Case⑦ 強いあなたに
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顔本相談窓口係はいつものカウンターに全体重を預け、暇を持て余していた。
「だらしないですよー顔本さーん。せめて肘突くくらいにしましょーよ」
住民側からはバレないよう片足立ちしている男性警官も一緒に。
「ね~菊池さ~ん」
「何ですかー。また"眠い~"ですかー?」
寝不足が大いに影響しメリハリの感じられない声に、元より無気力気味の声が構ってやった。
「違わい。いや違くはないけど。警察官になるテストって年齢制限とかある?」
「何ですかー急に。どうしてそんなこと聞くんですか?」
「当人がここに居るんだから直接確かめちゃえって思って。今ネットで調べらんないじゃん?まあ、どっちにしろ私スマホ無くしてるんだけどね」
「どうして僕にってことじゃなくて……まあ良いですけど」
彼女の質問の動機はさておき、警察官になりたての者は自分のペースで回答し始める。
「んー……顔本さんって、エリートコースってガラじゃないですよね」
「何だね急に。それがテストと関係あんの?」
「えーっとぉ、警察官への入口ってー、2通りありまして」
「タンマ」
この話題をまだ聞かれたくない相手が正面口から駆けて来る。
「お疲れ様でーす、泉海巡査長」
「おかえり泉海さん。こっちは超ヒマですよ~」
本日初めて窓口に人が並んだ。時刻は既に受付終了間際である。
「顔本、さん……その……」
相談者はそれきり口を閉じ、愛用の記入ボードをぐっと抱き寄せた。
「はいはい?」
「……」
神妙な面持ちで立ち尽くされても、こちらはどうにもしてやれないのだが。
「?」
「?」
若輩者2人は顔を見合わせた。明るく聡明な泉海巡査長は何処へ行ってしまったのか。
「どしたの泉海さん?……あの子達に何か!?」
「S.D.S.は全員無事よ、安心して」
「あのー、込み入った話でしたら僕席外しましょうか?」
眼中に無かった部下からの言葉が、泉海に警察官としての本分を思い出させる。
「いえ、菊池くんはここをお願い。顔本さん……貴女は署長室に行ってちょうだい。黒岩さんから直々に話があるの」
「うえっマジか」
「行ってらっしゃーい」
同僚に合掌された顔本は今までしたこともなかった美しい敬礼で応えた。
「くっ!逝って参ります」
「生還してくださいよー、縁起でもない」
「そっちが仏さん扱いしたんじゃんか~」
「……」
後輩とまだカウンターの内側に居る顔本とのじゃれ合いを、泉海はただ黙って目に焼き付けていた。
「じゃあ、2人ともよろしく」
「え?用件それだけ?」
「お忙しいですねー巡査長」
「ね~。だったらこれでも良かったのに」
顔本は自分の肩に取り付けている無線機を指差した。指摘している本人は故意に応答しないことの方が多かったが。
「でも、直接……そう、ね。そうよね…」
「?」
「私は立ち会えないけど、よろしくね……また、明日」
「?お疲れ様でーす」
「だらしないですよー顔本さーん。せめて肘突くくらいにしましょーよ」
住民側からはバレないよう片足立ちしている男性警官も一緒に。
「ね~菊池さ~ん」
「何ですかー。また"眠い~"ですかー?」
寝不足が大いに影響しメリハリの感じられない声に、元より無気力気味の声が構ってやった。
「違わい。いや違くはないけど。警察官になるテストって年齢制限とかある?」
「何ですかー急に。どうしてそんなこと聞くんですか?」
「当人がここに居るんだから直接確かめちゃえって思って。今ネットで調べらんないじゃん?まあ、どっちにしろ私スマホ無くしてるんだけどね」
「どうして僕にってことじゃなくて……まあ良いですけど」
彼女の質問の動機はさておき、警察官になりたての者は自分のペースで回答し始める。
「んー……顔本さんって、エリートコースってガラじゃないですよね」
「何だね急に。それがテストと関係あんの?」
「えーっとぉ、警察官への入口ってー、2通りありまして」
「タンマ」
この話題をまだ聞かれたくない相手が正面口から駆けて来る。
「お疲れ様でーす、泉海巡査長」
「おかえり泉海さん。こっちは超ヒマですよ~」
本日初めて窓口に人が並んだ。時刻は既に受付終了間際である。
「顔本、さん……その……」
相談者はそれきり口を閉じ、愛用の記入ボードをぐっと抱き寄せた。
「はいはい?」
「……」
神妙な面持ちで立ち尽くされても、こちらはどうにもしてやれないのだが。
「?」
「?」
若輩者2人は顔を見合わせた。明るく聡明な泉海巡査長は何処へ行ってしまったのか。
「どしたの泉海さん?……あの子達に何か!?」
「S.D.S.は全員無事よ、安心して」
「あのー、込み入った話でしたら僕席外しましょうか?」
眼中に無かった部下からの言葉が、泉海に警察官としての本分を思い出させる。
「いえ、菊池くんはここをお願い。顔本さん……貴女は署長室に行ってちょうだい。黒岩さんから直々に話があるの」
「うえっマジか」
「行ってらっしゃーい」
同僚に合掌された顔本は今までしたこともなかった美しい敬礼で応えた。
「くっ!逝って参ります」
「生還してくださいよー、縁起でもない」
「そっちが仏さん扱いしたんじゃんか~」
「……」
後輩とまだカウンターの内側に居る顔本とのじゃれ合いを、泉海はただ黙って目に焼き付けていた。
「じゃあ、2人ともよろしく」
「え?用件それだけ?」
「お忙しいですねー巡査長」
「ね~。だったらこれでも良かったのに」
顔本は自分の肩に取り付けている無線機を指差した。指摘している本人は故意に応答しないことの方が多かったが。
「でも、直接……そう、ね。そうよね…」
「?」
「私は立ち会えないけど、よろしくね……また、明日」
「?お疲れ様でーす」