Case⑨ 蓋
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「失礼します。顔本さんをお連れしました」
入室した先は、相変わらず文句のつけようの無い空間。部屋の主は窓の側で夕陽をひとり眺めていた。
「ご苦労。通常任務に戻れ」
持て余した欲求を互いに処理し合って以来、顔を合わせるのは初めて。彼に背を向けられているから、厳密にはまだ合わせてはいないが。
「了解です。じゃー、僕はこれで」
「ほーい」
丁寧に扉が閉められる。当然ながら、広い署長室に2人きり。
「……」
「……」
「…かけなさい」
「…はーい」
顔本は長いソファの端っこに腰を下ろした。
「……」
「……」
黒岩と顔本の間にはぎこちない空気が漂っている。別段、打破すべき苦境でもないのだが、居心地の悪さを紛らす為顔本はその場で無意味にもぞもぞ座り直した。
先日の事が無ければ今頃遠慮などせず、元部下にお茶も出さないのかとふざけることが出来ていただろうに。
「その後、どうだ?その……様子は」
言葉自体は先程エレベーター内で男性警官からされたそれと同じだが、意味合いはもっと狭く、深いものだった。
「えーっ…とぉ……お陰様で。落ち着きました。署長は?」
「……」
背中は答えてくれない。
黒岩は何か思い詰めているようで、口元を覆ったり後ろで手を組んだりと彼らしくもない仕草を見せる。
「あーっと、すみません。答え辛かったら別に」
「じっとしていてくれ」
それだけ言うと、男は大股で近付いてきた。
「え?……え!?」
まさかわざわざ呼び出された理由というのは、続きをご所望か。
「えっ、あのっ」
前回と同じく、激しさを伴うあの処理に付き合わされるのか。
遂に同じソファへ腰掛けられ、顔本は極短時間の内に腹を括った。
入室した先は、相変わらず文句のつけようの無い空間。部屋の主は窓の側で夕陽をひとり眺めていた。
「ご苦労。通常任務に戻れ」
持て余した欲求を互いに処理し合って以来、顔を合わせるのは初めて。彼に背を向けられているから、厳密にはまだ合わせてはいないが。
「了解です。じゃー、僕はこれで」
「ほーい」
丁寧に扉が閉められる。当然ながら、広い署長室に2人きり。
「……」
「……」
「…かけなさい」
「…はーい」
顔本は長いソファの端っこに腰を下ろした。
「……」
「……」
黒岩と顔本の間にはぎこちない空気が漂っている。別段、打破すべき苦境でもないのだが、居心地の悪さを紛らす為顔本はその場で無意味にもぞもぞ座り直した。
先日の事が無ければ今頃遠慮などせず、元部下にお茶も出さないのかとふざけることが出来ていただろうに。
「その後、どうだ?その……様子は」
言葉自体は先程エレベーター内で男性警官からされたそれと同じだが、意味合いはもっと狭く、深いものだった。
「えーっ…とぉ……お陰様で。落ち着きました。署長は?」
「……」
背中は答えてくれない。
黒岩は何か思い詰めているようで、口元を覆ったり後ろで手を組んだりと彼らしくもない仕草を見せる。
「あーっと、すみません。答え辛かったら別に」
「じっとしていてくれ」
それだけ言うと、男は大股で近付いてきた。
「え?……え!?」
まさかわざわざ呼び出された理由というのは、続きをご所望か。
「えっ、あのっ」
前回と同じく、激しさを伴うあの処理に付き合わされるのか。
遂に同じソファへ腰掛けられ、顔本は極短時間の内に腹を括った。