Case⑪ 次世代の君達には内緒
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絶望的な状況下でわずかな希望、もとい、電力の提供に歓喜した渋谷区民は、一躍ヒーローと認められた高校生達へ声援を送る。但し、聞こえるのは堂嶋大介を除いた4人の名前ばかり。
自分のファンが見当たらず、彼は露骨に顔を歪める。
「そうだ、あの人なら…!」
「誰かお探しか?大介」
親友は大勢へ手を振り続けながら、回答に女子生徒の名前でも挙がれば肩でも小突いてやるかとにやけた。
「顔本さんだよ。ほら、初めてパペット動かしたとき、この俺が助け出した人。慶作も何度か会ったろ?」
「……」
友はすぐさま表情を曇らせたが、子供はそんな些細なことなど気付かずヘソを曲げ始める。
「カウントダウン来てねーのかなぁ?昨日も約束すっぽかされたし。後で文句言ってやる!」
絶句している慶作の代わりにルウが大介の肩を叩いた。
「体キツいんじゃない?あれでも一応、怪我人だし。ほら行くよ」
5人はお立ち台となっていた電車モニュメントの上から降りて、ひとときのお祭り騒ぎに改めて加わる。
慶作が話題の掘り返しを決心したのは、渋谷ディフェンスサービス本拠地のガレージでメンバーが一息ついてから。
「大介。あ、みんなも……ちょっと」
フォローを入れたり構ってやったりすることは多々ある彼だが、自分から皆に話題を振ることは割と珍しい。他の3人もホワイトボードの前に集まった。
「あの人、顔本さん……亡くなったって」
「え……はぁ?なっ、なんでそんな急に…!この間までピンピンしてたじゃねーかよ!」
「あの怪我じゃ長くないかもって、本人も言ってたろ?それで、昨日の夜、倒れてたって……」
「し……死んじゃったの!?あの人…!」
「ほとんどお話しできなかった、私…」
涙目で肩を落とすマリマリにルウが寄り添う。気丈な彼女の兄も苦い顔をして話を進める。
「……ご遺体は?」
「それが、夜の内に埋葬されたって。顔が広い人ってことで、住民を動揺させないためだとか…俺も後から聞いた話で…」
「……大介…」
普段は無神経な行動が目立つ彼でも、流石に気を遣われていた。中でも特に仲良くしてもらっていた男の子が一番ショックを受けただろう。突然の訃報に呆然としている、しばらくはそっとしておいてやろうと。
「そう、か……」
しかし、当の本人は実感が沸かずボンヤリしているだけだったりする。
「へー……そう、だったんだ……」
大きく開け放たれたハッチから濁った夜空をなんとなく見上げた。
「しぶとそうだったけどな、あの人……」
約一ヶ月前、渋谷某所。スモッグのような雲でそのほとんどを覆われた空の下。女は1人、状況を整理できず顔を思い切り歪めていた。
「地震…で、こうなるか…!?」
自分のファンが見当たらず、彼は露骨に顔を歪める。
「そうだ、あの人なら…!」
「誰かお探しか?大介」
親友は大勢へ手を振り続けながら、回答に女子生徒の名前でも挙がれば肩でも小突いてやるかとにやけた。
「顔本さんだよ。ほら、初めてパペット動かしたとき、この俺が助け出した人。慶作も何度か会ったろ?」
「……」
友はすぐさま表情を曇らせたが、子供はそんな些細なことなど気付かずヘソを曲げ始める。
「カウントダウン来てねーのかなぁ?昨日も約束すっぽかされたし。後で文句言ってやる!」
絶句している慶作の代わりにルウが大介の肩を叩いた。
「体キツいんじゃない?あれでも一応、怪我人だし。ほら行くよ」
5人はお立ち台となっていた電車モニュメントの上から降りて、ひとときのお祭り騒ぎに改めて加わる。
慶作が話題の掘り返しを決心したのは、渋谷ディフェンスサービス本拠地のガレージでメンバーが一息ついてから。
「大介。あ、みんなも……ちょっと」
フォローを入れたり構ってやったりすることは多々ある彼だが、自分から皆に話題を振ることは割と珍しい。他の3人もホワイトボードの前に集まった。
「あの人、顔本さん……亡くなったって」
「え……はぁ?なっ、なんでそんな急に…!この間までピンピンしてたじゃねーかよ!」
「あの怪我じゃ長くないかもって、本人も言ってたろ?それで、昨日の夜、倒れてたって……」
「し……死んじゃったの!?あの人…!」
「ほとんどお話しできなかった、私…」
涙目で肩を落とすマリマリにルウが寄り添う。気丈な彼女の兄も苦い顔をして話を進める。
「……ご遺体は?」
「それが、夜の内に埋葬されたって。顔が広い人ってことで、住民を動揺させないためだとか…俺も後から聞いた話で…」
「……大介…」
普段は無神経な行動が目立つ彼でも、流石に気を遣われていた。中でも特に仲良くしてもらっていた男の子が一番ショックを受けただろう。突然の訃報に呆然としている、しばらくはそっとしておいてやろうと。
「そう、か……」
しかし、当の本人は実感が沸かずボンヤリしているだけだったりする。
「へー……そう、だったんだ……」
大きく開け放たれたハッチから濁った夜空をなんとなく見上げた。
「しぶとそうだったけどな、あの人……」
約一ヶ月前、渋谷某所。スモッグのような雲でそのほとんどを覆われた空の下。女は1人、状況を整理できず顔を思い切り歪めていた。
「地震…で、こうなるか…!?」
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