Case⑩ 大人と子供
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相談窓口が一旦落ち着きを取り戻した昼下がり。顔を出しに来た泉海と黒岩は、顔本の身勝手な行動に最早驚きもしなかった。
「バタバタしてる今日だけ特別に許可します。でも、絶対安静だからね」
「はーい」
「私も黒岩さんもこの後手が離せなくなるから来られないけど、ここから動かないこと!絶対!」
「はーい」
「……」
黒岩は元部下の後ろに掲げられた2枚目の横断幕"私顔本は一次帰還しません!ここに残って何が悪い!?"を黙って眺めていた。
「黒岩さんも何か言ってやってくださいよ!」
先日体を重ねかけ、心を不器用に通わせた男女はふと見つめ合う。
「顔本」
「はーい」
「無理はするな」
「はぁ」
指示が概念レベルにまで簡潔且つ当前過ぎる内容故、顔本は中途半端な返事だけで済ませた。
「顔本さん、わかった?」
淡白な態度の警察署長と、いつにも増して口うるさい巡査長。
「ちょっと、聞いてる?」
「どうした」
「なんかお父さんとお母さんみたい」
ふにゃっと笑う顔本に、2人は顔を見合せ肩をすくめる。
「またそんなこと言って」
「へへへ」
「自分が子供だからそう感じているだけだろう」
「本当ですよ。仮にそうだとしたら、先日は父親が娘の性欲処」
「泉海!!」
「お母さん!!」
カウンターの内側と外側から同時に叫び声を上げ、周囲の人々の誤解を招く前になんとか肝心な単語を遮った。
「失礼しましたっ!も、もう会議始まっちゃいますよね!行ってきます!」
真っ赤になった泉海巡査長はパタパタと駆け出していく。顔本は彼女に初めて生暖かい目を向けた。
「泉海さんが失言なんて珍し~い」
「誰に似たんだか」
「さあね。行ってらっしゃーい」
黒岩は背中を見送ってくれる顔本へ片腕を軽く上げ、振り向かずに別れを告げた。
「バタバタしてる今日だけ特別に許可します。でも、絶対安静だからね」
「はーい」
「私も黒岩さんもこの後手が離せなくなるから来られないけど、ここから動かないこと!絶対!」
「はーい」
「……」
黒岩は元部下の後ろに掲げられた2枚目の横断幕"私顔本は一次帰還しません!ここに残って何が悪い!?"を黙って眺めていた。
「黒岩さんも何か言ってやってくださいよ!」
先日体を重ねかけ、心を不器用に通わせた男女はふと見つめ合う。
「顔本」
「はーい」
「無理はするな」
「はぁ」
指示が概念レベルにまで簡潔且つ当前過ぎる内容故、顔本は中途半端な返事だけで済ませた。
「顔本さん、わかった?」
淡白な態度の警察署長と、いつにも増して口うるさい巡査長。
「ちょっと、聞いてる?」
「どうした」
「なんかお父さんとお母さんみたい」
ふにゃっと笑う顔本に、2人は顔を見合せ肩をすくめる。
「またそんなこと言って」
「へへへ」
「自分が子供だからそう感じているだけだろう」
「本当ですよ。仮にそうだとしたら、先日は父親が娘の性欲処」
「泉海!!」
「お母さん!!」
カウンターの内側と外側から同時に叫び声を上げ、周囲の人々の誤解を招く前になんとか肝心な単語を遮った。
「失礼しましたっ!も、もう会議始まっちゃいますよね!行ってきます!」
真っ赤になった泉海巡査長はパタパタと駆け出していく。顔本は彼女に初めて生暖かい目を向けた。
「泉海さんが失言なんて珍し~い」
「誰に似たんだか」
「さあね。行ってらっしゃーい」
黒岩は背中を見送ってくれる顔本へ片腕を軽く上げ、振り向かずに別れを告げた。