Case④ デマの力
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そのまま警察署のある方向へ歩いて行く2人を堂嶋医師は暖かい目で見送ろうとしたが、とある約束を思い出し、その相手を呼び止める。
「黒岩署長」
先に行っていなさいと部下に合図し、彼は戻ってきた。2人は大人しく署に帰る顔本に背を向け、声量抑え気味で立ち話を始める。
「うちの顔本がご迷惑を」
「いえいえ」
「容態はいかがでしたか?」
「これまでの診断と同じく、軽傷です。本人はシビリアンに襲われた際、投げられたと記憶していますが、実際は振り落とされた……いえ、ただ自然落下した形になったのでしょう。運良く植え込みがクッションになったのが幸いでした」
「強烈に寝違えた状態と前は仰っていましたが、吐血も一時的なもので間違いないと」
顔本は担当医や口うるさい上司の目が届かなくなったことを確認し、こっそり松葉杖の使用を止めてみる。先日スキップだって出来たのだ、もう平気だろう。
「痛みに関しては心理的なはたらきが大きそうです」
「あいつの自己診断はどうでした?また適当なことを言っていたでしょう」
「ヒトの自然治癒力を半分信じているようです。実際症状は改善していくので、名実共に自然治癒となりますね」
残るは背中をしつこく支配している痛みだが、姿勢によっては和らいでいる気がしなくもない。
顔本は胸を張り、警察署正面入口から堂々と帰署した。
「どうしましょうか?今後のこと。真実を伝えても伝えなくても、彼女は毎日頑張りそうな気がしますが」
今までは、己の時間が残されていないという焦りが彼女の馬力を引き出していた。
「ならば、外科医の先生の名誉を優先させましょう」
「これまでと同じく、内緒ですね」
医者が手も足も出せない環境で重傷を自力で治した奇跡、ということで意見が一致した。
「あいつには自信を持って突き進んでもらわなければならない。たとえ原動力の源に根拠が無かったり、それがデマだったとしても」
「黒岩署長」
先に行っていなさいと部下に合図し、彼は戻ってきた。2人は大人しく署に帰る顔本に背を向け、声量抑え気味で立ち話を始める。
「うちの顔本がご迷惑を」
「いえいえ」
「容態はいかがでしたか?」
「これまでの診断と同じく、軽傷です。本人はシビリアンに襲われた際、投げられたと記憶していますが、実際は振り落とされた……いえ、ただ自然落下した形になったのでしょう。運良く植え込みがクッションになったのが幸いでした」
「強烈に寝違えた状態と前は仰っていましたが、吐血も一時的なもので間違いないと」
顔本は担当医や口うるさい上司の目が届かなくなったことを確認し、こっそり松葉杖の使用を止めてみる。先日スキップだって出来たのだ、もう平気だろう。
「痛みに関しては心理的なはたらきが大きそうです」
「あいつの自己診断はどうでした?また適当なことを言っていたでしょう」
「ヒトの自然治癒力を半分信じているようです。実際症状は改善していくので、名実共に自然治癒となりますね」
残るは背中をしつこく支配している痛みだが、姿勢によっては和らいでいる気がしなくもない。
顔本は胸を張り、警察署正面入口から堂々と帰署した。
「どうしましょうか?今後のこと。真実を伝えても伝えなくても、彼女は毎日頑張りそうな気がしますが」
今までは、己の時間が残されていないという焦りが彼女の馬力を引き出していた。
「ならば、外科医の先生の名誉を優先させましょう」
「これまでと同じく、内緒ですね」
医者が手も足も出せない環境で重傷を自力で治した奇跡、ということで意見が一致した。
「あいつには自信を持って突き進んでもらわなければならない。たとえ原動力の源に根拠が無かったり、それがデマだったとしても」