ポクタル

広間に着いたら、案の定ジェットブースターをクランクに取り付けることが必要だと言われた。これが無いと戦闘機ジェットファイターをガレージから出すことが出来ない。

「ボルトは十分貯まってる。このまま行こうか」

大都市惑星でお世話になったアルの弟が経営している工房に入る。兄とは対称的に痩せ形で喋り方が爽やかだが、やはりヲタク臭が否めない。

「いらっしゃー、ひゃあ!?」

ボブは三人を目に入れた途端、カウンターの影に隠れた。

「ご、ご、極悪犯だぁー!殺されるー!!」
「待って。オイラ達そんなことしないよ」
「極悪犯だなんて失礼な」
「だっ、だって!君ら指名手配犯でしょ?テレビで見たもん!」

もう奴による手回しがされているのか。情報が回るスピードがいささか速いような気がする。

「それはビッグバッドボスが勝手に言ってるだけ」
「オイラ達は奴の計画を止めようとしてるから、目の敵にされてるんだ」
「計画?」

怯える彼はカウンターに両手を置き、頭を少しだけ覗かせた。

「奴は新しい住処を作るために、この銀河の惑星を少しずつ切り取っているッス」
「ビッグドレックってそんなことしてるの!?」

ここにも事情を知らないキャラが一人。当たり前だ。あのヘンテコ頭の陰謀は、ラチェット視点で行動するゲームだったからこそ知り得たのだ。

「一方、ワタシ達は善良な一般市民には一切手出ししないッス」
「僕に乱暴しない…?」
「しないしない」
「ブラーグの軍隊とひよっこ三人組、どっちが凶暴に見える?」
「じゃあ、君らただのお客さん?」

店主はやっと立ち上がって顔を見せてくれた。彼の目の前にクランクを持ち上げる。

「そう。この子をパワーアップしてほしいの」
「ポン付けでお願いするッスよ」
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