ポクタル

不本意ながらオークソンにてネタバレを解禁したことだし、ここに到着するまでの間に、ミッションや大まかな道筋を二人に教えておいた。予習バッチリだ。

「O2マスクを手に入れれば、ラチェットもオークソンを探索できるッス」
「あと水の中もな」
「ただ、私の記憶と違うことだってあるからね。バタリアみたいに空飛ぶ敵さんがうじゃうじゃ居る…ことは…」
「なかったね」

先程と変わらず、三人を迎えたのは青い海、青い空、インフォボットのコマーシャルに映っていたアロハシャツの陽気な宇宙人。道の先にはオレンジ色の小さな魚とピンク色のタコのような化け物しか見当たらない。空を飛べる敵は、球体が連なった飛行物体とその護衛機がちらほら。

「さっきの星より安全そうじゃん」
「例のゲームと同じッスね。あの船体がこの海を汚染しているッス」
「君達よく知ってるねー。そう、あれが来てからお客さん居なくなっちゃって困ってるんだヨ。このままだと営業停止ねー。てか、ゲームって…?」
「ああいや、こっちの話」
「あっそ。それより!」

自分のことだけで精一杯なのか大雑把な性格なのか、彼はクランクが漏らしそうになった秘密については関心が無さそうだ。

「この先にある戦闘機使って良いからさ、早くあいつらをやっつけてヨ!そしたら良いものあげるヨ、エヘェ」
「わかったから、ちょっと待っててよ」

この惑星でのミッションも何とかなりそうだ。肩の力を抜き、いつものようにガラクトロンショップにアクセスしようとする。

「……」
「……」
「……」

何も起こらない。

「…あれ?」
「これ、ショップだよね?」
「うん、ガラクトロンのショップ…の筈」

ラチェットが四角いままの装置をオムレンチで軽く叩くも、無反応。いつもならば、この箱が分解しいくつものモニターとして浮かび上がり、買い物が始められる。

「壊れてんの?」
「まさか。これが壊れるなんて…」

ゲームでは起きなかったことだ。これでは新武器が手に入らないし、弾薬を補充できない。今あるガラメカの残り弾数ではこの先心もとない。

「次の惑星までオアズケかぁ」
「まあ仕方ないよ、このまま行こう」
「後でガラクトロンにクレーム入れとくッスよ」
「やめとこうぜ、きっと準備中なんだろ」
「そんな筈無いッス。ガラクトロンショップは24時間営業ッス」

諦めて歩き出した直後、ショップの開く音がして三人は足を止め振り返った。
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