
「はぁ~、言い出したら聞かないもんね大介は」
まだまだお手本とは言い難いが、堂嶋大介は仲間達を引っ張る力がある。未来へ転送された渋谷が元通りになってからは、彼の行動原理も主人公らしいものへ徐々に変化していっている。
「狙われてるのはカップルだろ?なら、男女のペアになって各組園内を捜索だ!」
「いいねそれ。犯人煽り出し作戦!スマホで常時連絡取り合って、怪しいヤツ見つけたら即報告!小さめの遊園地だし、4組もあればなんとかなるっしょ」
S.D.S.と顔本の6人はやる気満々で、最早黒岩を余所に作戦を立て始めていた。
「いち、にい、さん……待って顔本さん、それ私と堂嶋さんも数に含まれてるの?」
「どうやらそうみたいですね。いかが致します?黒岩さん」
「……全員、万一不審者を発見したら、余計なことはせずすぐに連絡しなさい」
「他のお客に迷惑だけは掛けるんじゃないですよ。S.D.S.が問題を起こしたなんて噂が広まれば、渋谷臨時政府総理を務めた私が何て言われるか…」
大人組は子供を危険に晒したくはなかったが、既に諦めモード。
「じゃあ俺顔本さんと行くよ」
指名を受けた女性は、彼の背後で小さく声を漏らした愛鈴を横目で捉えると大介の手を振り払った。
「バッカじゃないの?署長の話聞いてた?カップルに見せかけなきゃ囮になんないでしょーが。バディが兄弟に見えちゃ意味無いの!」
今の発言は双子に向けたものではなかったが、隣同士に立っていたガイとルウは半歩ずつ距離を取った。
「えー?じゃあマリマリ行こうぜ」
「あぅ、う、うんっ」
「そこが組むなら、私は慶作と!」
「ルウが一緒なら滅茶苦茶頼もしいよ」
「どういう意味ー?」
「残りはこの4人か」
顔本の周りには泉海、幹夫、ガイ。黒岩は司令塔として一歩下がっていた。
「つってももうパターンひとつだけだね」
そう言うと顔本は余り者の男子高校生の手を引いて早速歩き出した。
「ちょっ、顔本さんっ?」
「キミにはまだ泉海さんはオトナ過ぎ。私くらいのがちょーど良いんだよ」
ガイはずんずん突き進む顔本の後頭部を見つめながら、何も言わず彼女に連れられて行った。