ポクタル

ラチェットが楽しみにしていたリゾート地にやってきた。

確かテレビゲームの方ではまだクランクとの嫌悪ムードが続いていたっけ。ラチェットはヒーローに失望し疑り深くなったものの、クランクの手伝いという形でずるずると冒険を続けていた頃だ。

それとは心境が大分違うのか、今のこの彼の機嫌は悪くなさそうだ。ラチェットは率先して船から降りた。

「よっと」
「…よっと」
「…ぃよっと。う~ん…」

思い切り伸びをする。青い空に青い海(ブラーグによる汚染のせいで遊泳禁止だが)、こうして爽やかな景色を眺めているだけでも癒される。

「遂に来たねぇ、ポクタル!」
「いきなり何だよ」
「ねえさんも楽しみにしてたッスか?」
「まあね」

このところ小雨の中でのミッションやら汚染された空気の中での留守番やら、暗い雰囲気の惑星続きでなんとなく気分が沈んでいた気がする。星を渡っていくにつれ探索や戦闘の難易度が増していくことには変わりないが、星の雰囲気が明るいと気分がいくらか晴れやかになって助かるものだ。
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