Case⑥ 希望観測の末
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ほぼほぼ暗闇の中、顔本はふと意識を取り戻した。
悪い夢から逃れた訳でも寝付きが悪かった訳でもない。忙しなく行き交う警官達の足音等といった外的要因も無し。ただただ、偶然目が覚めた。
「……案外、平気」
ベッドの上で胡座をかき、首をぐるりとひと回し。
変な時間帯に起きてしまったが、痛みや疲労が祟った起床ではなく安堵した。むしろ拍子抜けである。
怪我人はこのまま大人しく二度寝すべきところだろうが、顔本はそうはいかない。
「……チャンスじゃん」
うんと手足を伸ばし、自発的にあくびをしながら体の末端も覚醒させていく。何処も軋まない。上々だ。
常日頃特にお叱りをいただく2人の目を気にせず行動できる機会は、地味に初めてだった。
「お疲れさまでーす。お手洗い行くとこでーす」
署内を巡回中の警官とすれ違う際はこの小声で容易くクリア。人気がなくなり、初めて廊下が顔本のものになった。
「なんてね。さあ、どーこ行こっかなー?」
ほとんどの人々が寝静まった渋谷の街を、単純に眺めてみたい。
滅多に訪れないこの機会。どうせ自由の身ならば、まだ行ったことがなく、目上の者から許されにくい場所へ侵入してみたいものだ。
悪い夢から逃れた訳でも寝付きが悪かった訳でもない。忙しなく行き交う警官達の足音等といった外的要因も無し。ただただ、偶然目が覚めた。
「……案外、平気」
ベッドの上で胡座をかき、首をぐるりとひと回し。
変な時間帯に起きてしまったが、痛みや疲労が祟った起床ではなく安堵した。むしろ拍子抜けである。
怪我人はこのまま大人しく二度寝すべきところだろうが、顔本はそうはいかない。
「……チャンスじゃん」
うんと手足を伸ばし、自発的にあくびをしながら体の末端も覚醒させていく。何処も軋まない。上々だ。
常日頃特にお叱りをいただく2人の目を気にせず行動できる機会は、地味に初めてだった。
「お疲れさまでーす。お手洗い行くとこでーす」
署内を巡回中の警官とすれ違う際はこの小声で容易くクリア。人気がなくなり、初めて廊下が顔本のものになった。
「なんてね。さあ、どーこ行こっかなー?」
ほとんどの人々が寝静まった渋谷の街を、単純に眺めてみたい。
滅多に訪れないこの機会。どうせ自由の身ならば、まだ行ったことがなく、目上の者から許されにくい場所へ侵入してみたいものだ。