Case⑨ 蓋
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目を閉じ体を強ばらせていると、すぐ横で布擦れの音が立ち膝に頭が乗せられる感覚。
「なっ!?んっ……何分後に、起こします?」
顔本は黒岩署長の要望を理解したと同時に拍子が抜け、震えも止む。
「……10分」
答えが来る前から黒岩の目蓋は閉じられていた。
"動くな"とは、体をされるがままにしろという強制ではなく、単なる物理的な意味合いだった。太股の上で彼の呼吸のペースが徐々に落ちていく。
「……」
顔本は気恥ずかしさと緊張に耐え切れず、何かしらの行動に移さねばと勝手に画策し始めた。
まずは手の平を相手の目元に乗せて暖める。何のつもりだと声に出す代わりに彼は顎を少しだけ出した。
構わず、次はこめかみを手の腹の圧だけでゆっくりと揉みほぐしていく。
「こういうマッサージあるんですよ。ゴッドハンドの店員さんがSNSで超有名で。こんな感じだったかなー。あーでもやっぱ、先に目をもうちょい温めないと意味が」
「止せ。余計なことはするな」
自由気ままな手を片方掴まれ、それを彼の胸の上に固定されてしまった。大したことは一切されていないが、作業可能な方の手も静止する。
「これで良い」
顔本をしかと捕らえたまま、黒岩は本格的な寝息を立て始めた。
「~っ…」
なんだか、また負かされた気分だ。
「私に用って、まさかこれっぽっち?署長。署長っ?……ちぇっ」
しかも今回相手は勝ち逃げ。既に夢の中。
悔しさから嫌がらせでもしてやろうかと思ったが、何故だかひとつも浮かばない。
「……」
ただひたすら、膝を貸してやりたい。休ませてやりたい。せめて私が客人として邪魔している間だけでも。
あと、この息遣いをいつまでも聞いていたい。
「おやすみ…黒岩さん」
そんな気持ちに行き着いた。
「なっ!?んっ……何分後に、起こします?」
顔本は黒岩署長の要望を理解したと同時に拍子が抜け、震えも止む。
「……10分」
答えが来る前から黒岩の目蓋は閉じられていた。
"動くな"とは、体をされるがままにしろという強制ではなく、単なる物理的な意味合いだった。太股の上で彼の呼吸のペースが徐々に落ちていく。
「……」
顔本は気恥ずかしさと緊張に耐え切れず、何かしらの行動に移さねばと勝手に画策し始めた。
まずは手の平を相手の目元に乗せて暖める。何のつもりだと声に出す代わりに彼は顎を少しだけ出した。
構わず、次はこめかみを手の腹の圧だけでゆっくりと揉みほぐしていく。
「こういうマッサージあるんですよ。ゴッドハンドの店員さんがSNSで超有名で。こんな感じだったかなー。あーでもやっぱ、先に目をもうちょい温めないと意味が」
「止せ。余計なことはするな」
自由気ままな手を片方掴まれ、それを彼の胸の上に固定されてしまった。大したことは一切されていないが、作業可能な方の手も静止する。
「これで良い」
顔本をしかと捕らえたまま、黒岩は本格的な寝息を立て始めた。
「~っ…」
なんだか、また負かされた気分だ。
「私に用って、まさかこれっぽっち?署長。署長っ?……ちぇっ」
しかも今回相手は勝ち逃げ。既に夢の中。
悔しさから嫌がらせでもしてやろうかと思ったが、何故だかひとつも浮かばない。
「……」
ただひたすら、膝を貸してやりたい。休ませてやりたい。せめて私が客人として邪魔している間だけでも。
あと、この息遣いをいつまでも聞いていたい。
「おやすみ…黒岩さん」
そんな気持ちに行き着いた。